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無線LANプリンター設定ガイド

文書情報

言語 Japanese
フォーマット | PDF
サイズ 3.06 MB
会社

エプソン株式会社 (推定)

文書タイプ マニュアル

概要

I.無線LAN設定 WPS と手動設定

本マニュアルは、EP-977A3、EP-907F、EP-807Aシリーズなど複数のエプソンプリンターネットワーク設定ガイドです。無線LAN接続には、PINコード自動設定(WPS)と手動設定の2つの方法があります。WPSは、8桁のPINコードをアクセスポイントに入力することで簡単に設定できます。手動設定では、SSID(ネットワーク名)とセキュリティキー(パスワード)が必要です。アドホック接続も可能ですが、セキュリティ上の制限があります。Windows 8以降のデバイスではアドホック接続はサポートされていません。

1. WPS Wi Fi Protected Setup による無線LAN設定

本セクションでは、WPS機能を用いた無線LAN設定方法を説明します。WPSとは、Wi-Fi Allianceが定めた無線LAN設定方式で、プッシュボタン方式とPINコード方式があります。このガイドでは、PINコード方式に焦点を当てています。プリンターに割り当てられた8桁のPINコードを、アクセスポイントまたはパソコンに入力することで、無線LAN設定が完了します。操作手順は、まずプリンターのホーム画面から「無線LAN設定」を選択し、「PINコード自動設定(WPS)」を選びます。次に、表示されたPINコードをアクセスポイントやパソコンに入力し、プリンターの操作パネルでも「設定開始」を押します。セキュリティーキー(パスワード)の入力を求められた場合は、事前にメモしておいたキーを入力します。設定完了後、ホーム画面のアイコンが変化し、ネットワーク接続が成功したことが確認できます。 この方法は、アクセスポイントの設定を事前に理解していなくても比較的容易に無線LAN接続を確立できる利点があります。しかし、PINコードの取り扱いには注意が必要で、第三者に見られないように配慮する必要があります。また、アクセスポイント側でWPS機能が有効になっているかを確認する必要があります。

2. 手動による無線LAN設定

液晶ディスプレイ搭載機種においては、無線LANを手動で設定することも可能です。この方法では、接続するネットワークのSSID(ネットワーク名)とセキュリティキー(パスワード)を事前に把握しておく必要があります。これらの情報は、アクセスポイント(ブロードバンドルーターなど)に記載されているか、ネットワーク設定を行った担当者へ問い合わせることで確認できます。手動設定の手順は、まずSSIDを選択し、次にセキュリティキーを入力します。入力操作は、プリンターの操作パネル上のボタンで行います。機種によってはボタン配置や操作方法が異なるため、マニュアルをよく確認する必要があります。 手動設定は、WPSに比べて複雑な手順を踏む必要がありますが、より詳細なネットワーク設定を行うことができます。例えば、特定のセキュリティプロトコルを選択したり、IPアドレスを手動で指定したりすることが可能です。SSIDとセキュリティキーの入力ミスには十分注意し、入力内容を慎重に確認する必要があります。入力間違いは接続失敗の原因となります。

3. アドホック接続について

アドホックモードは、アクセスポイントを使用せずにパソコンとプリンターを直接無線接続するモードです。アクセスポイントが不要なため手軽に設定できますが、セキュリティの面で制限があり、強固なセキュリティ設定はできません。対応しているセキュリティモードはWEPのみです。また、Windows 8以降のパソコンやスマートフォンからはアドホックモードで接続設定ができないため、主に古いバージョンのOSを使用しているパソコンでのみ利用可能です。アドホック接続を行う際は、パソコンの電源がONであることを確認し、パソコンとプリンターを近くに配置して設定を行う必要があります。セキュリティ上の懸念から、一般的にはインフラストラクチャーモード(アクセスポイントを経由する接続方法)の使用が推奨されます。アドホックモードは、どうしてもアクセスポイントが利用できない状況下でのみ検討すべき接続方法です。

II.有線LAN接続と IPアドレス 設定

有線LAN接続には、パソコンがハブなどのネットワーク機器に接続されている必要があります。IPアドレスは自動取得が推奨されますが、手動設定も可能です。手動設定では、IPアドレスサブネットマスクデフォルトゲートウェイDNSサーバーアドレスの入力が必要です。複数のスキャナーがある場合は、スキャナー名を設定することで識別しやすくなります。

