
府中市公会計改革:財務諸表分析
文書情報
著者 | 府中市 |
専攻 | 公共会計 |
場所 | 府中市 |
文書タイプ | 財務報告書 |
言語 | Japanese |
フォーマット | |
サイズ | 398.95 KB |
概要
I.新地方公会計制度に基づく府中市の財務諸表
本資料は、平成20年度決算に基づき、総務省が発表した「新地方公会計制度」(新地方公会計制度)に則って作成された府中市の財務諸表の概要と分析を示しています。発生主義会計(発生主義会計)の導入により、従来の現金主義会計(現金主義会計)では把握できなかった資産・負債の状況を明らかにし、財政の透明性向上を図っています。主要な財務諸表として、貸借対照表(貸借対照表)、行政コスト計算書(行政コスト計算書)、純資産変動計算書(純資産変動計算書)、資金収支計算書(資金収支計算書)が作成され、これらの相互関係を通して府中市の財政状況を総合的に分析しています。府中市は、平成20年度末時点で資産総額88,018,121千円、純資産57,600,970千円、負債30,417,151千円でした。 本資料では、これらの財務諸表の数値を用いて、社会資本形成の世代間負担比率、資産老朽化比率、受益者負担比率(受益者負担比率)、行政コスト対公共資産比率(行政コスト対公共資産比率)などの重要な財政指標も算出し、府中市の財政状況の特徴と課題を分析しています。更に、連結財務諸表(連結財務諸表)も作成されており、普通会計だけでなく、特別会計や関連団体を含めた府中市全体の財政状況を網羅的に把握することを目指しています。
1. 財務諸表の公表と新地方公会計制度
府中市は、平成20年度決算を基に、新地方公会計制度に基づく財務諸表を公表しました。これは、総務省の「新地方公会計制度研究会報告書」および「新地方公会計制度実務研究会報告書」の「総務省方式改訂モデルに基づく財務書類作成要領」に準拠しています。従来の現金主義会計から発生主義会計への移行により、資産・負債の状況をより明確に示し、財政の透明性向上を目指しています。 地方公共団体の行政活動に係る財務情報を一体的に示す財務諸表(貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書)の作成は、地方公共団体の財務情報の透明性向上、資産・債務の管理強化、そして将来を見据えた健全な財政運営に資するものです。平成20年度決算に基づく財務諸表の公表は、普通会計だけでなく、公営事業会計(特別会計)、一部事務組合、土地開発公社、第三セクターなど、府中市が出資する関連団体を含めた連結決算として実施されています。これにより、府中市全体の財政状況をより包括的に把握することが可能となります。
2. 貸借対照表 資産 負債 純資産の状況
貸借対照表(バランスシート)は、基準日現在の資産、負債、純資産の状況を示す財務諸表です。資産は市民の共通財産であり、負債(借金など)は将来世代の負担額を示し、純資産は資産から負債を差し引いた正味の財産持分(既に負担済みの額)を表します。負債は固定負債(1年以上返済期限が先の地方債や退職手当引当金など)と流動負債(1年以内に返済期限が来る地方債や翌年支払予定の退職手当など)に分類されます。平成20年度末の府中市の資産総額は88,018,121千円、純資産は57,600,970千円(65.4%)、負債は30,417,151千円(34.6%)でした。資産の内訳は、公共資産が82,256,761千円(93.5%)、投資等が3,681,298千円(4.2%)となっています。この貸借対照表により、単年度収支では把握できなかった資産・負債の全体像を的確に把握することが可能になります。
3. 行政コスト計算書 行政サービス提供コストの分析
行政コスト計算書は、民間企業の損益計算書に対応するもので、地方公共団体の行政サービス提供コストを明らかにするものです。行政コストは、現金支出に加え、減価償却費や回収不能見込額などの現金支出を伴わない費用を含みます。コストの性質は、人にかかるコスト(職員・議員の給与など)、物にかかるコスト(物品購入費、維持修繕費など)、移転支出的なコスト(生活保護費、補助金など)、その他のコスト(借入金利子、市税回収不能見込額など)に分類されます。収益は、使用料・手数料とその他行政コスト充当財源に分類されます。行政コスト計算書を通じて、1年間に提供した行政サービスに要した費用と、そのサービスから得られた収入を明らかにすることで、行政活動の効率化に役立てます。平成20年度の期末純資産残高は57,600,970千円で、貸借対照表上の純資産と一致します。
