
年金記録訂正あっせん事案
文書情報
言語 | Japanese |
ページ数 | 178 |
フォーマット | |
サイズ | 1.22 MB |
概要
I.申立期間①
申立期間①において、申立人の国民年金保険料記録はすべて過年度分として処理されています。そのため、申立人の保険料を納付していた父親は、保険料の納付意識が高かったと推測されます。
申立期間①
申立期間①当時、申立人は国民年金の強制加入被保険者であったが、特殊台帳およびオンライン記録では未加入期間となっている。行政側の事務処理に不適切さがあった。また、申立期間は任意加入期間であり、保険料は全て納付済みである。
II.申立期間②
申立期間②において、申立人は国民年金の任意加入者として保険料を納付していたと主張していますが、任意加入制度では遡って被保険者資格を取得することはできません。そのため、申立人の主張は認められませんでした。
III.申立期間①における国民年金加入の時期
申立人自身の国民年金加入手続が昭和45年4月頃に行われ、その時点で申立期間①(保険料の納付が確認できない期間)は過年度納付が可能な期間だったことから、保険料の納付意識の高い母親が遡って納付した可能性があります。
申立期間①における国民年金加入の時期
申立期間①において、申立人が国民年金の加入手続きを行ったのは、申立人の国民年金手帳記号番号の前後の番号の任意加入被保険者の被保険者資格取得日から、昭和45年4月または同年5月頃と推定される。この時点では、申立期間は保険料を遡って納付することが可能な期間であった。
IV.申立期間における国民年金保険料の納付記録
申立期間における国民年金保険料の納付記録は、申立人の母親の預金口座記録から特定できず、預金記録のみで保険料を納付したことを認定するのは困難です。
1. 申立期間①について
申立人である国民年金被保険者は、昭和52年10月頃に国民年金の加入手続を行い、同年同月から申立人が厚生年金保険に加入するまでの国民年金保険料を全て現年度納付しており、付加保険料も併せて納付されていることから、申立人の保険料を納付していたというその父親は、「保険料の納付意識が高かった」と推認される。 また、申立人自身も、申立期間を除き、60歳になるまでの保険料を全て納付しており、申立人の国民年金の加入手続は、申立人の国民年金手帳記号番号の前後の番号の任意加入被保険者の被保険者資格取得日から、昭和45年4月か同年5月に行われたと推認され、同加入手続時点において、申立期間は、保険料を遡って納付することが可能な期間であり、申立人が、申立期間当時居住していた町の国民年金被保険者名簿の「保険料徴収済記録欄」によると、現に、申立期間直後の45年4月から46年1月までの保険料を遡って同年同月に納付していることが確認できることから、保険料の納付意識の高かったその母親が、5か月と短期間である申立期間の保険料を、同様に遡って納付したと考えても特段不合理な点は認められない。
2. 申立期間②について
申立人は、当該期間についても郵送された納付書により国民年金保険料を納付していたはずであると述べている。しかし、申立人は、当該期間、国民年金への加入は任意であり、自身の所持する年金手帳、特殊台帳及びオンライン記録のいずれにおいても、未加入と記録され、任意加入した時期も、昭和49年2月21日と全ての記録が一致します。制度上、任意加入の場合、加入を申し出た日が被保険者資格の取得日となるため、遡って被保険者資格を取得することも、遡って国民年金保険料を納付することもできない。加えて、申立人の国民年金手帳は、昭和43年7月に発行されており、申立人の国民年金保険料が最初に納付されたのは、同年同月であることが、申立人の被保険者名簿により確認できることから、申立人の国民年金の加入手続が行われたのは、同年同月頃であると推認でき、その時点では、申立期間は、過年度納付により保険料を納付することが可能な期間であり、保険料の納付意欲が高かったと認められるその母親が、7か月と短期間である申立期間の保険料を納付していたと考えても特段不合理な点は認められない。
3. 申立期間①について
申立人は、自宅に送られてきた納付書により、私が遡ってまとめて納付した。申立期間②について、私は、昭和57年8月から会社で働くため、任意加入被保険者資格喪失手続を行おうとした際に、区役所の職員から国民年金保険料の未納期間があると言われたため、後日、夫のボーナスから、10万円ぐらいの保険料を遡ってまとめて郵便局又は金融機関で納付した。 申立期間の国民年金保険料が未納とされていることに納得がいかない。
