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特定建築物加湿ガイド:湿度管理の重要性

文書情報

学校

東京都特別区第4ブロック (Presumably a governmental body, not a university)

専攻 建築設備管理
場所 東京
文書タイプ 講習会資料
言語 Japanese
フォーマット | PDF
サイズ 2.66 MB

概要

I.湿度不足と 空気環境 の悪化 原因と対策

本資料は、オフィスビル、商業施設、病院などにおける【湿度不足】問題とその解決策に焦点を当てています。特に、冬期の【暖房シーズン】における湿度不足は、従業員の健康被害(風邪、インフルエンザの蔓延リスク増加)や静電気発生による機器トラブル、テナントからのクレーム増加につながります。湿度不足の原因として、加湿器の能力不足、システムの問題(エアコン組込加湿器の能力不足、全熱交換器の効率低下、エアハンドリングユニットの暖房運転が少ないなど)、そして建物の高気密高断熱化による室内発熱量の増加などが挙げられます。対策としては、適切な【加湿器】の選定・設置(単独運転加湿器、高飽和効率の【気化式加湿器】への交換など)、定期的な【メンテナンス】、そして建物の【空調システム】の見直しなどが重要です。港区のヒルクレスト373ビル(1991年竣工)のリニューアル事例では、【超音波式加湿器】から【気化式加湿器】への交換により、湿度不足が解消され、テナントからのクレームも減少しました。

1. 湿度不足による問題点

オフィスビル、商業施設などにおける冬期の湿度不足は、深刻な問題を引き起こします。 乾燥した空気は、従業員の健康に悪影響を与え、風邪やインフルエンザの感染リスクを高めます。 呼吸器系の粘膜が乾燥することでウイルスが侵入しやすくなり、生産性低下や欠勤増加につながる可能性があります。 さらに、静電気の発生も増加し、精密機器の故障やデータ損失などのリスクも高まります。 テナントや顧客からのクレームも発生しやすくなり、企業イメージの悪化にも繋がります。インフルエンザウイルスに関しては、室内の湿度を50%以上に保つことで激減することが示唆されており、適切な湿度管理の重要性が強調されています。これらの問題を解決するために、効果的な加湿システムの導入と維持管理が不可欠です。

2. 湿度不足の主な原因

加湿器が設置されているにも関わらず湿度不足が発生する原因は多岐に渡ります。 まず、加湿器自身の稼働状態やシステムの問題が挙げられます。 例えば、天井カセットエアコンや天井隠蔽ダクト接続エアコンに組み込まれた加湿器は、エアコンの運転モードに影響を受け、十分な加湿能力を発揮できない場合があります。 また、全熱交換器に組み込まれた加湿器も、機器の経年劣化や空気条件の変化によって効率が低下し、所定の加湿能力を維持できない可能性があります。 さらに、近年のオフィス空調の傾向として、OA機器の普及による室内発生顕熱の増大や建物の高気密高断熱化により、空調機が暖房運転に入る頻度が減り、吹き出し温度が低めに抑えられる傾向があります。これらが相まって、冬期の湿度不足を招いているのです。加湿器の入口空気温度の低下やファンインバータ制御による送風量の低下も、加湿能力を下げる要因となります。エアハンドリングユニットの暖房状態が不十分な場合も同様です。 これらの要因を個別に、そして総合的に分析し、適切な対策を講じる必要があります。

