旭化成エレクトロニクス株式会社

AKM製品ガイド:信頼性と品質保証

文書情報

会社

旭化成エレクトロニクス株式会社

文書タイプ 社内資料
言語 Japanese
フォーマット | PDF
サイズ 7.57 MB

概要

I.旭化成エレクトロニクスの製品と技術

旭化成エレクトロニクスは、独自の開発・設計・生産技術と高いマーケティング力を活かし、お客様の生産工程・最終製品に不可欠な素材と機能を提供しています。主力製品は、携帯情報端末向け電子コンパスTCXO制御回路音声帯域処理回路などのアナデジLSI、および磁気センサー電流センサー赤外線センサーなどのセンシングデバイスです。これらの製品はグローバルに高い評価を得ており、他社の追随を許さない先端技術が強みです。特に、車載用途など、高い品質要求レベルが求められる分野にも対応できる体制を整備しています。

1. 旭化成エレクトロニクスの事業概要と強み

旭化成エレクトロニクスは、独自の開発・設計・生産技術と高いマーケティング力を強みに、お客様の生産工程から最終製品に至るまで必要不可欠な素材と機能を提供する企業です。 更なる技術革新による業界トップレベルの地位の確立を目指しており、お客様にとって真の存在感のあるパートナーとなることを目指しています。 この高い技術力とマーケティング力は、グローバル市場においても高い評価を獲得し、他社を圧倒する競争優位性を築いています。 顧客ニーズにきめ細かく対応し、常に最先端技術の提供に努める姿勢が、旭化成エレクトロニクスの成長を支えています。独自の技術開発と生産体制の両面から、高品質かつ信頼性の高い製品の提供を徹底することで、お客様の信頼を勝ち得ています。今後も、技術革新を継続し、市場におけるリーディングカンパニーとしての地位を堅持していくことが期待されます。これらの取り組みは、単なる製品供給にとどまらず、お客様の事業成功に貢献する真のパートナーシップを目指していることを明確に示しています。

2. 主要製品 アナデジLSIとセンシングデバイス

旭化成エレクトロニクスの事業の中核を担うのは、高度な技術力を要するアナログ・デジタル混載LSIと、多様なセンシングデバイスです。具体的には、携帯情報端末向けの電子コンパス、TCXO制御回路、音声帯域処理回路といった高度な機能を持つアナデジLSIが挙げられます。 これらのLSIは、情報機器の高機能化、小型化、省電力化に大きく貢献しています。 さらに、磁気センサー、電流センサー、赤外線センサーといったセンシングデバイスも主力製品であり、様々な分野での高度な計測や制御を実現しています。 これらの製品群は、高い信頼性と精度の高さ、そして小型化・省電力化といった特徴を備えており、市場から高い評価を受けています。 特に、車載用途など、高い信頼性が求められる分野においても、独自の技術力を活かした製品を提供することで、競争優位性を築いています。 これらの製品は、単体での利用だけでなく、システム全体のパフォーマンス向上に貢献する重要な要素として認識されており、お客様の幅広いニーズに応えることが可能です。

3. グローバルな展開と高い評価

旭化成エレクトロニクスは、独自の技術力を活かした製品群をグローバルに展開し、世界中のお客様から高い評価を得ています。 他社が容易に追随できない先端技術は、競争優位性の源泉であり、市場における存在感を高めています。 グローバルな展開は、多様な顧客ニーズへの対応と、世界規模での事業拡大を目指した戦略的な取り組みであり、旭化成エレクトロニクスが目指す業界トップレベルのポジション獲得に大きく貢献しています。 国際的な基準や規制にも積極的に対応することで、グローバル市場における信頼性を高め、事業基盤の強化に繋げています。 世界中のお客様からの信頼を背景に、旭化成エレクトロニクスは、今後も技術革新を続け、更なる市場拡大を目指していくことが期待されます。このグローバルな展開は、単なる市場拡大にとどまらず、グローバルな技術交流や連携による更なる技術向上にも繋がる可能性を秘めています。

