
社会福祉法人設立ガイド
文書情報
言語 | Japanese |
フォーマット | |
サイズ | 1.12 MB |
専攻 | 社会福祉学 |
文書タイプ | 講義資料 |
概要
I.社会福祉法人設立のための必要条件と手続き Requirements and Procedures for Establishing a Social Welfare Corporation
本資料は、社会福祉法人設立を希望する方のためのガイドラインです。社会福祉事業を営むためには、厳格な社会福祉法に基づいた手続きと要件を満たす必要があります。特に、基本財産の確保、定款の作成、許可申請の手続きが重要です。 半田市における設立を例に、必要な資産額(現金、預金、不動産など)、社会福祉施設の種類(有料老人ホーム、保育所など)、理事や評議員の選任要件、事業計画などを明確に示しています。 申請書類には、贈与契約書、建設計画書、不動産目録、諸規程などが含まれます。 事業の規模や種類によっては、年間事業費の一定割合以上の運用財産(運転資金)も必要です。 許可申請は、半田市長(または愛知県知事、厚生労働大臣)が行い、社会福祉事業の必要性、資金計画、役員構成などを審査します。
1. 社会福祉事業の種類と要件
社会福祉法人は、社会福祉法第24条の経営原則に基づき、社会福祉事業を行うと規定されています。 具体的には、有料老人ホーム経営、社会福祉協議会等の福利厚生施設(宿泊所、保養所、食堂等)経営、公益事業団体への会館等無償・実費提供などが挙げられます。ただし、営利目的での会館利用は不適切です。公益事業としては、相談・情報提供、入浴・排泄・食事等の支援、住居の提供・確保などが含まれます。収益事業は社会福祉事業を主とし、それを超える規模は認められません。母子・父子・寡婦福祉法第14条に基づく資金貸付による事業は、収益事業に関する特定の要件は適用されません。収益事業の内容は定款に規定する必要があります。収益事業は、社会福祉事業または公益事業の財源確保を目的とし、社会通念上認められるものでなければなりません。投機的な事業や法人の社会的信用を傷つけるおそれのある事業は不適切です。法人税法第2条第13号の収益事業範囲外であっても、定款上は収益事業として扱う場合があります。既存の社会福祉法人が通所施設や保育所を設置する場合も、それぞれの要件が定められています。
2. 必要な基本財産と資産区分
社会福祉事業を行うには、一定の基本財産を有することが求められます。社会福祉施設を経営する法人は1,000万円以上、経営しない法人は1億円以上の資産を基本財産として保有する必要があります。基本財産となる不動産は所有権の登記を行い、定款に記載しなければなりません。建設中の建物は竣工後に定款変更を行う必要があります。重要な財産は基本財産として指定できますが、処分や担保提供には半田市長の承認が必要です。資産は基本財産、運用財産、公益事業用財産、収益事業用財産に区分されます。公益事業・収益事業用財産は、他の財産と明確に区分して管理しなければなりません。ただし、小規模な公益事業の場合は、社会福祉事業の円滑な遂行を妨げない範囲で他の財産を活用できます。法人設立時には、年間事業費の12分の1以上の現金を運用財産として保有する必要があります(介護保険事業などは12分の2以上)。寄付金がある場合は、書面による贈与契約、寄付予定者の確認が必要です。設立後の資金計画変更は原則認められず、寄付金贈与計画は速やかに履行しなければなりません。基本財産、公益事業用財産、収益事業用財産以外の財産は運用財産となり、社会福祉事業の存続に重要なものはみだりに処分すべきではありません。
3. 役員 評議員会の構成と要件
