目次 2017 年度の取り組み 2017 年度決算および 2018 年度見通しの総括 決算および見通しの詳細 2

ホンダ2017年度決算説明会

文書情報

著者

本田技研工業株式会社

会社

本田技研工業株式会社

文書タイプ 決算説明会資料
言語 Japanese
フォーマット | PDF
サイズ 1.62 MB

概要

I.Honda 2017年度連結決算概要 増益と主要事業の動向

2017年度、本田技研工業(Honda)は連結決算において、営業利益は前年比71億円の減益(8,335億円)でしたが、為替影響、年金制度改定影響、集団訴訟和解金などを除くと実質941億円の増益となりました。これは、売上変動及び構成差に伴う利益増コストダウン効果によるものです。一方、親会社の所有者に帰属する当期利益は、持分法による投資利益の増加や米国法人税率引き下げの影響もあり、前年比71.8%増の1兆593億円となりました。 Hondaグループ販売台数は、二輪事業ではインド、ベトナム、タイなどで増加、四輪事業では北米で減少したものの、中国や日本で増加しました。特に中国市場では145万台と過去最高を記録し、軽自動車は3年連続国内販売台数No.1を獲得しました。重要な製品としては、マイナーチェンジしたLegend、Vezel、新型X-Blade、Activa、Gold Wingなどが挙げられます。

1. 営業利益と当期利益 増益要因と減益要因の分析

2017年度の本田技研工業の連結決算において、営業利益は8,335億円と前年比71億円の減益となりました。しかし、為替影響、前年度の年金制度改定の影響、そしてエアバッグインフレーター関連の集団訴訟和解金などを考慮すると、売上変動と構成比率の変化による利益増加、更なるコストダウン効果により、実質的には941億円の増益を達成しています。一方、親会社の所有者に帰属する当期利益は、持分法による投資利益の増加や米国法人税率の引き下げ(3,461億円相当の影響)もあり、前年比71.8%増の1兆593億円という大幅な増益を記録しました。これらの数値は、様々な要因が複雑に絡み合って生み出された結果であり、単純な比較だけでは真の業績を捉えきれないことを示しています。特に、為替変動、年金制度改定、そして大規模な訴訟といった外的要因が、業績に大きな影響を与えていることがわかります。これらの要因を精査することで、Hondaの真の経営力をより正確に評価することが可能になります。

2. Hondaグループ販売台数の概要 地域別販売動向と主要車種

Hondaグループの2017年度の販売台数は、二輪事業と四輪事業で異なる傾向を示しています。二輪事業はインド、ベトナム、タイなどで販売台数を伸ばし、堅調な成長を遂げています。一方、四輪事業は北米市場で減少したものの、中国や日本市場では販売台数が増加しており、全体としてバランスの取れた販売実績となっています。特に、中国市場では145万台という過去最高の販売台数を記録し、市場におけるHondaの強い存在感を示しています。また、日本市場では軽四輪車において3年連続で販売台数第1位を獲得するなど、国内市場でも高い競争力を維持しています。主要車種としては、マイナーチェンジされたLegendとVezel、中国市場を牽引したAvancier、UR-V、Civic、そしてインド市場で発売された新型X-BladeとActivaなどが挙げられ、これらの車種が販売実績を大きく支えています。さらに、HondaJetのカテゴリートップのデリバリー数達成や、ANAとの戦略的パートナーシップ締結なども、Hondaの事業拡大に向けた取り組みとして注目されます。これらの成功事例は、今後の成長戦略を考える上で重要な指針となるでしょう。

3. その他のトピックス 新製品発売 戦略的提携 配当金

2017年度は、Hondaが様々な分野で積極的な取り組みを行った年でした。具体的には、ハンディータイプ発電機EU18i、17年ぶりのフルモデルチェンジを果たした大型プレミアムツアラーGold Wingといった新製品の発売が挙げられます。これらの新製品は、それぞれの市場セグメントにおいて新たな顧客層の獲得に貢献したと考えられます。また、ビジネスジェット市場拡大に向けたANAとの戦略的パートナーシップ締結は、Hondaの事業ポートフォリオ拡大戦略の一環として重要な意味を持ちます。この提携によって、Hondaは新たな市場への進出や事業規模の拡大を期待していると考えられます。さらに、配当金についても、第3四半期末配当金、期末配当金共に増加しており、株主還元にも積極的に取り組んでいる姿勢が伺えます。これらのトピックスは、Hondaの成長戦略と財務状況を理解する上で重要な情報です。これらの取り組みが今後の収益の拡大、更なる事業の発展に繋がるかが、今後の注目点となります。