II.品質マネジメントシステム

旭化成エレクトロニクスは、厳格な品質マネジメントシステムを構築し、お客様からの要求事項を満たす製品を提供することに注力しています。ISO/TS 16949への適合を目標とした外部委託先の品質・環境システム開発にも取り組んでいます。**CIM (Computer Integrated Manufacturing)**による生産管理でロット単位のトレーサビリティを確保し、迅速な納期対応を実現しています。クレーム情報などの「お客様の声」を積極的に収集し、トップマネジメントに反映させることで、継続的な改善を推進しています。8D手法などの問題解決プロセスを用い、故障解析を行い、再発防止策を徹底しています。

1. 品質管理体制と顧客ニーズへの対応

旭化成エレクトロニクスは、顧客の要求事項を満たすための厳格な品質管理体制を構築しています。納入仕様書、技術情報、品質データの提供に加え、多様化する顧客ニーズや品質契約にも柔軟に対応しています。お客様からのクレーム情報や品質監査といった様々なフィードバックを営業部門が定期的に収集し、トップマネジメントへ報告すると共に、委託先を含む関連部門と共有することで、継続的な改善に繋げています。 顧客満足度向上のため、顧客からの声を重視した活動が積極的に行われており、迅速な問題解決と再発防止に繋がる仕組みが構築されています。 これは、単なる品質管理にとどまらず、顧客との強固な信頼関係を構築するための重要な取り組みであると言えるでしょう。この体制は、顧客の信頼獲得と維持に大きく貢献し、長期的な事業発展の基盤となっています。

2. 問題発生時の対応と再発防止策

品質保証部門は、解析結果に基づき、不具合の原因調査と再発防止策の検討を関連部門(設計部門、製造部門、外注管理部門など)に指示します。必要に応じて、部門を横断した体制で問題に取り組み、迅速な対応と効果的な解決を目指します。 お客様からの不具合情報はデータベースに登録され、品質保証部門は解析の各段階で得られた情報を随時追加していきます。この情報蓄積により、是正処置だけでなく、予防処置にも活用することで、同様の問題の再発を未然に防ぐ仕組みを構築しています。 8Dレポートを用いた問題解決手法も導入しており、問題の明確化から恒久的な対策、再発防止策の実施、効果の確認まで、体系的なプロセスに基づいて対応することで、高いレベルの品質保証を実現しています。この徹底した再発防止策は、顧客への信頼性向上に直結する重要な要素となっています。

3. 内部監査と継続的改善

品質マネジメントシステムの有効性と適合性を確認するため、定期的な内部監査を実施しています。年1回以上の定期監査に加え、定期監査のフォローアップ、システムの大幅な変更、重大クレーム発生時、その他品質上の重大な問題発生時には、随時特別監査を実施します。監査結果に基づき、改善が必要な点は迅速に是正し、システムの継続的な改善を図ることで、常に高いレベルの品質維持を目指しています。 これらの監査は、単なる形式的なチェックではなく、システム全体の有効性を検証し、改善につなげるための重要なプロセスとなっています。 継続的な改善活動を通じて、品質マネジメントシステムの更なる強化と、顧客への信頼性向上に繋げています。この徹底した監査体制は、企業の社会的責任を果たす上で重要な役割を果たしています。

4. 外部委託先の管理と品質維持

製造工程の一部を外部委託する場合、旭化成エレクトロニクスは委託先との間で仕様を取り交わし、協力体制を確立します。継続的な評価・検証によって委託先の品質を維持・向上させ、高い品質基準を維持しています。 ISO/TS 16949への適合を目標とした外部委託先の品質・環境システムの開発にも取り組んでおり、サプライチェーン全体での品質管理体制の構築に力を入れています。 これは、自社だけでは実現できない規模や種類の生産を確保しつつ、高い品質を維持するための重要な取り組みです。 委託先との連携を強化することで、迅速な対応力と柔軟な生産体制を両立させ、顧客ニーズへの迅速な対応を可能にしています。この体制は、サプライチェーン全体での品質向上に貢献し、企業競争力の向上に繋がります。