理事は法人の代表機関であり、法人の自主的な経営機能強化、内部牽制体制の観点から、それぞれ代表権を有しても差し支えありません。ただし、理事と親族関係にある者のみが代表権を有することは不適格です。常務理事を置く場合は、理事長や常務理事、理事の職務制限を明確にする必要があります。理事長以外にも代表権のある理事がいる場合は、定款に明記する必要があります。関係行政庁の職員は役員になることはできません。実際に法人運営に関われない者が名目的に役員となることも不適切です。監事は法人の監査機関であり、2名以上で、1名は公認会計士等の専門知識を有する者または会計業務経験者でなければなりません。当該法人の施設長等が1名以上参加することが望ましいとされています(評議員会がない場合は、理事総数の3分の1以内)。評議員会は、法人の公益性を鑑み、民主的・適正な運営のため、重要な事項について意見を聴く必要がある諮問機関です。利用者の家族代表の参加が望ましく、親族関係にある者の割合にも制限があります。評議員会がある場合は、役員の選任は評議員会で行うことが適当です。理事の構成は、社会福祉事業に関する学識経験者や地域の福祉関係者を加えることが推奨されています。
4. 許可申請手続きと必要書類
社会福祉法人の設立には、半田市長(または愛知県知事、厚生労働大臣)の許可が必要です。許可申請時には、半田市の福祉施策に沿った事業であるか、事業の必要性、場所、概要、資金計画などを審査されます。事前に協議を行うことが推奨されます。申請書類には、贈与契約書(所有権移転登記確約書)、建設計画書(配置図、平面図、建設費見積書)、不動産目録、地上権・賃借権等の契約書、登記誓約書、契約相手方の印鑑登録証明書、設立代表者の代理人の権限を証する書類、評議員就任予定者の承諾書、履歴書、身分証明書、印鑑登録証明書、諸規程(定款施行細則、経理規程、就業規則、給与規程など)が必要です。 書類は全てA4版で統一し、番号順に綴じます。補助金を受ける場合は、交付が確定してから許可が下りる仕組みになっています。 寄付金がある場合は、利益相反を避けるため、設立代表者とは別の人が契約を行う必要があります。また、独立行政法人福祉医療機構からの借入金は負債として計上しません。
II.必要な資産と財産の種類 Required Assets and Types of Property
社会福祉法人設立には、基本財産として一定額の資産(現金、預金、不動産など)が必要です。 社会福祉施設を経営する場合は1,000万円以上、経営しない場合は1億円以上の資産が求められます。 資産は基本財産、運用財産、公益事業用財産、収益事業用財産に分類され、それぞれ明確に区分して管理する必要があります。 運用財産は、年間事業費の12分の1以上(介護保険事業などは12分の2以上)を確保する必要があります。 不動産の取得には、贈与契約、賃借契約などがあり、賃借料は極力低額であることが望ましいです。 半田市社会福祉法人審査会において、資産要件等について協議します。
1. 基本財産の額と種類
社会福祉法人設立には、一定額の基本財産が求められます。社会福祉施設を経営する場合は、現金、預金、確実な有価証券(株券は除く)、または不動産など、合計1,000万円以上の資産が必要です。審査基準では、これらの資産に限られます。社会福祉施設を経営しない法人の場合は、原則として1億円以上の資産を基本財産として保有しなければなりません。 社会福祉施設の用に供する不動産は、所有権の登記を行い、定款に記載しなければなりません。建設中の建物は竣工後に定款変更が必要です。それ以外の資産であっても、法人が重要と認める財産は基本財産として認められます。しかし、基本財産の処分や担保提供には、半田市長の承認が必要です。個別の資産状況については、国の通達に基づき、半田市社会福祉法人審査会で協議されます。理事長や法人から報酬を受けている役員からの借用は望ましくありません。
2. 資産の区分と運用財産
社会福祉法人の資産は、基本財産、運用財産、公益事業用財産、収益事業用財産の4種類に区分されます。公益事業や収益事業に使用する財産は、他の財産と明確に区分して管理する必要があります。ただし、小規模な公益事業の場合は、社会福祉事業の円滑な運営を妨げない限り、他の財産を活用できます。法人設立にあたっては、年間事業費の12分の1以上の現金を運用財産として保有する必要があります。介護保険事業や自立支援給付制度関連事業を行う場合は、年間事業費の12分の2以上が必要です。寄付金による財産取得の場合、寄付者の所得能力、営業実績、資産状況などを確認し、寄付の確実な履行が証明されなければなりません。法人設立や施設設備の資金計画の変更は原則として認められず、寄付金贈与計画は設立後速やかに履行しなければなりません。基本財産、公益事業用財産、収益事業用財産以外の財産は全て運用財産となります。運用財産の処分には特別な制限はありませんが、社会福祉事業の存続に重要なものは、みだりに処分しないよう注意が必要です。
