
大村市新幹線駅周辺まちづくり
文書情報
著者 | 大村市 |
出版年 | 平成26年(2014年) |
場所 | 大村市 |
文書タイプ | まちづくり計画 |
言語 | Japanese |
フォーマット | |
サイズ | 3.14 MB |
概要
I.大村市の未来 新幹線開業とまちづくり戦略
平成34年春の西九州新幹線【西九州新幹線】開業を控え、大村市は新幹線新駅【新大村駅】を核としたまちづくり戦略を推進しています。長崎空港、長崎自動車道大村インターチェンジと新駅が近接する地理的優位性を活かし、人口増加【人口増加】、企業誘致【企業誘致】による経済活性化を目指します。特に、新駅周辺【新大村駅周辺】の開発では、広域交通結節機能【広域交通結節機能】の強化、ヤングファミリー層の誘致、中心市街地【中心市街地】(JR大村駅周辺)との連携強化が重要課題です。 約14kmの新幹線軌道が敷設され、植松地区に新駅が開業、竹松町・沖田町には全国初のフリーゲージトレイン車両基地が設置されます。 この車両基地【車両基地】周辺には、県立ろう学校(移転予定)、大村市立郡中学校、長崎県立虹の原特別支援学校があり、文教ゾーン【文教ゾーン】形成も計画されています。 目標は「日本でもっとも住みたくなるまち【日本でもっとも住みたくなるまち】」の実現です。
1. 西九州新幹線開業と大村市の役割
平成34年春の西九州新幹線開業を控え、大村市は長崎空港、長崎自動車道大村インターチェンジ、新幹線新駅という3つの交通拠点が10分圏内に集積する地理的優位性を最大限に活用したまちづくりを目指しています。これにより、大村市は「長崎県の玄関口」としての役割をさらに強化し、県内唯一、人口増加が続く市として持続可能な発展を実現していくことを目指します。 計画書は、大村市新幹線新大村駅(仮称)周辺地域まちづくり計画策定委員会の報告を踏まえ、新大村駅周辺の整備と市全体のまちづくりに関する計画をまとめたものです。 市民と一体となり、新幹線開業を契機とした新たなまちづくりを進め、「日本でもっとも住みたくなるまち」の実現を目指します。 具体的には、市内には約14kmの新幹線軌道が敷設され、植松地区に新大村駅(仮称)、北部地域(竹松町・沖田町)には全国初のフリーゲージトレイン車両基地が設置される計画です。これは、長年市民が願ってきた九州新幹線西九州ルートの全体像が具体化してきたことを意味します。
2. 新大村駅と既存交通網との連携
新大村駅はJR大村線沿いに位置するため、在来線駅を併設し、JR大村駅や近隣の駅との乗継利便性を確保する計画です。在来線ホームのある西側には、コンコースから地下式自由通路を設けます。 また、東西のアクセス道路を直通化することで車両の往来をスムーズにするため、関係機関との交差協議が不可欠です。 平成26年3月には、県立ろう学校を市内宮小路の県立大村城南高校竹松農場(県立虹の原特別支援学校隣)に移転する計画が発表されています。 新大村駅の駅舎はJR大村線の東側に沿って建設され、2階建てで2階部分が新幹線ホームとなります。 駅舎のデザインや駅前の機能展開については、計画書に詳細なイメージ図が掲載されています。 新大村駅周辺の開発計画では、計画対象区域を8つの土地利用ゾーンに分け、それぞれの開発の方向性を示しています。特に沿道サービスゾーンは、飲食店、物販サービス施設、車両基地関連企業、住宅などの立地が期待され、既存住宅地や河川景観への配慮が求められます。
3. 中心市街地との連携と持続可能な発展
新幹線開業による大村市全体のポテンシャルとして、人口増加、新たなビジネス展開、北部の市街化の進展、中心市街地活性化が挙げられます。特に、JR大村駅前を中心とする中心市街地との連携強化が重要です。 大村市は「日本一住みたくなるまち」を目指しており、新大村駅周辺と中心市街地を両輪として発展させる必要があります。 中心市街地は既存ストックを活用し、賑わい、交流、文化発信拠点として整備します。一方、新大村駅周辺は、広域交通結節機能に加え、高い交通利便性を活かして、市外からのヤングファミリー層や企業を誘致する地域として発展を目指します。 両地域の機能と特色を生かし、補完し合い、連携を強化することで、大村市の持続可能な発展を実現することが重要です。 このため、空港やICとの一体感を強調したデザイン、花と緑に囲まれた大村市のイメージを反映した駅前公園の整備、防災設備を備えた県民サービス拠点の整備なども計画されています。 また、若い世代の雇用・定住促進のための拠点整備、障がいのある子どもたちの教育を支援する公園整備なども計画に含まれています。