5. 生産管理システム CIM による効率化とトレーサビリティ

生産管理にはCIM (Computer Integrated Manufacturing) システムを採用し、ロット単位でのトレーサビリティを確保しています。このシステムは自動倉庫だけでなく、本社の生産管理部門ともオンラインで接続されており、生産計画、流動管理、在庫管理、出荷を含むトータルの納期管理に大きく貢献しています。 製品ごとの加工スピードを考慮し、お客様の納入要求に応じて細かく納期調整を行うことで、高い生産効率と納期遵守を実現しています。 SPC (Statistical Process Control) マニュアルに基づき、工程の安定性を確認し、異常傾向を早期に発見することで、迅速な対応と品質の維持に繋げています。 これは、顧客への迅速な納品と高品質な製品提供を実現するための重要な基盤となっています。この効率的な生産管理システムは、競争優位性を確保する上で重要な役割を果たしています。

III.信頼性保証

高い信頼性を確保するため、旭化成エレクトロニクスはJEITAJEDECAEC-Q100などの業界規格を参考に、様々な試験を実施しています。特に、加速試験IDDQテストなどを用いて、製品の信頼性を検証し、早期故障や摩耗故障の発生を抑制しています。**TEG (Test Element Group)**による素子レベルの高加速試験も実施することで、より高精度な信頼性予測を実現しています。また、2011年4月制定のJEITA EDR-4708を参考に、信頼性予測精度の向上と故障モード毎の不良検出力を向上させています。

1. 業界規格準拠試験と信頼性評価

旭化成エレクトロニクスは、製品の信頼性確保のため、JEITA、JEDEC、AEC-Q100などの業界標準規格に準拠した様々な試験を実施しています。これらの試験は、製品の信頼性を多角的に評価するために実施されており、高い品質基準を満たしていることを確認する上で重要な役割を担っています。 特に、2011年4月に制定されたJEITA EDR-4708(半導体集積回路信頼性認定ガイドライン)を参考に、信頼性予測精度と故障モード毎の不良検出力を向上させるための試験方法を導入し、更なる信頼性向上に努めています。 これらの試験によって得られたデータは、製品設計の改善や製造プロセスの最適化に活用され、継続的な信頼性向上に役立てられています。 これは、単なる規格への適合にとどまらず、顧客への信頼性向上を最優先に考える姿勢の表れです。

2. 加速試験による寿命予測と故障メカニズム解明

製品の信頼性を評価する上で、加速試験は重要な役割を担っています。JIS Z 8115に定義される加速試験は、特定のストレス条件下で試験を行うことで、短期間で実使用状態での故障率や寿命を推定する方法です。 しかし、製品レベルでの加速試験には限界があり、全ての故障モードを再現できない可能性があるため、素子レベルでの高加速試験(TEGによる試験)も併用することで、より正確な寿命予測と故障メカニズムの解明に努めています。 これは、潜在的な故障を早期に発見し、設計段階での対策を講じることを可能にし、製品の信頼性を飛躍的に向上させる上で重要な技術です。 この多角的なアプローチにより、より信頼性の高い製品設計と製造プロセスを実現しています。

3. 故障モードと故障率分析 初期故障 稼働期故障 摩耗故障

製品の故障は、初期故障、稼働期故障、摩耗故障の3つの段階に分類されます。初期故障は、製造上の不具合などが原因で発生し、稼働初期に多く発生します。稼働期故障は、初期故障の残留分や外部要因による偶発的な故障を含みます。摩耗故障は、製品寿命が尽きる段階で発生する故障であり、設計段階で発生しないよう対策を講じる必要があります。 これらの故障モードを理解し、それぞれの故障率を分析することで、製品の信頼性を向上させるための対策を講じることが可能になります。 ワイブル分布を用いた故障率分析なども行い、製品の寿命や信頼性を定量的に評価し、設計改善にフィードバックしています。 この分析に基づき、製品の設計・製造プロセスにおける弱点を見抜き、改善することで、より高い信頼性を有する製品を提供することを目指しています。