3. 湿度不足への対応策

湿度不足への対応策としては、まず加湿器の稼働状態やシステムの問題点の解消が重要です。 オフィス等の室内発熱が高い部屋には、エアコン運転モードに左右されない単独運転加湿器の設置が有効です。 既存のシステムにおいては、エアコン組込加湿器の台数選定をエアコン送風運転時を考慮して行う、または単独運転加湿器を追加設置するなどの対策が考えられます。 全熱交換器を使用している場合は、定期的なメンテナンスによる交換効率の維持、そして必要に応じて単独加湿器の増設が有効な対策となります。 加湿器入口空気条件と運用時の空気状態の差異が大きい場合は、対応可能な加湿能力を持つ機器への交換が必要となる場合もあります。ファンインバータ制御による送風量低下の影響を受ける場合は、下限風量を考慮した加湿器の選定・交換が重要です。 スプレー式や超音波式加湿器を使用している場合は、高飽和効率な気化式加湿器への交換も効果的です。 さらに、ドアの頻繁な開閉による外気の影響を軽減する対策や、テナント側の温度設定の調整なども必要となる場合があります。 加湿器自体の不具合も考慮し、定期的なメンテナンスを徹底する必要があります。

4. 加湿器のリニューアル事例と効果

港区のヒルクレスト373ビル(1991年竣工)では、加湿器のリニューアルを実施し、効果を実証しています。 リニューアル前は、エアハンドリングユニットに組み込まれた超音波式加湿器を使用していましたが、湿度不足とテナントからのクレームが発生していました。 リニューアルでは、超音波式から気化式加湿器への変更が行われ、湿度不足が解消されました。 さらに、供給水を純水から水道水に変更することで、純水器の費用を削減できました。 気化式への変更は、超音波式に比べて飽和効率が高く、能力も大きいため、湿度不足の改善に大きく貢献しています。 この事例は、保健所の指導やテナントからの要望を受けて行われ、オフィス環境の改善とビルの価値向上に繋がりました。 また、単独運転加湿器へのリニューアル事例では、2方向カセットエアコン組込加湿器から単独運転加湿器への変更により、湿度が改善され、テナントからのクレームがなくなったことが報告されています。費用対効果についても、テナント賃料との収支バランスを考慮した上で実施されており、大きな負担にはならなかったとされています。

II. 加湿器の種類 と 加湿方式

加湿器には、気化式、超音波式、蒸気式など様々な種類があり、それぞれに長所と短所があります。【気化式加湿器】は高飽和効率で、特に室内発熱量の高い場所や外気処理空調機を使用している場所に向いています。一方、超音波式や蒸気式は、低温環境下では加湿効率が低下する可能性があります。最適な【加湿方式】の選定は、建物の構造、用途、そして【空気環境】の状況を考慮する必要があります。適切な加湿器を選ぶことで、快適な室内環境を維持し、【IAQ】(室内空気質)の改善に貢献します。

1. 加湿方式の種類と特徴

文書によると、加湿は空気に水蒸気を加える方法によって3種類に分類され、それぞれ加湿方式と呼ばれています。そのうち、文書で言及されているのは気化式です。気化式加湿器は、水を加熱せずに気化させるため、比較的低消費電力で、特定建築物においても広く用いられています。文書では、気化式加湿器の消費電力が約750Wと低消費電力であることが示されており、他の加湿方式との比較データも提示されています。しかし、具体的な他の加湿方式(超音波式、蒸気式など)の詳細な説明や比較は限定的です。これらの加湿方式は、それぞれ異なる原理に基づいて加湿を行うため、導入場所や環境によって最適な方式が異なります。例えば、気化式は高飽和効率が特徴で、室内発熱量の高い場所や外気処理空調機での加湿に適している一方、超音波式や蒸気式は加湿器入口空気の温度が低いと効率が低下する可能性が示唆されています。 そのため、適切な加湿方式の選択には、建物の構造、用途、そして空気環境の状況を十分に考慮する必要があります。

