東京国民年金事案 第 1 委員会の結論申立人は 申立期間のうち 昭和 55 年 7 月から 56 年 3 月までの国民年金保険料については 付加保険料を含めて納付していたものと認められることから 納付記録を訂正することが必要である 1 申立人の氏名等氏名 : 男基礎年金番号 : 生年月日

年金記録の訂正のあっせん・判断:13275, 13276, 13277

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language Japanese
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年金記録確認東京地方第三者委員会

place 東京

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I.申立ての概要

申立期間: 平成4年4月1日から7年4月1日まで 申立内容:

  • 平成6年3月31日から7年4月1日までの厚生年金保険の加入記録がない。
  • 当該期間は継続的に同社で勤務しており、所持している給与支払明細書には厚生年金保険料が控除されている。
  • 4年4月から6年2月までの標準報酬月額が、給与支給額に見合う標準報酬月額より低くなっている。

申立ての概要

申立人は、被保険者として国民年金保険及び厚生年金保険に加入していたが、申立て期間の一部に未納となっている期間があるとして年金記録の訂正を申し立てた。

申立の内容

申立ては、以下の内容を含んでいる。

  1. 国民年金保険の申立て期間の一部が未納となっているが、当時は欠かさず保険料を納付しており、過誤納処理によって申立て期間の保険料が充当されたと推測される
  2. 厚生年金保険の申立て期間の一部に、標準報酬月額が実際の給与額よりも低い期間がある。申立人は、給与明細書と源泉徴収票を提出しており、標準報酬月額を正しい記録に訂正するよう求める

II.申立期間の保険料納付の有無

申立人の共済組合および厚生年金保険の加入期間の一部で、納付済み保険料の一部が過誤納処理されて申立期間の保険料に充当されていた。しかし、申立人が申立期間当時継続して保険料を納付していたとする主張は、申立人の保険料納付意識の高さを示す国民年金手帳の記録と矛盾している。

申立期間の保険料納付の有無

申立期間の国民年金保険料は、昭和57年4月~12月および59年5月~12月に過誤納付により、申立期間⑤のうちの59年3月分の保険料として充当されているが、オンライン記録による確認では、申立期間の保険料は当該充当時点までは未納であったことが判明しており、申立期間に継続して保険料を納付していたという主張と相違がある。

III.申立期間の標準報酬月額

申立人の主張する標準報酬月額と、事業主が社会保険事務所に当初届け出た標準報酬月額との間で不一致がある。しかし、申立人に係る標準報酬月額の遡及訂正処理は事実に即したものとは考えられず、有効な記録訂正があったとは認められない。

1 申立人の申立内容

申立期間:平成4年4月1日から7年4月1日まで A社に勤務した期間のうち、平成6年3月31日から7年4月1日までの厚生年金保険の加入記録が無い。当該期間も同社で継続して勤務しており、保有している当該期間に係る給料支払明細書では、厚生年金保険料が控除されているので、当該期間を厚生年金保険の被保険者期間として認めてほしい。また、4年4月から6年2月までの標準報酬月額が、給与支給額に見合う標準報酬月額より低くなっているので、正しい記録に訂正してほしい。

2 申立人の申立理由

・A社の雇用保険支給台帳全記録照会により、申立人の離職時賃金日額から、給与支給月額が約 35 万 8,000 円であったことが推認できる。 ・申立人と同じく、標準報酬月額が遡及して減額訂正されているA社の元従業員 11 名に照会したところ、回答のあった5名は、いずれも入社後給与が減額されたことはなく、手取り額もほとんど変更が無かったと回答している。

3 委員会の判断

・平成9年5月2日付けで行われた申立人に係る標準報酬月額の減額訂正処理は、事実に即したものとは考え難く、社会保険事務所が行った当該減額訂正処理に合理的な理由は無く、有効な記録訂正があったとは認められない。したがって、当該減額訂正処理の結果として記録されている申立人の同年2月から同年9月までの標準報酬月額は、事業主が社会保険事務所に当初届け出た 36 万円に訂正する必要がある。

IV.標準報酬月額の訂正

当該減額訂正処理の結果として記録されている申立人の標準報酬月額は、事業主が当初届け出た額に訂正することが必要。また、申立人の標準報酬月額は、給与から控除されていた保険料額に見合う標準報酬月額が確認できる。