4. IDDQテストによる不良検出

消費電流が製品特性の重要な要素となる製品、特に車載品やインフラ関連製品においては、IDDQテストを適用しています。IDDQテストは、極めて微小なリーク電流を検出することで、ショートなどの不良を早期に発見する技術です。 このテストは、製品の品質管理において重要な役割を果たし、不良品の混入を抑制します。電池駆動アプリケーションなど、消費電力の低減が重要な製品においては、特に有効な検査手段となります。 IDDQテストは、目に見えない微小な異常を検出することで、製品の信頼性を高める上で貢献しています。 旭化成エレクトロニクスでは、状況に応じて様々な製品にこのテストを適用し、高品質な製品を提供することに努めています。

IV.故障解析と解析技術

故障発生時の迅速かつ正確な解析のため、X線透過装置エミッション顕微鏡EBテスターOBIRCH解析FIBなどの高度な解析技術を駆使しています。これらの技術により、不良箇所の特定や原因究明を行い、再発防止に繋げています。特に、ディジタル回路の解析においては、EBテスターとOBIRCH解析の組み合わせによるSDL (Soft Defect Localization) を活用しています。

1. X線透過装置による非破壊検査

故障解析において、X線透過装置は重要な役割を果たします。この装置はX線を用いて製品内部を非破壊で観察できるため、ワイヤーボンディングやインナーリードの形状などの検査に活用されています。マイクロフォーカスX線管を採用した高性能な装置であり、低倍率から高倍率までシャープな映像観察が可能です。一部機種にはCT機能も搭載されており、より詳細な内部構造の把握を可能としています。 非破壊検査であるため、製品にダメージを与えることなく検査できる点が大きなメリットであり、製品の品質管理において非常に有効なツールとなっています。この技術は、目視では確認できない微細な構造や欠陥の検出を可能にし、故障原因特定の精度向上に貢献しています。

2. エミッション顕微鏡による電流リーク等の検出

エミッション顕微鏡は、電子ビームを照射して発生する二次電子を検出することで、製品内部の異常を視覚的に捉えることができる装置です。この技術は、電流リークなどの異常を検出するのに非常に有効であり、故障解析において頻繁に用いられています。操作が簡単で、視覚的に現象を捉えられるため、迅速な解析を可能にします。 発生した発光現象を検出することで、電流リークなどの異常を捉えることができ、故障原因の特定に役立ちます。 この技術は、他の解析技術と組み合わせることで、より詳細な故障解析を行うことが可能です。 視覚的な情報提供によって、解析の効率化と正確性の向上に貢献している点が特徴です。

3. EBテスターとOBIRCH解析によるデジタル回路解析

EBテスターは、電子ビームを照射して発生する二次電子を検出することで、チップ上の配線の電位挙動を把握する装置です。これにより、配線電位像や動作波形を取得でき、デジタル回路の解析に有効です。非接触で電位測定できる利点がありますが、ロジックテスターと同期した繰り返し波形しか測定できないという制約もあります。 OBIRCH解析は、レーザー照射による局所加熱で抵抗/電流変化を捉える解析方法です。微小な電流変化の検出が可能で、リーク箇所の特定に役立ちます。 ロジックテスターとの組み合わせでは、デジタルファンクションのマージナル故障解析(SDL: Soft Defect Localization)も行えます。 これらの技術は、デジタル回路における複雑な故障現象の解明に不可欠です。

4. FIBによる回路修正とプロービングパッド作成

FIB(Focused Ion Beam)は、イオンビームを用いた局所的な加工装置です。エッチング加工やデポジション加工が可能で、回路修正やプロービングパッドの作成に用いられます。回路修正用FIBでは、ガスアシスト加工により高精度な加工を実現しています。 EBテスター解析やメカニカルプロービング解析の前処理として不可欠な技術であり、設計開発段階での回路デバッグにも活用されています。 微細な加工技術により、複雑な回路の修正や検査を可能にし、開発期間の短縮や製品品質の向上に貢献します。 この技術は、製品開発における効率性と精度を向上させる上で非常に重要な役割を担っています。

