
日立省エネパッケージエアコン
文書情報
会社 | 日立 |
文書タイプ | 製品カタログ |
言語 | Japanese |
フォーマット | |
サイズ | 8.17 MB |
概要
I.機器廃棄と冷媒回収
業務用冷凍空調機器(冷媒R410A対応など)の廃棄、または冷凍サイクルの修理には、必ず冷媒回収が必要です。機器使用事業者は、機器保守契約者、工事業者、販売業者などの専門業者と事前に回収契約を結び、その内容を明確にしておく必要があります。産業廃棄物として処理されるため、回収作業、運搬、保管、破壊または再生までの費用は機器使用事業者の負担となります。廃棄時の製品引き取り費用にこれらの費用が加算されますのでご注意ください。
1. 機器廃棄と冷媒回収の必要性
本ドキュメントでは、業務用冷凍空調機器の廃棄および冷凍サイクル修理に関する重要な手順について説明しています。まず、機器の廃棄または冷凍サイクルの修理を行う際には、必ず冷媒の回収を行う必要があると強調されています。これは法律や環境規制に準拠するため、そして、冷媒の漏洩による環境への悪影響を防ぐために不可欠なステップです。この冷媒回収作業は、専門業者に委託することが推奨されています。機器保守契約者、工事業者、あるいは販売業者など、冷媒回収に関する適切な資格と経験を持つ専門業者を選択することが重要です。なぜなら、専門業者でない場合、適切な回収手順が守られない可能性があり、環境問題や安全上のリスクにつながる可能性があるからです。回収契約を締結する際には、契約内容を明確に記述し、双方で合意しておくことが重要です。これにより、後々のトラブルや費用に関する紛争を回避できます。 契約内容には、回収費用、作業範囲、責任分担、スケジュールなどが明確に記載されているべきです。 契約書は、作業開始前に必ず双方で確認し、署名捺印を行いましょう。
2. 使用済み機器の産業廃棄物としての扱いと費用負担
使用済み業務用冷凍空調機器は、産業廃棄物として扱われるため、適切な処理を行う必要があります。産業廃棄物の処理には、様々な費用が発生します。冷媒回収作業はもちろんのこと、機器の運搬、保管、そして最終的な破壊またはリサイクル処理まで、一連の作業にかかる費用は、機器を使用していた事業者の責任において負担する必要があります。この費用負担は、機器の廃棄を依頼する際に、製品引き取り費用とは別に発生する追加費用として請求されます。そのため、機器廃棄を検討する際には、この追加費用を予め考慮し、予算に含めておくことが重要です。 廃棄費用は、機器の種類、サイズ、冷媒の種類、そして廃棄場所などによって変動する可能性があります。 事前に専門業者から正確な見積もりを取得し、費用内容をきちんと理解した上で廃棄手続きを進めることが、事業者にとって経済的なリスクを回避するための重要な対策となります。廃棄方法や費用に関して不明な点がある場合は、専門業者に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
II.配線と配管
室内・室外ユニット間の操作回路配線には、0.75mm²以上の2芯ケーブル(VCTF・VCT・CVV・MVVS・CVVS・VVR・VVFなど)または2芯ツイストペアケーブル(KPEV・KPEV-S相当品)を使用してください。冷媒配管サイズは冷媒R410A対応の標準サイズを示していますが、既設配管を使用する場合は配管長・太さなどの制約がありますのでご相談ください。450型以上の機種は、複数台の室外ユニットを連結する分岐管チーズが必要になります。また、**漏電遮断器(ELB)**は高調波対応品(インバーター対応型)を選定してください。
1. 操作回路配線の仕様
室内ユニットと室外ユニット間の操作回路配線には、安全かつ安定した動作を確保するために、適切なケーブルを使用する必要があります。 具体的には、0.75mm²以上の太さの2芯ケーブルを使用することが推奨されています。ケーブルの種類としては、VCTF、VCT、CVV、MVVS、CVVS、VVR、VVFなどの一般的なケーブルに加え、2芯ツイストペアケーブル(KPEV、KPEV-S相当品)も使用可能です。 これらのケーブルは、電気信号を正確に伝送し、ノイズの影響を受けにくい特性を持つため、空調機器の制御システムにおいて重要な役割を果たします。使用するケーブルの種類に関わらず、断面積が0.75mm²以上であることを確認することが重要です。断面積が小さすぎると、電流が流れにくくなり、機器の動作不良や発熱、火災の原因となる可能性があります。 配線作業は、電気工事士などの有資格者によって行われるべきであり、安全な施工を確保するために、適切な手順と技術が求められます。不適切な配線は、機器の故障や事故につながる可能性があるため、注意が必要です。