4. 純資産変動計算書 純資産の増減要因の分析
純資産変動計算書は、貸借対照表上の純資産が1年間でどのように増減したのかを明らかにするものです。純資産の増減要因を分析することで、これまでの世代が負担してきた純資産の変動状況を把握することができます。純資産変動計算書は、経常的収支、公共資産整備収支、投資・財務的収支の3つの部分で構成されています。経常的収支は、経常的な行政活動の収支を示し、経常収支比率という財政指標と関連があります。公共資産整備収支は、道路や学校などの公共資産形成のための支出と財源を示し、投資・財務的収支は投資、出資金、貸付金、地方債償還などの資金収支を示します。これらの分析を通して、府中市の財政構造の柔軟性や将来世代への負担状況などを評価することができます。平成20年度の純資産変動では、減少要因である純経常行政コストが△14,177,093千円、増加要因である一般財源が12,062,732千円などでした。
5. 資金収支計算書 歳計現金の動き
資金収支計算書(キャッシュ・フロー)は、1年間の歳計現金の動きを示すもので、どのような活動にどれだけの資金が使われたのかを明らかにします。期末歳計現金残高は貸借対照表の歳計現金残高と一致します。現金収支は、経常的収支、公共資産整備収支、投資・財務的収支の3つに区分表示されます。この計算書により、府中市の財政における現金の流入と流出を詳細に把握することができ、財政状況を総合的かつ長期的に理解する上で重要な役割を果たします。 この計算書と他の財務諸表との整合性を確認することで、財政状況の正確性を高めることができます。
II.主要財務諸表の概要と分析指標
貸借対照表(貸借対照表)では、資産、負債、純資産の構成と全体像を示し、府中市の財産状況を明らかにしています。行政コスト計算書(行政コスト計算書)は、行政サービス提供コストの内訳を人件費、物件費、社会保障給付など項目別に示し、行政コストの効率化を検討する上で重要な指標となります。純資産変動計算書(純資産変動計算書)は、純資産の増減要因を分析し、経常収支、公共資産整備収支、投資・財務的収支の状況を明らかにしています。資金収支計算書(資金収支計算書)は、1年間の現金の流れを把握し、歳入歳出の状況を明らかにしています。これらの財務諸表から導き出される分析指標としては、社会資本形成の世代間負担比率、資産老朽化比率、受益者負担比率(受益者負担比率)、行政コスト対公共資産比率(行政コスト対公共資産比率)などが挙げられ、これらを通して府中市の財政状況の現状と課題が分析されています。
1. 主要財務諸表の数値を用いた府中市の財政状況分析
このセクションでは、府中市の平成20年度決算における主要な財務諸表(貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書)の数値を用いて、多角的な財政状況分析が行われています。それぞれの財務諸表は、相互に関連しており、財政状況を総合的かつ長期的に把握するための重要な指標となっています。分析を通じて、府中市の財政状況の特徴、課題、そして今後の行財政運営の方向性を多面的に探っています。特に、発生主義会計に基づくこれらの財務諸表は、従来の現金主義会計では把握できなかった資産や負債の全体像を明らかにし、より詳細な財政分析を可能にしています。 各財務諸表の相互関連性により、資産の増減、資金の流れ、純資産の変動などを総合的に分析し、財政の健全性や持続可能性を評価する上で重要な知見が得られます。
2. 財政指標による財政状況の評価 世代間負担 資産老朽化 受益者負担など