4. 申立期間について
納付しなくてはならない国民年金保険料を全て納付した上で、昭和56年1月に国民年金の資格喪失手続を行ったとする申立人の主張については、申立人の所持する年金手帳及び申立人の特殊台帳では、いずれも同年同月29日に国民年金の被保険者資格を喪失していることが確認でき、特殊台帳に当該資格喪失日が記載されていることから、58年頃から始まった記録のオンライン化の前に当該資格喪失手続が行われたと推認できることに加え、申立期間を除く国民年金加入期間の保険料については、未納が無いことから、不自然さは見当たらない。
5. 標準報酬月額の相違について
申立人の標準報酬月額の記録については、遡って訂正された等の不自然な処理が行われた形跡は無い。また、申立期間②及び③における申立人のオンライン記録上の勤務先事業所は、B社及びC社とされているが、申立人は、当時の給与はA社の社長から受け取っていたとしているところ、同社の社長は既に死亡しているため、申立人の実際の給与支払額及び保険料控除について確認することができない。
V.申立期間における国民年金の加入状況の不明確さ
申立期間における国民年金の加入状況と保険料の納付状況が不明であり、申立人本人も当時の状況を明確に記憶できていません。そのため、申立期間の保険料納付は認定できませんでした。
1. 申立期間における国民年金の加入状況
申立人は、申立期間に国民年金の加入手続を行ったものの、Online記録上では未加入期間として記載されている。しかし、申立人の父親は保険料の納付意識が高く、申立人の母親も同様に高い意識を持っていたことから、短期間である申立期間の保険料も納付されていた可能性が高いと考えられる。
2. 申立期間の国民年金保険料の納付状況
申立人は、申立期間中に郵送された納付書により国民年金保険料を納付していたと主張する。しかし、記録上、申立人は任意加入被保険者となっており、遡って被保険者資格を取得することはできないため、申立期間中の保険料の納付は難しかったと考えられる。
VI.厚生年金保険から国民年金への切替手続の不明確さ
申立人は、厚生年金保険から国民年金への切替手続を行なったと主張していますが、切替手続の時期や場所、保険料の納付状況などについて明確に覚えていません。そのため、申立期間の国民年金保険料の納付に関する主張は認められませんでした。
1. 厚生年金保険から国民年金への切替手続の不明確さ
申立人は、申立期間中に厚生年金保険から国民年金への切替手続を行ったと主張しているが、申立人およびその母親は、切替手続を行った時期や場所、保険料の納付時期、方法や金額などについては覚えていないと述べている。
VII.標準報酬月額の適正性
標準報酬月額は、事業主が源泉控除した保険料額、申立人の報酬月額の範囲内で決定されます。申立人自身の給与明細書が存在しないため、申立人の主張する標準報酬月額に基づく保険料の控除を裏付ける資料がありません。
1. 申立期間に対する標準報酬月額の算定
厚生年金保険法に基づき、事業主が源泉控除したと認められる保険料額と申立人の報酬月額に基づき、低い方の標準報酬月額が認定されます。申立期間の標準報酬月額については、事業主が源泉控除したと認められる保険料額と申立人の報酬月額のいずれか低い方の額に基づきます。
2. 標高報酬月額の適正性に関する判断基準
事業主が源泉控除したと認められる保険料額と申立人の報酬月額のいずれか低い方の額が認定されます。
VIII.A社における厚生年金保険被保険者資格の喪失处理の適正性
申立人のA社における厚生年金保険被保険者資格の喪失処理は、事業主の代理請求に基づいて行われた可能性が高いと推測されます。ただし、A社は当時の賃金台帳などの資料を保管していないため、申立人の報酬月額や保険料控除額を明確に確認することは不可能です。
1. 申立期間①と申立期間②