V.環境関連物質の管理とグリーン調達

旭化成エレクトロニクスは、RoHS指令REACH規則EuP指令ErP指令などの環境関連法規制を遵守し、環境負荷物質の削減に積極的に取り組んでいます。ハロゲンフリー製品の開発にも注力しています。サプライチェーン全体での取り組みとして、グリーン調達を推進し、環境負荷の少ない原材料・資材を優先的に調達しています。MSDSMSDSplusAISなどを活用し、化学物質情報の伝達を徹底しています。紛争鉱物問題にも対応しており、EICC(Electronics Industry Citizenship Coalition)の行動規範を尊重しています。

1. 環境負荷物質の管理 法規制遵守と積極的な取り組み

旭化成エレクトロニクスは、国内外の法規類を遵守するだけでなく、国連グローバルコンパクトやEICC行動規範といった国際的指針の理念を尊重し、環境負荷物質の管理に積極的に取り組んでいます。 具体的には、「法令による使用禁止化学物質」、「環境負荷物質」、「企業倫理として不適切な物質」、「顧客要求管理物質」を明確化し、製品や包装材への含有を確実に防止しています。 RoHS指令(有害物質使用制限指令)やREACH規則(化学物質登録・評価・認可・制限規則)などの欧州連合の規制にも対応し、EU加盟国内での販売規制にも適合した製品を提供しています。 サプライチェーン全体での情報伝達にも注力しており、迅速な情報開示とコミュニケーションを通して、環境負荷物質に関するリスクを最小限に抑える体制を構築しています。これは、環境保全への強い責任感と、持続可能な社会への貢献を目的とした取り組みです。

2. RoHS指令 REACH規則 EuP指令への対応

欧州連合(EU)におけるRoHS指令(2006年7月施行)、REACH規則(2007年6月発効)、EuP指令(2005年発効)、ErP指令(2010年11月20日発効)などの環境規制に準拠した製品開発と製造を行っています。RoHS指令では、カドミウム、鉛、水銀、六価クロム、PBBs、PBDEsの6物質の含有量を規制しており、REACH規則では年間1トン以上の化学物質の登録と危険性評価が求められます。EuP指令およびErP指令は、製品の省エネルギー化を推進するもので、CEマークの取得がEU加盟国内での販売必須条件です。 旭化成エレクトロニクスは、これらの規制を遵守し、環境に配慮した製品を提供することで、グローバル市場での競争力を強化しています。 これらの指令への対応は、単なる法令遵守にとどまらず、環境保全への企業姿勢を示す重要な指標となっています。

3. ハロゲンフリーへの取り組みとグリーン調達

ハロゲン物質(臭素、塩素)は環境への悪影響が懸念されるため、JPCA-ES01、IEC 61249-2-21、IPC-4101などの規格に準拠したハロゲンフリー基準を設け、環境負荷低減に努めています。 環境負荷の少ない製品を提供するためには、サプライチェーン全体での取り組みが不可欠であると考え、グリーン調達を推進しています。 環境負荷物質の少ない原材料や資材を優先的に調達・購入するだけでなく、外部委託先にも同様の配慮を求め、厳重な管理を行っています。 MSDS、MSDSplus、AISといった情報伝達ツールを活用し、サプライチェーン全体での情報共有を促進することで、化学物質に関するリスク管理を徹底しています。 これは、環境配慮型の製品開発とサプライチェーンマネジメントを統合した、持続可能なビジネスモデルの実現を目指した取り組みです。

VI.製品ご使用上の注意

半導体デバイスの取扱いには細心の注意が必要です。はんだ付け、実装時の加熱、静電気ラッチアップ絶対最大定格を超えない設計、適切なディレーティング、保管状態、評価時の注意点など、製品の品質・信頼性を維持するために、適切な使用方法と管理が必要です。JEDEC J-STD-020JIS Z 8115などの規格を参考に、適切な取り扱いを行ってください。吸湿の影響を考慮し、フロアライフを管理することも重要です。