2. 各加湿方式のメリット デメリットと適用事例

文書では、気化式加湿器が特定建築物で広く使用されていることが示されていますが、他の加湿方式(超音波式、蒸気式)についての具体的なメリット・デメリットや適用事例は限定的にしか触れられていません。しかし、ヒルクレスト373ビルのリニューアル事例から、超音波式加湿器から気化式加湿器への変更が成功したことが示されています。この事例では、超音波式加湿器の噴霧水が空調器を濡らし、錆びの原因になっていた問題が、気化式への変更によって解決したことが報告されています。また、気化式加湿器は超音波式に比べて飽和効率が高く、能力も大きいため、湿度不足の改善に効果的であることが示唆されています。スプレー式加湿器についても言及されており、低飽和効率のため室内発熱が高い場合や外気処理空調機での加湿には不向きであることが指摘されています。蒸気式加湿器に関しては、低温環境下での露付による加湿能力低下が問題となる可能性が示唆されています。これらの情報から、各加湿方式の特性を理解し、設置場所や運用状況に最適な加湿器を選択することが重要であることがわかります。

III. 加湿器のメンテナンス と 保守管理

加湿器は定期的なメンテナンスが不可欠です。特に、スケール付着による加湿能力の低下や、故障による湿度不足を防ぐためには、メーカーの取扱説明書に従った適切な【保守管理】が重要です。【気化式加湿器】では加湿モジュールの洗浄、【電熱式】ではスケール除去、【超音波式】では振動子の清掃などが重要です。適切なメンテナンスは、加湿器の寿命を延ばし、【湿度不足】問題の予防に繋がります。また、ビル衛生管理法・建築物衛生法の改正にも配慮した管理が必要です。

1. 加湿器メンテナンスの重要性と必要性

文書は、加湿器の適切な維持管理が湿度不足を防ぎ、快適な室内環境を維持する上で極めて重要であると強調しています。加湿器は水を蒸発させる装置であるため、水の蒸発残留物が付着したり、様々な要因で故障したりする可能性があり、定期的なメンテナンスが不可欠です。メンテナンス不足は、加湿器の能力低下、機能不良、ひいては湿度不足に直結します。 ビル衛生管理法・建築物衛生法の改正にも対応した適切な保守管理が求められています。 加湿器の能力と機能を維持するためには、定期的な保守メンテナンス作業が不可欠であり、メーカーの取扱説明書に従った適切な手順で行う必要があります。 メンテナンスの遅れは、加湿モジュールの給水性低下、蒸発量減少、加湿能力の低下、ひいては湿度不足につながるだけでなく、蒸発残留物の付着による雑菌繁殖や臭気発生といった衛生面の問題も引き起こす可能性があります。 そのため、定期的な清掃や部品交換など、適切なメンテナンスを計画的に実施することが、快適な室内環境と加湿器の寿命維持に不可欠です。

2. 加湿器の種類別のメンテナンス方法

文書では、加湿器の種類別に必要なメンテナンス内容が詳細に説明されています。気化式加湿器では、加湿モジュールの洗浄が重要であり、洗浄を怠ると水の蒸発残留物が固着し、給水性が低下して蒸発量が減少し、加湿能力が低下します。電熱式・パン型加湿器では、水道水を使用する場合、スケール成分が付着し、蒸気発生量が低下したり、排水系の異常を引き起こしたりする可能性があります。供給水を軟水にすることで、これらの問題を軽減できる可能性が示唆されています。電極式加湿器では、蒸気シリンダが消耗部品であり、定期的な交換が必要であると明記されています。交換を怠ると、シリンダタンクの劣化による漏水などが発生する可能性があります。超音波式加湿器では、水道水を使用する場合、加湿器水槽内や振動子部にスケールが付着し、振動子の寿命が短くなり、霧化量が低下して能力不足になる可能性があります。これらの情報から、加湿器の種類によって適切なメンテナンス方法が異なることがわかります。そのため、使用している加湿器の種類を把握し、メーカーの取扱説明書を参照しながら、適切なメンテナンスを実施することが重要です。