II.新大村駅周辺の開発とゾーン設定
新大村駅周辺は、駅舎整備に加え、周辺エリアを8つのゾーンに分け、それぞれの方向性を示した開発計画が進められています。特に、沿道サービスゾーンでは飲食店や物販サービス施設、車両基地関連企業の立地が期待されています。 都市計画道路池田沖田線【都市計画道路池田沖田線】の整備も進み、北部地域【北部地域】の市街化が加速すると見込まれます。 新駅と中心市街地を両輪とした都市構造【都市構造】の構築により、それぞれの地域特性を活かした連携を目指します。 中心市街地は既存ストックを活用し、賑わい創出、文化発信拠点として発展させ、新駅周辺は高い交通利便性を活かし、人口誘引、企業誘致を推進します。
1. 新大村駅周辺ゾーンの整備計画
新大村駅周辺の開発計画では、計画対象区域を8つのゾーンに分割し、それぞれのゾーンにおける土地利用計画を示しています。 新大村駅(仮称)は、市内植松3丁目の国道444号とJR大村線が立体交差する場所に位置し、現在の県立ろう学校の西側正面となります。 特に、沿道サービスゾーンについては、飲食店や物販サービス施設の立地に加え、新幹線車両基地関連企業や住宅の建設も想定されており、既存の住宅地や河川景観、環境への配慮が重要視されています。 計画では、新大村駅周辺ゾーンと市北部の文教ゾーン、新幹線車両基地ゾーンの整備を推進し、これらの拠点を結ぶ都市計画道路池田沖田線(平成29年頃供用開始予定)沿道も、新幹線開業前に市街化が進むと予測されています。 この計画によって、空港、高速道路IC、新幹線駅という3つの交通拠点が連携し、広域的な交通ネットワークの構築を目指しています。 既存の中心市街地(JR大村駅周辺)との連携強化も重視され、両地域が互いの特色を生かしながら補完し合うことで、大村市の発展を図ることが計画の重要な視点となっています。
2. 新幹線車両基地と文教ゾーンの整備
新大村駅周辺の開発計画において、新幹線車両基地ゾーンと文教ゾーンは重要な要素です。 新幹線車両基地は、竹松町・沖田町に設置され、都市計画道路池田沖田線が車両基地の東側を回り、国道34号福重橋付近まで延伸されます。 車両基地周辺には、国道34号を挟んで大村市立郡中学校、長崎県立虹の原特別支援学校があり、新たに県立ろう学校が建設される計画です。このため、計画対象区域には「車両基地ゾーン」と「文教ゾーン」が含まれています。 車両基地の整備に伴い、新たな在来線駅を設置し、県立ろう学校の移転配置を計画的に行うことで、既存の教育施設と一体となった文教系の拠点地区を形成する予定です。 文教ゾーンは、障がいを持つ子どもたちも学ぶ地域であるため、通学の利便性と安全性の確保が特に重要視されています。 車両基地ゾーンと一体的に、車両基地関連企業の立地や住宅の確保を計画的に誘導することで、地域全体の活性化を目指しています。 これらのゾーン整備によって、都市計画道路池田沖田線の沿道も新幹線開業前に市街化が進むと期待されています。
3. 中心市街地との連携による都市構造の構築
新大村駅周辺の開発計画において、中心市街地(JR大村駅周辺)との連携は極めて重要です。 大村市は、都市計画マスタープランに基づき、中心市街地を核としたまちづくりを進めていますが、新幹線の開業は、定住人口の増加や交流人口の拡大など、まちづくりを牽引する大きな可能性を秘めています。 そのため、新大村駅周辺と中心市街地を両輪とした都市構造を構築し、それぞれの地域の特性を生かした連携を図ることが計画の根幹となっています。 中心市街地は、既存のストックを活かし、賑わい、交流、文化発信の中心地としての役割を担います。 一方、新大村駅周辺は、広域交通結節機能に加え、高い交通利便性を活かし、市外からの特にヤングファミリー層の人口誘引や企業誘致を牽引する地域として発展させることが期待されています。 これらの両輪が連携し、相乗効果を生み出すことで、大村市の持続可能な発展が期待されています。 単なる新幹線の駅舎整備だけでは、新幹線効果を最大限に発揮できないため、中心市街地との連携強化が不可欠です。