1. 標準報酬月額の減額訂正処理の有効性について

平成9年5月2日に行われた申立人の標準報酬月額の減額訂正処理は、合理的な理由がなく、有効な記録訂正とは認められない。したがって、申立人の標準報酬月額は、事業主が当初届け出た額に訂正する必要がある。

2. 標準報酬月額の遡及訂正処理の有効性について

平成8年9月24日に行われた標準報酬月額の遡及訂正処理も、事実に即したものとは考えられず、有効な記録訂正とは認められない。したがって、申立人の標準報酬月額は、事業主が当初届け出た額に訂正する必要がある。

V.厚生年金保険への加入有無

**申立期間1:**平成6年3月31日から7年4月1日まで

  • 申立人は継続して勤務し、給与から保険料が控除されていたことが認められる。
  • **申立期間2:**平成4年3月1日から5年8月1日まで
  • 申立期間の標準報酬月額が、実際の報酬月額に見合う標準報酬月額より低い。
  • **申立期間3:**平成4年3月1日から5年8月1日まで
  • 申立期間の標準報酬月額が、通常の標準報酬月額より低い。

申立期間1については、厚生年金保険の標準報酬月額と給与明細書等を確認し、標準報酬月額の訂正が必要。申立期間2については、標準報酬月額が、オンライン記録による標準報酬月額より高いことが確認できるため、訂正が必要。申立期間3については、給与明細書等により、申立期間の標準報酬月額に見合う保険料が控除されていることが確認できるため、訂正が必要。

厚生年金保険への加入有無

申立人であるA氏は、申立期間(平成4年4月1日から7年4月1日まで)のA社雇用期間のうち、平成6年3月 31 日から7年4月1日までの期間の厚生年金保険の加入記録がないことを指摘し、加入期間として認められないかと主張しています。

一方で、厚生年金保険の適用事業所としての要件を満たしていた同社では、申立期間当時、申立人に係る厚生年金保険料が事業主によって給与から控除されていたことが認められています。そのため、申立人の主張どおり、申立期間は厚生年金保険の被保険者期間として認められることとなりました。

VI.国民年金保険料の納付の有無

**申立期間1:**昭和57年4月から同年12月まで、および59年5月から同年12月まで

  • 申立人の国民年金手帳の記号番号は、申立期間を除き、全て納付されていたことが確認でき、申立期間当時は保険料納付意識が高かった。

申立期間については、オンライン記録により、申立期間の保険料が過誤納処理により充当されており、申立人の主張と矛盾している。

1 国民年金保険料の納付の有無

国民年金制度が始まる昭和 35 年に、夫婦で加入手続を行い、税金など納めなければならないものは全て納付してから出国した。その後、納付していなかった期間の保険料を全て納付した。社会保険事務所からは、ほかに保険料の未納期間があることは聞かされておらず、申立期間の保険料が未納とされていることに納得できない。

また、申立人は平成4年頃、夫は自営業を行い経済的にも余裕があったと説明している。

2 申立内容の要旨

申 立 期 間 : 平成4年4月1日から7年4月1日まで C社から提出された申立人に係る従業員台帳によると、申立人は、昭和 45 年 3月 29 日に入社し、 59 年4月1日付けでA社に出向した記録が確認できる。 また、B社の元人事担当者は、「申立期間当時、A社はB社の子会社であり、給与 計算及び社会保険事務は同社が子会社も含め一括して処理していた。」旨回答しているところ、申立人から提出された昭和 59 年5月 25 日支払の給与支給明細書によると、申立期間に係る厚生年金保険料が控除されていることが確認できる。

VII.厚生年金保険の保険給付

申立期間の標準報酬月額が、年金額の計算の基礎となる標準賞与額とならない記録とされていたが、申立人は申立期間の保険料を事業主により賞与から控除されていたことが認められるため、当該記録を取り消し、標準賞与額を25万円とする必要がある。

1. 厚生年金保険の保険給付

  • 年金額の計算の基礎となる標準賞与額は記録されない

  • 標準賞与額に係る記録が 25 万円とされる

2. 厚生年金保険被保険者資格取得日

  • 辞令の発行日ではなく、実際の異動日に届出される

3. 標準報酬月額の遡及訂正

  • 社会保険事務所の不適切な処理の可能性がある場合、訂正が必要

4. 標準報酬月額の計算

  • 源泉控除されていたと認められる厚生年金保険料額、報酬月額に見合う標準報酬月額の範囲内で算出