
年金記録のあっせん事例(平成27年2月更新)
文書情報
学校 | 関東地方社会保険審査会 |
出版年 | 平成27年 |
場所 | 関東 |
文書タイプ | 報道資料 |
言語 | Japanese |
ページ数 | 35 |
フォーマット | |
サイズ | 355.03 KB |
概要
I.申立に関する主要な内容
申立人は、申立期間の国民年金保険料納付が認められず、その記録訂正を求めています。申立人は、当初は母親が納付したと主張しましたが、後に母親が保険料の納付を忘れたと変更しました。申立人が提出した家計簿と預金通帳には、父親がボーナスから納付したことが記載されています。これらの資料に基づき、再調査と記録訂正が求められています。
1. 申立期間における国民年金保険料の納付に関する主張の変更
当初、申立人は申立期間の国民年金保険料を母が納付したと主張していましたが、今回の申立てでは、母が申立期間に保険料の納付書を受け取ったものの、息子が学生だったため納付せず、後に納付したと主張を変更しています。この変更理由は、家計簿を見て納付状況を思い出したとしていますが、15年以上も前の記憶に基づくものであるため、一概に不合理な変更とは言い切れません。
2. 申立期間における厚生年金保険料の控除に関する主張
申立人は、申立期間に厚生年金保険料を事業主により給与や賞与から控除されて納付されていたと主張しています。委員会では、申立人から提出された家計簿や預金通帳などの資料、事業主からの回答などを総合的に検討した結果、申立人が申立期間に厚生年金保険料を事業主により控除されて納付されていたことを認め、記録の訂正が必要であると判断しました。
3. 年金額の計算の基礎となる標準賞与額に関する主張と認定
申立期間の標準賞与額については、厚生年金保険法により年金額の計算の基礎とならない記録とされていますが、申立人は申立期間に賞与から厚生年金保険料を控除されていたと主張しています。委員会では、申立人から提出された資料や事業主からの回答などを検討した結果、申立人が主張する標準賞与額に基づき、記録の訂正が必要であると判断しました。
4. 申立期間における厚生年金保険の被保険者資格に関する主張
申立人は、申立期間に別の事業所で勤務していたと主張し、その期間の厚生年金保険の被保険者資格の記録の訂正を求めています。委員会では、申立人から提出された資料や事業主からの回答などを検討した結果、申立人の主張する勤務期間と事業所での勤務履歴に矛盾があるとして、申立人の主張を認めませんでした。
5. 申立期間における賞与の支給に関する主張
申立人は、申立期間に賞与が支給されたが記録が無いと主張し、記録の訂正を求めています。委員会では、申立人から提出された資料や事業主からの回答などを検討した結果、申立人が主張する賞与の支給を確認できず、申立人の主張を認めませんでした。
II.厚生年金保険料の標準賞与額
複数の事件について、申立人の申立期間における標準賞与額が厚生年金保険法の規定により年金額計算の基礎とされない記録となっています。しかし、申立人は賞与から厚生年金保険料が控除されていたと主張しています。これら事件において、当該記録を取り消し、保険給付及び保険料納付に関する法律に基づき、標準賞与額の訂正が求められています。
III.厚生年金保険料の納付義務
事業主は、保険料徴収の権利が時効により消滅した後に申立人の賞与を届け出ています。そのため、事業主の厚生年金保険料納付義務の履行は不明とされています。
IV.被保険者資格喪失日
複数の事件で、申立人の被保険者資格喪失日の誤りが指摘されています。これら事件では、喪失日をオンライン記録の日付ではなく、同僚の証言や提出資料に基づいて訂正することが求められています。
被保険者資格喪失日
※特定の事案のみを抜粋しました
関東(栃木)厚生年金 事案 8949
申立期間に係る厚生年金保険料を事業主により給与から控除されていたことから、資格喪失日に係る記録を昭和 49 年9月5日に訂正
標準報酬月額は 6万円とすることが必要
被保険者資格喪失日
関東(栃木)厚生年金 事案 8951
申立期間に係る厚生年金保険料を事業主により給与から控除されていたことから、資格喪失日に係る記録を昭和 55 年9月1日に訂正
標準報酬月額は 9万 8,000 円とすることが必要
V.国民年金保険料の納付
申立人は、申立期間の国民年金保険料を母親が郵便局で納付していたと主張していますが、母親はすでに亡くなっており、保険料納付の状況は不明です。申立人が提出した年金手帳や他の資料には、保険料未納の期間があることが示されており、オンライン記録との差異が問題視されています。
1. 国民年金保険料の納付手続に関する議論
申立人は、申立期間に母親が国民年金保険料を自宅近くの郵便局で納付し、その後は市役所で毎月納付していたと主張。しかし、母親は故人となり事情聴取が困難で、申立人も加入手続きや納付に直接関与していないため、実際の納付状況が不明。
2. 国民年金手帳記号番号に基づく納付状況の検証
申立人の持つ国民年金手帳記号番号の払い出し時期や有効期間を基に、申立期間中の国民年金保険料納付可能性を検討。しかし、時効により納付できない期間が大部分を占め、納付されていたという証言とも整合しない。
3. 国民年金被保険者名簿や台帳の確認
申立人に係る国民年金被保険者名簿や台帳を確認した結果、申立期間中は国民年金の任意未加入期間であり、保険料納付は制度上不可能であったことが確認された。
VI.転籍後の標準報酬月額
申立人は、転籍後に標準報酬月額が低下したことに対して納得がいかないと主張しています。しかし、給与明細書に基づく標準報酬月額はオンライン記録と一致しており、申立人の主張を裏付ける証拠は見つかっていません。
VII.賞与の支給
申立人は、勤務していた会社から賞与が支給されたが、賞与の記録がないとして訂正を求めています。しかし、会社側からは賞与や保険料控除に関する資料の保存がなく、申立人が保管している賞与明細書などの資料もありません。そのため、賞与の支給と保険料控除が確認できないとしています。