1. 有線LAN接続の基本

このセクションでは、プリンターを有線LANでネットワークに接続する方法について説明します。有線LAN接続を行うには、パソコンがハブなどのネットワーク機器に接続されている必要があります。 パソコンとプリンターを直接接続する場合は、適切なケーブルと接続方法を確認してください。ネットワーク機器との接続が正しく行われているかを確認し、接続不良が原因でプリンターがネットワークに認識されないといった問題が発生しないように注意が必要です。 接続に問題が発生した場合は、ケーブルの接続状態、ネットワーク機器の動作状況などを確認することをお勧めします。ネットワーク機器の電源の入れ直しや、ケーブルの抜き差しを再度行うことで解決する場合もあります。また、物理的な障害物や電磁波干渉の可能性も考慮し、機器の配置を見直すことも有効な解決策となりえます。 接続が成功すると、プリンターはネットワーク上に認識され、パソコンなどから利用可能になります。

2. IPアドレスの設定 自動設定と手動設定

プリンターのネットワーク接続にはIPアドレスの設定が必要です。この設定には、自動設定と手動設定の2つの方法があります。自動設定はDHCPサーバーを使用する方法で、パソコンやプリンターに自動的にIPアドレスが割り当てられます。この方法は設定が容易で、多くのネットワーク環境で問題なく動作します。DHCPサーバーが有効になっていることを確認する必要があります。 手動設定では、IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、プライマリーDNSサーバー、セカンダリーDNSサーバーの各アドレスを手動で入力する必要があります。この方法は、ネットワーク環境に合わせてIPアドレスを細かく設定したい場合に利用できます。 手動設定を行う際には、各項目の値を正確に入力する必要があります。入力ミスはネットワーク接続に失敗する原因となるため、注意が必要です。 IPアドレスが重複している場合、ネットワーク接続に問題が発生する可能性があります。ネットワーク上のIPアドレスの重複を避けるため、各機器のIPアドレスを確認し、必要に応じて設定し直す必要があります。

3. 複数スキャナー接続時のIPアドレス管理

同じネットワーク上に複数のスキャナーが接続されている場合、各スキャナーを識別するためにスキャナー名を設定することを推奨します。スキャナー名を設定することで、IPアドレスが変わっても、目的のスキャナーを容易に特定することができます。 スキャナー名は、ネットワークの設定画面で変更できます。設置場所などの分かりやすい名前を設定することで、管理上の混乱を避けられます。 ルーターを越えた場所(別セグメント)にあるスキャナーは、自動検索では検出できません。このような場合は、スキャナーのIPアドレスを手動で入力して検索する必要があります。 IPアドレス管理を適切に行うことで、ネットワーク環境全体のパフォーマンスを向上させ、トラブル発生時の対応を円滑に進めることができます。

III. Wi Fi Direct 接続

Wi-Fi Directは、アクセスポイントを経由せずにプリンターと機器を直接接続するモードです。プリンターと接続機器の両方でWi-Fi Direct機能を有効にする必要があります。接続後は、ホーム画面のアイコンが変化します。Android機器では「Epson iPrint」などのアプリが利用できます。一時的な接続形態のため、継続的な使用には**無線LAN(インフラストラクチャーモード)**が推奨されます。

1. Wi Fi Direct接続の概要と準備

Wi-Fi Directは、アクセスポイントを経由せずに、プリンターと対応機器を直接接続できる機能です。この機能を利用するには、プリンター側でWi-Fi Directの設定が必要で、接続する機器もWi-Fi Directに対応している必要があります。対応可否は、機器のマニュアルなどで確認してください。Wi-Fi Direct接続は、アクセスポイントを必要としないため、手軽にプリンターと機器を接続できますが、継続的な利用には無線LAN(インフラストラクチャーモード)の方が適しています。Wi-Fi Directは一時的な接続形態として位置づけられており、常に接続状態を維持する必要がない場合に有効な方法です。接続が完了すると、プリンターのホーム画面のアイコンが変化して接続状態を示します。アイコンのデザインは、接続状態によって異なる場合がありますので、マニュアルで確認することをお勧めします。Android搭載機器を使用する際は、「Epson iPrint」などのアプリを利用することで、よりスムーズな印刷が可能です。接続設定は、プリンターの操作パネルから行います。

2. Wi Fi Direct接続手順

Wi-Fi Direct接続の手順は、まずプリンターのホーム画面で「無線LAN設定」を選択することから始まります。機種によっては、ホームボタンを繰り返し押すことで設定画面を表示させる必要があります。その後、Wi-Fi Directの設定を選択し、設定開始を押します。この時点で、接続する機器側のWi-Fi Direct機能を有効にする必要があります。機器によってWi-Fi Directの設定方法は異なるため、接続する機器のマニュアルを参照してください。接続が完了すると、メッセージが表示され、プリンターのホーム画面のアイコンが変化します。このアイコンの変化は、接続が正常に完了したことを示す重要な視覚的な指標です。接続に失敗した場合は、手順を再度確認するか、プリンターと接続機器間の距離、電波干渉などの要因を検討する必要があります。接続に問題がある場合、機器のマニュアルを参照したり、サポート窓口に問い合わせたりすることをお勧めします。