2. 冷媒配管のサイズと注意事項
冷媒配管のサイズは、冷媒の種類と機器の容量によって異なります。ドキュメントでは、冷媒R410Aに対応した標準配管サイズが示されています。この標準サイズは、最適な冷却性能と効率的な運転を実現するために設計されています。しかし、既設配管を使用する場合、配管の長さや太さによって制約が生じる可能性があります。配管の長さが長すぎたり、太さが細すぎたりすると、冷媒の流量が不足し、冷却能力が低下したり、機器の動作が不安定になる可能性があります。そのため、既設配管を使用する場合は、必ず事前に専門業者に相談し、適切な配管サイズかどうかを確認する必要があります。 特に、450型以上の機種では、複数台の室外ユニットを連結するために分岐管チーズ(液・ガス側共)が必要となるため、事前に必要な部品を用意する必要があります。 配管工事は、専門知識と技術が必要となるため、資格を持つ専門業者に依頼することが強く推奨されます。不適切な配管工事は、冷媒漏れや機器の故障、さらには環境問題につながる可能性があるためです。
3. 漏電遮断器の選定
電気機器の安全性を確保するためには、漏電遮断器(ELB)の設置が不可欠です。特に、インバーター制御を採用した空調機器を使用する場合は、高調波に対応した漏電遮断器を選択することが重要です。 インバーター制御は、電力消費を効率化するために使用される技術ですが、その過程で高調波と呼ばれるノイズが発生します。この高調波は、一般的な漏電遮断器の動作に影響を与え、誤作動を引き起こす可能性があります。高調波対応の漏電遮断器は、このような高調波の影響を受けにくい設計となっており、安全かつ安定した動作を保証します。 漏電遮断器の選定にあたっては、機器の容量や設置場所、そして電気設備の状況などを考慮する必要があります。 専門業者に相談し、適切な容量と種類の漏電遮断器を選択することが、安全な電気設備を構築するために重要です。 また、漏電遮断器の定期的な点検とメンテナンスを行うことで、安全性を維持し、事故を未然に防ぐことができます。
III.運転音と静圧
運転音は、反響の少ない環境での測定値(室内ユニット:正面1m・高さ1m、室外ユニット:正面1m・高さ1.5m)です。実際の設置環境では、周囲の騒音や反響の影響で表示値より大きくなる場合があります。機外静圧の変更にはプーリーの取り替えが必要です。暖房時の除霜運転中は、機種によっては室内送風機が停止する場合があります。外気温度が低い場合は冷風が吹き出すため、吹き出し口の設置場所にご注意ください。
1. 運転音の測定方法と実際の音響環境
この機器の運転音は、周囲の音響環境の影響を受けにくく、正確な測定が可能な無響音室において測定されています。室内ユニットは製品正面1メートル、高さ1メートルの位置で、室外ユニットは製品正面1メートル、高さ1.5メートルの位置で測定が行われ、その測定値(Aスケール)が仕様書に記載されています。しかしながら、実際の据え付け状態では、周囲の騒音や建物の構造による反響など、様々な要因が運転音に影響を与えるため、測定値よりも大きくなることが一般的です。そのため、設置場所を選ぶ際には、周囲の騒音レベルや室内の反響特性を考慮する必要があります。特に、騒音に敏感な場所、例えば病院や図書館などでは、より静音性に配慮した設置場所の選定や、騒音低減のための対策を検討する必要があります。 運転音は、機器の稼働状況、例えば冷房運転中か暖房運転中か、あるいは除霜運転中かによっても変化します。 仕様書に記載されているのはあくまで標準的な運転音であり、実際の運転音はこれと異なる可能性があることを理解しておく必要があります。
2. 機外静圧とプーリーの交換
機外静圧とは、室内ユニットから吹き出す空気の圧力のことで、送風機の性能や風量に影響します。標準的な機外静圧は、標準エアフィルター装着時の値を示しています。しかし、機外静圧を変更する必要がある場合、プーリーの交換が必要となる場合があります。プーリーとは、送風機の回転速度を制御する部品です。プーリーを交換することで、送風機の回転速度、ひいては機外静圧を調整できます。機外静圧の変更は、設置場所の条件や空調システム全体のバランスを調整するために必要な場合があります。例えば、ダクトの抵抗が大きい場合や、送風距離が長い場合などに、機外静圧を調整することで、適切な風量を確保することができます。ただし、プーリーの交換は専門知識と技術が必要な作業であるため、必ず資格を持つ専門業者に依頼する必要があります。 不適切な交換や調整は、機器の故障や事故につながる可能性があるため注意が必要です。 プーリー交換の必要性や適切なプーリーの選定については、取扱説明書や専門業者にご相談ください。