1. はんだ付けに関する注意事項

半導体デバイスのはんだ付けは、適切な温度と時間で行う必要があります。高温状態での長時間放置はデバイスに悪影響を与えるため、注意が必要です。また、はんだ付けの際に使用するフラックスは、酸性やアルカリ性の強いものは避けてください。 酸性やアルカリ性の強いフラックスを使用すると、リードの腐食や特性への悪影響を引き起こす可能性があります。実装時の加熱不足は、はんだ付け不良に繋がるため、適切な加熱を行うことが重要です。 これらの注意事項を守らないと、製品の品質や信頼性を損なう可能性があります。 はんだ付け作業は、製品の寿命や性能に大きく影響するため、正しい知識と技術に基づいた作業を行うことが求められます。

2. 実装時の注意点 加熱とパッケージへのダメージ

実装工程では、はんだ付けのためにデバイスを加熱しますが、加熱によってチップやパッケージにダメージを与えないよう注意が必要です。直接的な加熱だけでなく、アンダーフィルによる応力や、吸湿した水分が水蒸気化することによる急激な膨張もパッケージ破壊の原因となります。 特に、プラスチックパッケージに用いられる樹脂は吸湿しやすい特性を持っているため、湿度が高い場所での保管は避け、防湿梱包を適切に行う必要があります。防湿梱包を解いた後は、はんだ付けを行うまでの時間管理(フロアライフ)が重要であり、JEDEC J-STD-020などの規格を参考に、適切な保管と実装を行うべきです。 アンダーフィルを使用する場合は、塗布量の管理を徹底し、パッケージへのストレスを最小限に抑える必要があります。 これらの注意事項は、製品の信頼性を維持するために不可欠な要素です。

3. 保管状態と取扱いに関する注意

半導体デバイスの保管状態は、製品の品質に大きく影響します。収納ケースや化粧箱などを積み重ねる際は、デバイスに荷重がかからないよう注意し、重量物を乗せることは避けてください。 デバイスの外部端子は、未加工の状態で保管することが推奨されます。リード曲げ加工をした状態で保管すると、屈曲部に錆が発生し、はんだ付け不良の原因となる可能性があります。 また、機械的振動や衝撃を極力少なくするなど、デバイスへの物理的なストレスを軽減することが重要です。 静電気による静電破壊(ESD)を防ぐため、梱包、保管、運搬の際には十分な注意が必要です。 JEITA EDR-4701C「半導体デバイスの取扱いガイド」を参考に、適切な取扱いを行うことが推奨されます。

4. 評価時および使用時の注意点 静電気 ノイズ サージ電圧への対策

お客様での電気的特性評価や実装検査を行う際は、静電気、ノイズ、サージ電圧などに十分注意する必要があります。運搬や保管時には端子間を同電位にしておくことで、静電気による破壊を防ぐことができます。 デバイスの測定時や組み込み時には、全端子が開放された状態を維持するなどの配慮が必要です。 テスト時には、端子の誤接続、逆差し、端子間ショートなどを起こさないように注意深く作業を行う必要があります。基板の動作チェックを行う際は、はんだブリッジや異物ブリッジがないことを確認してから電源をONにしてください。 デバイスの種類によって注意事項が異なるため、不明な点は当社営業担当者にご相談ください。 これらの注意点は、製品の誤動作や故障を防ぎ、信頼性を確保するために非常に重要です。

5. 絶対最大定格とラッチアップへの注意

半導体デバイスを使用する際には、絶対最大定格(JIS C 7032)を絶対に超えないように注意する必要があります。絶対最大定格を超えると、デバイスの劣化や破壊につながり、寿命が短くなる可能性があります。 電子回路設計においては、使用中の外部条件の変動によっても絶対最大定格を超えないよう、十分な余裕を持った設計を行う必要があります。 CMOS LSIでは、ラッチアップ現象が発生する可能性があります。ラッチアップは、過大電流が流れ、デバイスが破壊される現象です。これを防ぐためには、絶対最大定格を超えない設計を行うこと、入力端子への適切な保護回路の設置などが重要です。 これらの注意事項を守らないと、デバイスの故障やシステムの誤動作につながる可能性があります。