3. メンテナンス不足による不具合事例

文書では、メンテナンス不足によって発生する具体的な不具合事例が紹介されています。 加湿モジュールに蒸発残留物が固着し、加湿能力が低下する事例や、電熱式加湿器の水道水使用によるスケール付着とそれに伴う蒸気発生量低下、排水系の異常などが挙げられています。また、電極式加湿器の蒸気シリンダの交換を怠ることによる漏水、超音波式加湿器におけるスケール付着による振動子寿命の短縮と霧化量低下といった事例も示されています。これらの事例は、メンテナンス不足が加湿器の機能不全や故障に直結し、結果として湿度不足やその他の問題を引き起こすことを明確に示しています。 これらの不具合を未然に防ぐためには、定期的な点検と清掃、必要に応じた部品交換などの適切なメンテナンスが不可欠であることを改めて示しています。 特に、使用している加湿器の種類に応じて適切なメンテナンスを行うことが重要であり、メーカーの取扱説明書を熟読し、適切な手順でメンテナンスを行うことが求められます。

IV. 加湿器リニューアル 事例 ヒルクレスト373ビル

港区ヒルクレスト373ビル(1991年竣工)では、加湿器のリニューアルを行いました。既存の超音波式加湿器から気化式加湿器への交換により、相対湿度が40%RH以下から40%RH以上に改善され、テナントからの湿度に関するクレームが解消されました。この事例では、純水器の撤去によるコスト削減効果も得られました。このリニューアルは、保健所の指導やテナントからの要望をきっかけに行われ、ビルの価値向上に貢献しました。リニューアル費用と効果のバランスも考慮され、テナント賃料との収支バランスに大きな負担はかかりませんでした。

1. ヒルクレスト373ビルのリニューアル概要

港区にあるヒルクレスト373ビル(1991年竣工)では、加湿器のリニューアルが行われました。 リニューアル前は、エアハンドリングユニットに超音波式加湿器が組み込まれていましたが、平均湿度が23℃29%と低く、室内乾燥によるテナントからのクレームが発生していました。 この状況を受け、保健所の立ち入り検査による指導とテナントからの要望をきっかけに、加湿器のリニューアルが決定されました。 リニューアルの目的は、湿度不足の改善による快適なオフィス環境の提供と、ビルの価値向上です。 具体的なリニューアル内容は、超音波式加湿器から気化式加湿器への交換です。 この変更によって、湿度不足が解消され、テナントからのクレームも減少するという効果が得られました。 さらに、供給水を純水から水道水に変更したことで、純水器にかかる費用を削減できたという経済的なメリットも享受しています。

2. リニューアル前後の比較と効果

リニューアル前は、エアハンドリングユニットに組み込まれた超音波式加湿器を使用しており、相対湿度が40%RH以下と低く、湿度不足が深刻な問題となっていました。 この状態では、テナントから風邪にかかる人が増えるなど、健康面への影響も懸念されていました。 リニューアル後、気化式加湿器への交換により、相対湿度が40%RH以上に改善されました。 これは、超音波式に比べて気化式の方が飽和効率が高く、加湿能力が大きいためです。 結果として、テナントからの湿度に関するクレームは解消されました。 さらに、超音波式加湿器では、噴霧水が空調器を濡らし、錆びの原因となっていましたが、気化式への変更によってこの問題も解決されました。 これらのことから、気化式加湿器へのリニューアルは、湿度不足の解消、テナント満足度の向上、そしてコスト削減という複数の効果をもたらしたことが分かります。

3. リニューアルによる経済効果と不動産価値向上

ヒルクレスト373ビルの加湿器リニューアルでは、経済効果も考慮されています。 純水を使用していた従来のシステムから水道水に変更することで、純水器が不要となり、ランニングコストを削減できました。 リニューアル費用と効果のバランスについても、テナントからの賃料との収支バランスを考慮し、大きな負担にはならなかったと報告されています。 このリニューアルは、単なる設備更新ではなく、テナントの満足度向上とビルの価値向上という経営的な視点に基づいて行われたことが伺えます。 湿度改善された快適なオフィス環境は、不動産仲介業者からも高く評価され、顧客へのアピールポイントとして活用できるため、競争優位性も向上しています。 この事例は、加湿器のリニューアルが、コスト削減、テナント満足度向上、そしてビルの資産価値向上に繋がることを示す成功例となっています。