3. 暖房時の除霜運転と送風機の制御
暖房運転時は、機種によっては除霜運転が行われることがあります。除霜運転中は、室内送風機が停止する機種(AP265〜1700型など)と、停止しない機種(AP2000型など)があります。室内送風機が停止する機種の場合、機能選択によって運転を継続させることも可能ですが、外気温度よりも低い冷風が吹き出す可能性があります。そのため、吹き出し口の位置や風向きを注意深く検討し、冷風が直接当たる場所がないように配慮する必要があります。 AP2000型のように交互除霜方式を採用している機種では、除霜運転中も送風機が停止しないため、冷風が吹き出す可能性があります。この場合も、吹き出し口の位置や風向きに注意する必要があります。 また、工場出荷時の設定では、冷房・暖房共に吸込空気温度(外気温度)による運転制御となっていますが、吹き出し空気温度による制御に変更することも可能です。この設定変更は、機能選択によって行うことができます。
IV.オプション部品と設置に関する注意事項
様々なオプション部品(防風セット、防護ネット、加湿器、フィルター、HEPAフィルターなど)が用意されています。これらの併用可否や仕様、施工詳細は、寸法図、据付要領書、オプション組み合わせ表をご確認ください。 ドレン水の凍結を防ぐため、寒冷地での集中排水ドレンボスの使用は避けてください。設置にあたっては、風の到達距離不足を防ぐため、補助設備(サーキュレーターなど)の設置や吸い込み口の位置に配慮してください。高湿度運転の限界はDB27℃・WB23℃・相対湿度70%です。70%を超えると結露の恐れがあります。GMP仕様品は医薬品製造基準に適合した仕様です。別途加工が必要です。
1. オプション部品の概要と使用方法
この業務用空調機器には、様々なオプション部品が用意されています。防風セットは、外気温度が-15℃以下の場合や、10℃以下の冷房運転時に、機器の効率的な運転を補助するために使用します。防護ネットは、ボールなどの外的衝撃から吹き出しグリルや熱交換器を保護する役割を持ち、特に学校や幼稚園など、子供たちが触れやすい環境では安全対策として有効です。学校空調用防護ネットは、児童の安全確保に特化した製品です。これらの防護ネットは、正面、背面、側面用のセット品として販売されており、単品での特注も可能です。 その他にも、フィルター(標準では付属していません)、ロングライフフィルター、オイルガードフィルター、吹き出しユニット、鍵付きリモコンケース、フレキシブルダクト、集中排水ドレンボス、昇降フィルターボックス、円形ダクトフランジなど、設置環境や用途に合わせて様々なオプションを選択できます。これらのオプション部品の併用可否や詳細な仕様、施工方法は、『オプション組み合わせ表』、『寸法図』、『据付要領書』などを参照してください。オプション部品の使用により、機器の機能性や安全性が向上するケースも多いですが、使用方法を誤ると機器の故障や事故につながる場合もありますので、取扱説明書をよく読んでから使用しましょう。
2. 設置に関する重要な注意事項
この機器を設置する際には、いくつかの重要な注意事項を遵守する必要があります。まず、ドレン水が凍結する可能性のある地域では、集中排水ドレンボスを使用しないようにしてください。ドレン水が凍結すると、室外ユニットの底ベースに積層し、ユニットの停止や故障につながる可能性があります。 また、冷暖房運転時に風の到達距離が不足しないように、補助設備(サーキュレーターなど)を設置するか、もしくは吸い込み口を床面近くに設けるなどの配慮が必要です。これは、機器の性能を最大限に発揮し、効率的な空調を実現するために重要です。 高湿度運転を行う場合は、室内および埋込部の温度・湿度条件に注意が必要です。高湿度運転の限界は、DB27℃、WB23℃、相対湿度70%とされており、これを超えると結露や水滴の落下が発生する可能性があります。標準的なエアコンでは80%まで対応できますが、この機器は70%が限界であることを理解しておきましょう。 さらに、この機器は外気負荷を処理するエアコンであり、室内温度を一定に保つことを目的としたものではないため、室内の空調負荷については、別途エアコンを設置するなどして対応する必要があります。
3. 特殊な設置環境とオプション部品の選択