3. Wi Fi Direct接続とインターネット接続の併用に関する注意点

Wi-Fi Direct(シンプルAPモード)と低速のモバイルデータ通信によるインターネット接続を同時に使用している場合、プリンターへの接続が優先され、インターネット接続ができなくなる可能性があります。パソコンがインターネット接続できなくなった場合は、Windowsの「ネットワーク接続」画面で、使用中のプリンターポートが「EpsonNet Print Port」になっていることを確認する必要があります。プリンター付属のソフトウェアディスクでネットワーク接続設定を行うと、印刷先は自動的に「EpsonNet Print Port」に設定されます。もし、標準TCP/IPポートに変更している場合は、DHCP環境下でプリンターのIPアドレスが変更された場合、接続に問題が発生する可能性があります。この場合、再度接続設定を行うか、IPアドレスを手動で設定する必要があります。インターネット接続とプリンター接続の両方を安定して使用するには、接続方法や設定を見直すことが必要です。

IV. WSD 接続と EpsonNet Print

**WSD(Web Services on Devices)**は、ネットワーク上のプリンターを自動的に検出する機能です。Windows 8以降では、WSD接続プリンターが自動的に設定されます。EpsonNet Printは、付属ソフトウェアによるネットワーク設定で利用可能になります。IPアドレスが変更されても再設定が不要です。

1. WSD Web Services on Devices 接続の概要

WSDは、ネットワーク上のデバイスを自動的に検出する仕組みです。Windows 8以降のOSでは、ネットワーク上にWSD対応プリンターがあると自動的に接続設定が行われます。この自動接続機能により、ユーザーは手動でプリンターの設定を行う必要がなく、簡単にプリンターを使用開始できます。プリンターのIPアドレスが変更された場合でも、WSDは自動的に追従するため、再設定の手間がかかりません。WSD接続を利用することで、Windowsの「Windows FAXとスキャン」からスキャン機能を利用することも可能です。この機能は、WSD対応プリンターとWindows環境が連携することで実現する便利な機能です。WSDは、ネットワーク接続の容易さと安定性を両立させるため、多くのユーザーにとって利便性の高い機能と言えるでしょう。ただし、WSDが利用できない環境やOSバージョンもありますので、事前にご自身の環境がWSDに対応しているかを確認する必要があります。

2. EpsonNet Printによるネットワーク印刷

付属のソフトウェアディスクを用いてプリンターのネットワーク設定を行うと、自動的にEpsonNet Printポートが設定されます。EpsonNet Printは、Windows環境で利用できるネットワーク印刷機能です。この機能の大きなメリットは、サーバーやルーターのDHCP機能によってプリンターのIPアドレスが変更された場合でも、再設定が不要な点です。IPアドレスの変更は、ネットワーク環境の変化によって起こりうるため、再設定の手間を省けることは大きな利点です。常に安定した印刷環境を維持するために役立ちます。EpsonNet Printポートは、プリンターとパソコン間の通信を効率的に行うための専用のポートであり、標準的なTCP/IPポートとは異なる点が特徴です。そのため、印刷先を標準TCP/IPポートに変更した場合、DHCP環境下でプリンターのIPアドレスが変化すると、印刷に問題が発生する可能性があります。この点を理解した上で、EpsonNet Printを有効活用することが重要です。

V.ネットワーク接続トラブルシューティング

接続できない場合、セキュリティキーの確認、SSIDの一致確認、電波干渉の有無、IPアドレスの重複、プライバシーセパレーター機能の無効化などを確認してください。デフォルトゲートウェイの設定も重要です。信号強度が弱いか、電波が混雑している場合は、無線環境の改善が必要です。 詳細なトラブルシューティングは、マニュアルの該当ページを参照ください。