III.新幹線開業によるポテンシャルと課題
新幹線開業は、人口増加【人口増加】の千載一遇のチャンスです。ファミリー層の流入、新たなビジネス展開【ビジネス展開】の可能性、北部地域の市街化【北部地域】の進展、中心市街地活性化【中心市街地活性化】が期待されます。しかし、単なる駅舎整備だけでは十分な効果は得られません。 空港・新幹線・高速道路のアクセス利便性を活かし、コールセンターやデータセンターなどの企業誘致【企業誘致】、大学誘致【大学誘致】による雇用創出も重要な戦略です。 少子高齢化【少子高齢化】による都市間競争【都市間競争】を踏まえ、地域振興戦略【地域振興戦略】が不可欠です。 新大村駅は、長崎駅、諫早駅などの既存駅との差別化を図り、「新しい」大村の魅力を創造していく必要があります。
1. 新幹線開業によるポテンシャル 人口増加と経済活性化
新幹線開業は、大村市にとって人口増加の絶好の機会となります。都市機能の向上により、市外からのファミリー層の流入が見込まれ、大村市の持続可能な発展に不可欠な人口増加を実現できる千載一遇のチャンスといえます。 また、新幹線開業は新たなビジネス展開の可能性も大きく広げます。空港、新幹線、高速道路という主要交通機関のアクセス利便性が高い大規模用地が確保できれば、コールセンターやデータセンターなど、首都圏との連携が必要な企業の誘致による雇用創出や、大学誘致による人材育成の可能性が飛躍的に高まります。 さらに、北部の市街化の進展や中心市街地活性化への牽引力も期待されます。 現在JR大村駅前を核とする中心市街地との関係を強化することも重要であり、新大村駅周辺と中心市街地を両輪として発展させることで、「日本でもっとも住みたくなるまち」の実現を目指します。 新幹線開業による交通需要の拡大、ひいては交流人口の拡大は、全国的に大きな効果が期待されますが、観光ルートや商圏の変化、産業の立地、定住地移動といった社会現象を伴い、厳しい都市間競争に巻き込まれる可能性も考慮しなければなりません。少子高齢化による都市間格差を見据えた地域振興戦略も必要です。
2. 新幹線効果の最大化に向けた課題 駅舎整備だけでは不十分
単なる新幹線の駅舎整備だけでは、新幹線は一部の空港利用者や市外通勤者など限定的な利用にとどまり、市全体の地域ブランド向上や、市外からの人材・企業の誘致、定着を促進する牽引役にはなりにくいと判断されます。 中心市街地が転入者や企業誘致の受け皿となることは理想的ですが、中心市街地では短期的にまとまった土地の確保が難しく、新大村駅から物理的に離れているため、新幹線効果を最大限に発揮するには不十分です。 そのため、空港・新幹線・高速道路の利便性を最大限に活かし、周辺地域の開発、中心市街地との連携強化、そして魅力的な都市空間の創造が重要になります。 他市の新幹線駅(長崎駅:商業・コンベンション、諫早駅:街、武雄温泉駅・嬉野温泉駅:温泉など)と差別化を図るため、新大村駅独自のイメージを確立し、他駅にはない魅力を打ち出す必要があります。 大村駅は中心市街地に位置し、歴史と文化をアピールする役割を担いますが、新大村駅は「新しい」大村の魅力を創造する役割を担う必要があります。
3. 将来人口予測と戦略的取り組み
大村市の将来人口は、今後約10年後の8~9万人台で頭打ちと予測されていますが、これは新幹線開業等の大きな社会変化要因を考慮していない推計です。 新幹線開業による効果を最大限に引き出すためには、単なる人口増加だけでなく、質の高い人口増加、つまり定住人口の増加と交流人口の拡大を目指した戦略が必要です。 大村市総合計画における将来像のキーワードである「花」を意識し、他市の駅にはない「自然・緑」「若々しさ・若者文化」を整備コンセプトのキーワードとします。 空港・ICと新幹線駅が至近距離にあるという全国的に見ても恵まれた広域交通利便性を活かし、交流創出を促進する整備方針を採択します。 既存の九州新幹線各駅では、「新幹線駅を活用した交流」を整備コンセプトに取り入れている駅が多いことから、交流の内容を具現化し差別化を図る必要もあります。 新大村駅周辺と中心市街地を両輪とした都市構造を形成することで、それぞれの地域特性を生かした連携と相乗効果の創出により大村市の持続可能な発展を目指します。