クリーンルームなどの特殊な環境で使用する場合には、適切なオプション部品を選択することが重要です。例えば、「ダクト吸い込みタイプ」で新鮮空気を取り入れる場合には、「逆流防止ダンパー」は使用できません。この場合は、現地でダンパーをファンと連動させて空気の逆流を防ぐ必要があります。また、HEPAフィルターを組み込んだ場合の平均捕集効率は99.97%(0.3μm)となりますが、これは吹き出し口から10cmの位置で複数点測定した平均値です。 医薬品製造環境など、GMP基準を満たす必要がある場合は、「GMP仕様品」を選択する必要があります。ただし、GMP仕様品はエアコン本体と化粧パネルに別途加工注文が必要で、加工せずに使用した場合の平均捕集効率は99.97%となります。 さらに、受光部キット(別置タイプ)を使用する際には、照明から1メートル以上離して設置する必要があります。 これらの特殊な設置環境やオプション部品に関する詳細は、専門業者に相談し、適切なアドバイスを受けることを推奨します。
V.電源と配線容量
経済産業省令に準じ、必ず漏電遮断器を使用してください。インバーター型製品には高調波対応品を選定してください。配線工事は電気工事士が行ってください。配線容量は内線規程に準拠しており、長尺配線時は電圧降下を考慮してより太い配線が必要となる場合があります。使用温度範囲は室内ユニット18〜27℃DB・40〜70%RH、室外ユニット−15〜43℃DBです。範囲外で使用すると保護装置が作動します。
1. 漏電遮断器の使用と選定
この機器を使用する際には、必ず漏電遮断器(ELB)を設置する必要があります。これは、経済産業省令に準拠したものであり、感電や火災などの事故を防ぐために不可欠な安全対策です。漏電遮断器は、漏電を検知して電源を遮断することで、人身事故や火災を防止する役割を果たします。特にインバータータイプの製品を使用する場合は、高調波に対応した漏電遮断器を選択する必要があります。インバーターは、電力効率を高めるために使用される技術ですが、その動作によって高調波が発生し、従来の漏電遮断器の誤作動を引き起こす可能性があります。高調波対応の漏電遮断器は、この高調波の影響を受けにくく設計されているため、安定した動作が期待できます。漏電遮断器の選定、設置、およびメンテナンスは、電気工事士などの有資格者によって行われるべきです。誤った設置やメンテナンスは、安全性を損なうだけでなく、機器の故障や事故につながる可能性があります。 安全な使用環境を確保するために、これらの点に十分注意し、専門家の指導に従って作業を行うことが重要です。
2. 配線工事と配線容量
この機器の配線工事は、電気工事士などの有資格者によって行われる必要があります。安全かつ適切な配線を行うためには、専門的な知識と技術が不可欠です。誤った配線は、機器の故障、感電、火災などの事故につながる可能性があるため、必ず有資格者に依頼する必要があります。 配線容量は、エアコンの使用範囲を考慮して内線規程に基づいて決定されます。しかしながら、配線が長くなる場合、電圧降下が大きくなり、機器の性能に影響を与える可能性があります。そのため、配線が長くなる場合は、表に示されている最小電源配線太さよりも太い配線を使用する必要があるかもしれません。最小電源配線太さは、金属管(線ぴ)、合成樹脂管、フロアダクト、およびケーブル配線の場合の値を示しています。使用する配管の種類によって、適切な配線太さが異なるため、それぞれのケースに合わせた適切な配線を行う必要があります。 配線に関する不明点や疑問点がある場合は、電気工事士または機器の販売業者に相談して、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
3. 使用温度範囲と運転上の注意
この製品は、特定の温度範囲内で安全かつ効率的に動作するように設計されています。室内ユニットの使用温度範囲は18~27℃DB、40~70%RH、室外ユニットは-15~43℃DBです。この範囲外で運転すると、保護装置が作動し、機器が運転停止する可能性があります。また、使用温度範囲の下限付近、特に標準風量30m³/min時、室内吸い込み湿球温度13℃WB以下の状態では、蒸発器に着霜する可能性があり、冷媒レヒートによる温度調整が乱れたり、一時的に温度調整が停止して除霜動作が行われたりする可能性があります。 これらの状況を避けるため、機器の使用環境を適切に管理する必要があります。 さらに、この製品は冷媒レヒートによる温度調整を行うため、暖房運転はできません。室温がリモコンの設定温度よりも低い場合は、送風のみの運転となり、圧縮機は起動しません。暖房が必要な場合は、別途暖房機器を使用する必要があります。 これらの運転上の注意事項を理解し、適切な使用環境を維持することで、機器の長寿命化と安全な運用を確保することができます。
文書参照
- JRA GL-13:2012