財務諸表の数値から算出された様々な財政指標が、府中市の財政状況を多角的に評価するために用いられています。具体的には、社会資本形成の世代間負担比率(公共資産と純資産/負債の比率)、資産老朽化比率(償却資産の減価償却累計額と取得価額の比率)、有形固定資産の行政目的別割合、受益者負担比率(経常収益と経常行政コストの比率)、行政コスト対公共資産比率、地方債の償還可能年数、行政コスト対税収等比率などが分析されています。これらの指標は、府中市の財政構造の強みや弱みを明らかにし、将来の財政運営における課題を浮き彫りにする上で重要な役割を果たしています。特に、受益者負担比率が低く、行政コストの大部分が市税などで賄われている点は、財政運営上の重要な特徴として示されています。
3. 行政コストの分析 コストの内訳と行政サービスの効率性
行政コスト計算書における行政コストの内訳と分析が詳細に示されています。行政コストは、人件費、物件費、社会保障給付、補助金など、様々な項目に分類され、それぞれの構成比率が明らかにされています。 特に、行政目的別の有形固定資産割合の分析では、福祉部門において公共資産が少ないわりに社会保障給付などのコストが大きくなっている点が指摘されており、行政サービスの効率性や財政負担のバランスについて検討する必要性が示唆されています。この分析は、行政コストの効率化、適正化、そして行政サービスの質の向上に向けた施策を検討する上で重要な基盤となります。 また、行政コスト対公共資産比率が100%を下回る場合、翌年度以降への資産蓄積や負担軽減を示唆している点が説明されています。
III.連結財務諸表による府中市全体の財政状況把握
府中市は、普通会計に加え、特別会計や出資団体を含めた連結財務諸表(連結財務諸表)を作成することで、市全体の財政状況をより包括的に把握することを目指しています。これにより、普通会計単体では把握できない資産・負債の全体像が明らかになり、より正確な財政分析が可能となります。連結財務諸表における純資産変動や純経常行政コストなどの数値も示され、普通会計単体よりも広範な財政状況を反映しています。 平成20年度の連結財務諸表では、期末純資産残高は69,235,540千円となりました。
1. 連結財務諸表の必要性 府中市全体の財政状況把握
府中市では、普通会計だけでなく、国民健康保険特別会計などの公営事業会計、そして府中市が出資する一部事務組合や土地開発公社、第三セクターといった外郭団体を含めた連結財務諸表を作成しています。これは、普通会計のみでは府中市全体の財政状況を正確に把握できないためです。連結財務諸表を作成することで、府中市が関与する全ての事業の資産、負債、純資産などの状況を包括的に把握し、より正確な財政状態を分析することを可能にしています。 これにより、市全体の財政状況をより透明性高く市民に提示し、より効果的な財政運営に繋げることを目指しています。単体での財務諸表では捉えられない、関連団体間の取引や相互依存関係なども考慮することで、より現実的な財政状況の把握と分析が可能になります。
2. 連結財務諸表による分析 純資産変動と財源の調達 使用
連結財務諸表の分析では、特に純資産の変動状況に注目しています。連結財務諸表における期末純資産残高は、普通会計単体のそれとは異なる数値を示しており、市全体の財政状況をより正確に反映しています。純資産の減少要因は純経常行政コストであり、増加要因は市税などの一般財源、国や県からの補助金などとなっています。これらの数値は、府中市の財政における財源の調達と使用の状況を明らかにし、財政運営の効率性や持続可能性を評価する上で重要な情報となります。連結財務諸表の分析を通して、府中市全体の財政状況を多角的に評価し、より効果的な財政運営のための戦略立案に役立てることができます。 また、地方債残高についても、償還時の地方交付税への影響など、重要な付帯情報が提示されています。
3. 普通会計の将来負担に関する情報
連結財務諸表と合わせて、普通会計の将来負担に関する情報も提示されています。これは、普通会計における地方債残高に基づいて算出された将来負担額を示しており、府中市の財政における将来的なリスクを評価する上で重要な指標となります。 具体的な数値として、普通会計の将来負担額が示され、その内訳として普通会計地方債残高が明記されています。この情報は、将来の世代への財政負担の状況を明確に示しており、持続可能な財政運営を確保するための施策を検討する上で重要な役割を果たします。 この将来負担額の情報は、連結財務諸表と合わせて検討することで、府中市の財政の健全性と持続可能性に関するより包括的な評価を行うことができます。