1. セキュリティキーとSSIDの確認

ネットワーク接続ができない場合、まず確認すべきはセキュリティキー(パスワード)とSSID(ネットワーク名)です。セキュリティキーが間違っている、またはSSIDが一致していないことが原因で接続できないケースが頻繁にあります。プリンターの操作パネルで設定されているセキュリティキーを確認し、アクセスポイントやルーターの設定と一致していることを確認してください。SSIDについても同様で、プリンターと接続しようとしているネットワークのSSIDが一致していることを確認する必要があります。 セキュリティキーは、大文字小文字を区別する場合がありますので、注意深く確認してください。複数のセキュリティキーが登録されている場合(WEPの場合)、最初のインデックスのキーが正しいかを確認しましょう。 SSIDが不明な場合は、アクセスポイントやルーターのマニュアルを参照するか、ネットワーク設定を行った担当者にお問い合わせください。これらの基本的な項目を確認することで、多くの接続問題を解決できる可能性があります。

2. 電波干渉と信号強度

無線LAN接続で問題が発生する原因として、電波干渉や信号強度が挙げられます。電子レンジやコードレス電話など、電磁波を発生する機器が近くに存在すると、電波干渉が発生し、通信が不安定になる可能性があります。そのような機器とプリンター、パソコン、アクセスポイントなどの距離を離すことで、電波干渉を軽減できます。 信号強度が弱い場合も、印刷やスキャンが遅くなったり、途切れたりするなどの問題が発生します。プリンターとアクセスポイント間の距離が遠すぎたり、間に障害物があったりする可能性があります。プリンターとアクセスポイントの位置を近づけたり、障害物を除去したりすることで、信号強度を改善できます。無線LANのチャンネルが混雑している場合も、電波干渉の原因となります。可能な限り、電波の混雑が少ないチャンネルに変更することで改善が期待できます。周囲の無線環境を改善することで、安定したネットワーク接続を実現できます。

3. その他のトラブルシューティング

上記以外にも、いくつかの要因がネットワーク接続の失敗につながる可能性があります。例えば、ネットワーク機器(アクセスポイント、ブロードバンドルーターなど)のプライバシーセパレーター機能が有効になっていると、プリンターとパソコン間の通信ができなくなります。ネットワーク機器のマニュアルを参照して、この機能を無効にしてみてください。 また、ネットワークに多くのパソコンやネットワーク機器が接続されていると、DHCPサーバーからIPアドレスを取得できず、接続できない場合があります。使用していない機器の電源を切るなどして、利用可能なIPアドレスを増やすことを試みてください。 プリンターとネットワーク機器の電源を入れる順番によっても、一時的に接続できない場合があります。プリンターの電源を入れ直して1分ほど待ってから、接続状況を確認しましょう。IPアドレスの重複も接続障害の原因となり得ますので、各機器のIPアドレスを確認し、重複している場合は設定し直してください。これらの手順を試しても解決しない場合は、マニュアルの該当ページを参照するか、サポート窓口にお問い合わせください。

VI.Web Config ウェブコンフィグ

Web Configを使用すると、ブラウザからプリンターの設定メニューにアクセスし、各種設定を行うことができます。プリンターとパソコンの両方にIPアドレスが設定されている必要があります。ルート証明書の失効にも注意が必要です。

1. Web Configの概要とアクセス方法

Web Config(ウェブコンフィグ)は、ブラウザからプリンターの設定メニューにアクセスし、各種設定を行うことができる機能です。パソコン、スマートフォン、タブレットなど、ブラウザが起動できる機器からアクセス可能です。Web Configを使用するには、プリンターとアクセスする機器の両方にIPアドレスが設定されている必要があります。 IPアドレスは、自動取得が推奨されていますが、手動設定の場合も、正しいIPアドレスが設定されていることを確認する必要があります。Web Configは、プリンターの設定を詳細に確認および変更する際に便利なツールです。無線LANの設定変更や、その他の詳細なプリンター設定をWebブラウザを介して行うことができます。 Web Configの操作方法は、プリンターの機種によって異なる場合がありますので、マニュアルをよく確認して操作してください。設定変更を行う際には、誤った設定を行わないように注意し、変更前に現在の設定をメモしておくと便利です。

2. Web Configを利用する際の注意点

Web Configを利用する際に注意すべき点として、プリンターのルート証明書の有効期限があります。ルート証明書が失効している場合、Web Configやプリンターの操作パネルに更新を促すメッセージが表示されます。このメッセージが表示された場合は、プリンターと同じネットワークに接続されている機器からWeb Configを開き、ルート証明書の更新を行う必要があります。ルート証明書の更新は、プリンターのセキュリティを維持するために非常に重要な手順です。 ルート証明書の更新手順は、プリンターのマニュアルに詳細に記載されているはずです。更新がうまくいかない場合は、サポート窓口に問い合わせることをお勧めします。 Webサービスが利用できない場合、Web Configも利用できない場合がありますので、ネットワーク接続やプリンターの動作状態などを確認する必要があります。