II.事業別業績 四輪 二輪 パワープロダクツ事業の状況

四輪事業は、北米での累計生産台数2,500万台達成、中国市場での過去最高販売台数達成などの好調な地域と、北米市場での減収が混在しました。二輪事業は、インド、パキスタン、タイなどで販売台数が増加しました。パワープロダクツ事業は、売上収益と営業利益共に増加しました。 ハンディータイプ発電機EU18iの発売なども貢献しました。 HondaJetはカテゴリートップのデリバリー数を達成し、ANAとの戦略的パートナーシップ締結も発表されました。これらの事業の動向は、全体的な増益に大きく貢献しました。

1. 四輪事業 主要市場の動向と生産実績

2017年度のHonda四輪事業は、地域によって異なる状況を示しました。北米市場では、累計生産台数2,500万台を達成するなど、長年にわたる取り組みの成果が見られました。Honda SENSING搭載車の販売台数も増加傾向にあると推測されますが、具体的な数値は提示されていません。一方、中国市場では145万台と過去最高を記録し、Avancier、UR-V、Civicなどの車種が牽引役となりました。広汽本田の累計生産台数も600万台に到達しており、中国におけるHondaの生産体制の充実がうかがえます。しかし、北米市場などでは販売台数の減少が見られるなど、市場環境の変化への対応が課題となっています。インド市場では卸売実績として578万台と過去最高を記録しており、新型車X-BladeとActivaの発売が好調に推移したことがわかります。これらの地域別の販売動向は、今後の事業戦略を策定する上で重要な指標となります。特に、成長市場であるインドでのさらなる展開と、成熟市場である北米市場での競争力維持が今後の課題と言えるでしょう。

2. 二輪事業 アジア市場における成長と主要車種

Hondaの二輪事業は、インド、ベトナム、タイなどアジア諸国で販売台数の増加が見られ、高い成長を維持しています。具体的には、インド市場では新型Activaの発売が成功し、幅広い層の顧客に支持されていることが報告されています。また、新型車X-Bladeも若者層を中心に人気を集めています。これらの成功は、Hondaがアジア市場のニーズを的確に捉え、製品開発やマーケティング戦略を展開していることを示しています。インド、パキスタン、タイにおける販売台数の増加は、Hondaの二輪事業におけるグローバル戦略の成功を物語っています。 今後の成長を維持するためには、各国の市場特性を踏まえた製品開発、販売戦略の更なる強化が求められます。また、競合他社との競争激化も考慮し、技術革新やブランド力の向上に継続的に取り組む必要があるでしょう。

3. パワープロダクツ事業及びその他の事業 成長と新製品

パワープロダクツ事業及びその他の事業は、売上収益と営業利益の増加という好調な結果を残しています。これは、Hondaグループ全体業績の向上に大きく貢献していると言えるでしょう。具体的には、ハンディータイプ発電機EU18iの発売などが業績向上に寄与したと推測されます。 また、HondaJetの2017年通年のカテゴリートップのデリバリー数達成は、航空機事業におけるHondaの技術力と競争力の高さを示す大きな成果です。この成功は、今後の事業拡大への更なる期待を高めます。さらに、ビジネスジェットマーケット拡大に向けたANAとの戦略的パートナーシップ締結も、今後の事業展開において重要な意味を持つでしょう。これらの事業の好調な業績は、Hondaの多角化戦略が成功しつつあることを示しており、今後のさらなる成長に繋がる可能性を秘めています。 しかしながら、品質関連費用の増加など、課題も存在するため、コスト管理や効率化への取り組みが重要となるでしょう。

III.財務状況 売上収益 設備投資 研究開発費

2017年度の売上収益は、全ての事業における増加や為替換算による増加の影響により、前年比9.7%増となりました。一方、減益要因としては、販売費及び一般管理費の増加、為替影響などが挙げられます。設備投資は4,800億円、研究開発費は7,900億円と増加傾向にあります。これらの投資は今後の成長に向けた重要な取り組みです。 為替レートは、米ドルが114円から108円へと円高方向に推移しました。

1. 売上収益 増収要因と為替の影響

2017年度のHondaの売上収益は、前年比9.7%増と大幅な増加を示しました。この増収は、全ての事業セグメントにおける売上増加と、為替換算による増加効果が主な要因です。 全ての事業セグメントが成長に貢献したことは、Hondaの事業ポートフォリオのバランスの良さと、多様な事業展開によるリスク分散効果を示しています。一方、為替換算による増加効果は、円安傾向によるものと考えられますが、具体的な為替レートの変動やその影響度合いについては、資料からは詳細な数値が読み取れません。しかし、為替変動は企業業績に大きな影響を与える要因であるため、今後の為替動向を注視し、その影響を適切に予測・管理することが重要になります。売上収益の増加は企業の成長を示す重要な指標ですが、その背景にある要因を詳細に分析することで、今後の事業戦略やリスク管理に役立てることができます。