申立期間①について、申立人は申立期間当時に国民年金保険料をまとめて納付したと主張しているが、申立人の国民年金手帳記号番号の前後の番号の任意加入被保険者の被保険者資格取得日から、申立期間は、過年度納付により保険料を納付することが可能な期間であり、申立人が、申立期間当時居住していた町の国民年金被保険者名簿の「保険料徴収済記録欄」によれば、現に、申立期間直後の45年4月から46年1月までの保険料を遡って同年同月に納付していることが確認できることから、保険料の納付意識の高かったその母親が、5か月と短期間である申立期間の保険料を、同様に遡って納付したと考えても特段不合理な点は認められない。 また、申立人の国民年金手帳は、昭和43年7月に発行されていること、及び申立人の国民年金保険料が最初に納付されたのは、同年同月であることが、申立人の被保険者名簿により確認できることから、申立人の国民年金の加入手続が行われたのは、同年同月頃であると推認でき、その時点では、申立期間は、過年度納付により保険料を納付することが可能な期間であり、保険料の納付意欲が高かったと認められるその母親が、7か月と短期間である申立期間の保険料を納付していたと考えても特段不合理な点は認められない。 申立期間②について、申立人は、当該期間についても郵送された納付書により国民年金保険料を納付していたはずであると述べている。しかし、申立人は、当該期間、国民年金への加入は任意であり、自身の所持する年金手帳、特殊台帳及びオンライン記録のいずれにおいても、未加入と記録され、任意加入した時期も、昭和49年2月21日と全ての記録が一致します。さらに、制度上、任意加入の場合、加入を申し出た日が被保険者資格の取得日となるため、遡って被保険者資格を取得することも、保険料を遡って納付することもできないため、申立人の主張は認められない。
2. 申立期間①
申立期間①当時、申立人が国民年金の強制加入被保険者とされていたことは明らかである。しかし、申立人の特殊台帳及びオンライン記録では、申立期間①が未加入期間とされていることに加え、当該過年度納付書の発行に当たって、申立人が保険料を納付すべき期間は、46年4月から同年12月までの9か月とされているが、同年12月については、申立人は、厚生年金保険の被保険者であったため、国民年金の被保険者となり得ない期間であり、行政側の事務処理が適切に行われていなかったことが認められる。 また、申立期間は、任意加入期間であり、申立人が国民年金の任意加入被保険者資格を取得した昭和55年7月から申立期間直前の57年3月までの国民年金保険料は全て納付済みとされている上、申立期間当時、申立人の住所及びその夫の仕事に変更は無く、生活状況に大きな変化は認められないことから、申立人が、3か月と短期間である申立期間の保険料を納付していたと考えても特段不合理な点は認められない。
IX.B社における厚生年金保険被保険者資格の取得の適正性
申立人は、アルバイトの事務員としてB社に勤務していたと主張していますが、B社はアルバイトには厚生年金保険を適用していませんでした。申立人以外の同僚の証言からも、申立人がアルバイトだったことが推測されます。
B社における厚生年金保険被保険者資格の取得の適正性
申立人は、昭和44年11月から52年3月までの申立期間に、B社において厚生年金保険の被保険者資格を取得していたと主張しています。
しかし、B社に提出された社員プロフィールなどの資料や、申立人の証言、他の従業員からの情報などから、申立人が申立期間にB社に勤務していたことは推認できますが、厚生年金保険に加入していたかどうかは不明です。
B社は申立期間当時、正社員を厚生年金保険に加入させていましたが、アルバイトは加入させていませんでした。申立人はアルバイトの事務員として雇用されていたため、厚生年金保険には加入していなかった可能性があります。
また、申立人の標準報酬月額についても、当時の給与明細書などの資料がなく、事業主による給与からの控除を確認できません。申立人が主張する標準報酬月額に基づく厚生年金保険料の控除が行われていたことを確認できる資料や周辺事情もありません。
そのため、申立人が申立期間にB社において厚生年金保険の被保険者資格を取得していたかどうかを判断することは困難です。
X.駐留軍従業員の厚生年金保険への加入条件
駐留軍従業員のうち、家事使用人としての勤務に限定された者については、厚生年金保険の適用対象外とされていました。そのため、申立人が当時家事使用人として勤務していたとしても、厚生年金保険に加入できたとは認められません。
1. 駐留軍従業員としての厚生年金保険加入条件
厚生労働省保険局長通知「連合国軍要員のうち非軍事的業務に使用されるに至った者の被保険者資格について」(昭和 26 年7月3日付け保発第 51 号)により、昭和 26 年7月1日以降においては雇用関係の切換えによって、ハウス、ホテル等のいわゆる家事使用人及びクラブ、宿舎施設、パチンコ店等の遊技場等に使用される従業員は、非軍事的業務に使用されても保険の適用範囲外となる。