IV.まちづくりの戦略と地域戦略テーマ
大村市の将来像を踏まえ、整備コンセプトは「自然・緑」「若々しさ・若者文化」をキーワードに、空港・ICと新幹線駅が至近距離にあるという強みを活かします。 具体的な地域戦略テーマとしては、①大村市街地の整備、②観光・文化資源の磨き上げ、③観光土産品・郷土料理の開発、④都市型公共交通ネットワークの構築、⑤政策連携による都市ネットワークの構築、⑥大学等高等教育機関の誘致などがあります。 これらの戦略目標達成に向け、具体的な戦略プロジェクト事業が計画されています。特に、新大村駅と長崎空港間のアクセス強化【アクセス強化】、北部地域におけるバス路線の強化【バス路線】が重要です。
1. まちづくりの基本戦略 新大村駅と中心市街地の連携
大村市のまちづくり戦略は、新大村駅と既存の中心市街地(JR大村駅周辺)を両輪とした都市構造の構築を基本としています。 都市計画マスタープランを踏襲しつつ、新大村駅周辺は広域交通結節機能を強化し、高い交通利便性を活かして市外からの、特にヤングファミリー層の人口誘引や企業誘致を促進する地域として整備されます。一方、中心市街地は既存の資源を活かし、賑わい、交流、文化発信の中心地としての役割を担います。 両地域がそれぞれの特性を生かし、補完し合うことで、相乗効果による大村市の持続可能な発展を目指します。 整備コンセプトは、大村市総合計画の将来像キーワードである「花」を意識し、他市の駅にはない「自然・緑」や「若々しさ・若者文化」をキーワードに、空港・ICとの一体感を強調したデザインも取り入れます。 交通拠点としての機能強化のため、防災設備の充実、東西駅前広場の整備、都市計画道路池田沖田線の北部延伸、アクセス道路の東西連絡化、空港・ICとのアクセス強化、北部バス路線の強化、在来線駅の併設による中心市街地との連携などが計画されています。
2. 地域戦略テーマ 6つの柱による地域活性化
新幹線開業を契機とした大村市の地域活性化戦略は、6つの地域戦略テーマによって構成されています。 ①大村市街地の整備:新大村駅周辺整備と民間企業の誘致促進、中心市街地との連携強化。 ②観光・文化資源の磨き上げ:既存資源の磨き上げと新たな観光開発、積極的なPR。 ③観光土産品、郷土料理等の開発:観光客向け土産品等の開発による地元製造加工業と商業の活性化。 ④都市型公共交通ネットワークの構築:空港・駅・IC間のアクセス強化と地域回遊性の向上。 ⑤政策連携による都市ネットワークの構築:多様な都市政策連携による弱点補強と交流促進。 ⑥大学等高等教育機関の誘致:若者層の誘致によるまちづくり推進、地元若者の進学促進。 これらのテーマは、新幹線開業による交通利便性の向上を最大限に活かし、観光、文化、経済、教育など多様な分野を連携させ、大村市の魅力を高め、持続可能な発展を目指すことを目的としています。 特に、新大村駅と長崎空港間は、新幹線や航空機の運行に合わせてバスのピストン輸送が必要であり、北部地域ではバス路線の強化が求められています。 久留米駅や新八戸駅の事例を参考に、大村市独自の特色ある観光土産品や郷土料理の開発・ブランド化も推進されます。
3. 具体的な戦略目標とプロジェクト事業
それぞれの地域戦略テーマに対して、具体的な戦略目標と戦略プロジェクト事業が設定されています。 例えば、都市型公共交通ネットワークの構築では、新幹線駅と大村駅を軸とした鉄道・バス等の公共交通ネットワークの都市型構築を目指し、地域回遊性を高めることで、マイカーに頼らない環境に優しい社会の実現と個人型周遊観光への対応強化を図ります。 また、政策連携による都市ネットワークの構築では、少子高齢化社会を見据え、新幹線駅、長崎空港、ICなどの交通拠点を活用した西九州ルート沿線、環大村湾、多良山系周辺、離島や島原半島などとの連携を強化し、観光ルート開発、産品PR、MICE、IRなどを含む都市経営分野での政策連携や市民交流を促進します。 大学等高等教育機関の誘致では、新幹線駅周辺の開発と地区イメージ向上、都市機能の充実を通じて、大学等の立地を促進し、「若者が集うまち」づくりを推進します。 これらの戦略プロジェクト事業は、大村市の長期計画(平成27年度終了、平成28年度から新たな計画開始)に沿って、新幹線の開業を踏まえ検討される予定です。