2. 設備投資と研究開発費 将来成長への投資

2017年度の設備投資額は4,800億円と前年より増加しており、生産能力の増強や効率化、新たな技術への投資などが行われたと考えられます。この投資は、今後の売上増加や利益向上に繋がるための重要な取り組みであり、企業の成長戦略を反映したものです。 研究開発費も7,900億円と前年比で増加しており、技術革新への強い意志が示されています。この投資は、将来の競争優位性を確立するために不可欠であり、新たな製品開発や既存製品の改良に繋がるでしょう。ただし、オペレーティング・リース資産、ファイナンス・リース資産、無形固定資産に関する設備投資は、この数値には含まれていない点に注意が必要です。 設備投資と研究開発費の増加は、Hondaが将来の成長に向けて積極的に投資を行っていることを示しており、これらの投資が期待通りの成果を生むかが、今後の企業価値に大きく影響を与えます。

3. その他の財務指標 減価償却費 自己株式取得

資料からは、減価償却費が前年比123億円減少したことがわかります。これは、過去の設備投資の状況や償却方法に起因するもので、必ずしも経営状況の悪化を示すものではありません。 また、自己株式取得についても言及されており、2016年度は2,218億円、2017年度は2,477億円と増加しています。これは、株価の安定化や株主還元策の一環として行われたものと推測されます。 これらの情報は、企業の財務状況を総合的に判断する上で重要です。特に、減価償却費の減少は、過去の投資状況を反映したものであり、将来の投資計画との関連性も考慮する必要があります。自己株式取得は、企業価値に影響を与える重要な経営判断であり、その目的や効果を十分に理解することが必要です。これらの指標を分析することで、Hondaの財務状況の健全性をより深く理解することができます。

IV.その他の重要な情報

エアバッグインフレーター関連の集団訴訟和解金と受取補償金の影響が、業績に影響を与えています。また、国際会計基準(IFRS)に基づいて作成された決算報告書であることも重要な点です。 将来の見通しは、経済情勢、市場動向、為替相場の変動などによって大きく異なる可能性があります。

1. エアバッグインフレーター訴訟の影響

2017年度のHondaの連結決算において、エアバッグインフレーターに関連する集団訴訟和解金と受取補償金が計上されています。この訴訟は、Hondaの業績に大きな影響を与えた重要な出来事であり、その影響額は資料からは直接読み取れませんが、営業利益の減益要因として明確に記載されていることから、相当な額に上ったと推測されます。この訴訟による損失は、会計処理上、どのように計上され、それが最終的な利益にどう影響を与えたのかを理解することは重要です。 また、この訴訟は、企業の社会的責任や製品の安全性に関する意識を高める契機となった可能性があります。将来、同様の事態を防ぐための対策や、消費者からの信頼回復のための取り組みがどのように進められているのかについても、注目すべき点です。この訴訟は、企業のリスク管理やコンプライアンス体制の強化の必要性を改めて示す事例と言えるでしょう。

2. 会計基準と情報開示

この連結決算は、国際会計基準審議会が公表した国際会計基準(IFRS)に基づいて作成されています。IFRSは、世界的に統一された会計基準であり、企業の財務情報の透明性と比較可能性を高めることを目的としています。この報告書がIFRSに準拠していることは、その信頼性を高める上で重要なポイントです。 また、研究開発支出については、IFRSでは一部を無形資産として計上し、見積耐用年数に基づき償却するため、連結損益計算書上の研究開発費とは異なる点に注意が必要です。この説明は、会計処理上の特殊性を理解する上で重要であり、投資家やアナリストが財務諸表を正しく解釈するために不可欠な情報です。 透明性のある情報開示は、投資家の意思決定に不可欠です。HondaがIFRSに準拠し、会計処理上の特殊性についても明確に説明していることは、企業のガバナンスと情報開示の質の高さを示しています。

3. 将来見通しに関する注意事項と為替レート

この資料に記載されている業績見通しおよび配当予想は、現時点で入手可能な情報に基づいたものであり、リスクや不確実性を含んでいます。従って、これらの見通しだけに依拠して投資判断を行うべきではないという注意書きがなされています。これは、将来の業績は様々な要因によって大きく変動する可能性があることを示しており、投資判断を行う際には、これらの要因を十分に考慮する必要があることを意味します。 具体的なリスク要因としては、経済情勢、市場動向、為替相場の変動などが挙げられています。特に、為替相場の変動は、Hondaのようなグローバル企業の業績に大きな影響を与える要因であり、その影響を適切に予測・管理することが重要です。 この注意書きは、投資家保護の観点からも重要な情報であり、投資判断を行う上での責任を明確にしています。将来の見通しは不確実であることを理解した上で、投資判断を行うべきであるというメッセージが込められています。