3. 不動産の賃貸借に関する留意事項
不動産を賃借する場合は、賃借料は法人の経営安定性や社会福祉事業の特性を考慮し、極力低額であることが望ましいです。また、法人が長期的に賃料を支払える能力があることが求められます。国や地方公共団体から物件の貸与や使用許可を受けている場合は、基本財産として1,000万円以上の資産を有する必要があります。ただし、この場合の資産は現金、預金、確実な有価証券(株券は除く)、または不動産に限られます。理事長や法人から報酬を受けている役員等から賃借することは望ましくありません。地方公共団体から不動産の貸与を受ける場合は、長の無償貸与確約書を添付する必要があります。国や地方公共団体以外の者から施設用地の貸与を受ける場合は、事業の存続に必要な期間の地上権または賃借権を設定する必要があり、関連書類の提出が求められます。不動産に抵当権等が設定されている場合も、権利者の解除承諾書などの提出が求められます。
III.役員と評議員会の構成 Composition of Directors and Board of Councillors
社会福祉法人の運営には、適切な理事と評議員が必要です。 理事には、社会福祉事業に関する学識経験者や地域の福祉関係者を含めることが推奨されています。 評議員会は諮問機関として重要な役割を果たし、法人の業務決定にあたり意見を聴く必要があります。 理事と評議員の選任は、民主的で適正な手続きで行う必要があり、親族関係にある者の割合に制限があります。 また、国会議員や地方議会議員は役員となることは不適当です。 監事は、法人の財産状況などを監査する機関で、公認会計士などの専門家が少なくとも1名必要です。
1. 理事の役割と要件
理事は法人の内部事務処理と外部代表機関としての役割を担います。法人の自主的な経営機能強化と内部牽制体制の観点から、各理事が代表権を有しても差し支えありません。ただし、理事全員または多数が親族などの特殊な関係にある場合のみが代表権を有するような構成は不適格です。代表権の制限を行う場合は、組合等登記令に基づき登記する必要があります。常務理事を置く場合は、理事長、常務理事、理事の職務制限を明確にし、定款に記載する必要があります。理事長以外にも代表権を持つ理事がいる場合は、その旨を定款に明記する必要があります。関係行政庁の職員が理事に就任することは、公私分離の原則に反するため不適当です。また、実際に法人運営に参画できない者が名目的に役員として参加することも不適切とされています。理事を構成する際には、社会福祉事業に関する学識経験を有する者や地域の福祉関係者を加えること、当該法人の理事、評議員、職員、またはこれらに類する他の業務を兼務しないことが求められます。また、当該法人に係る社会福祉施設の整備・運営と密接に関連する業務を行う者が理事総数の3分の1を超えてはなりません。
2. 評議員会の役割と構成
社会福祉法人は、公益性を鑑み、民主的で適正な運営を図るため、諮問機関として評議員会を設置することが必要です。評議員会は、法人の業務決定において重要な事項について、事前に意見を聴く必要があります。評議員会には、利用者の家族の代表者を加えることが望ましいとされています。親族などの特殊な関係にある者の割合にも制限があり、その制限数は理事の場合と同様です。当該法人に係る社会福祉施設の整備・運営と密接に関連する業務を行う者が評議員総数の3分の1を超えてはなりません。ただし、都道府県または市町村が福祉サービスを必要とする者について措置をとる社会福祉事業、保育所を経営する事業、または介護保険事業のみを行う法人については、この限りではありません。評議員会を設置する場合は、役員の選任は評議員会で行うことが適当です。評議員の定数は、理事定数の2倍を超える人数(理事の定数×2+1以上)とすることが推奨されています。評議員の選任にあたっては、社会福祉団体関係の役職経験や社会福祉活動歴などを確認する必要があります。
3. 監事の役割と要件
監事は、法人の監査機関として、公正中立の立場から理事の業務執行状況と法人の財産状況を監査する役割を担います。不正を発見した場合は、評議員会(評議員会がない場合は所轄庁)に報告する必要があります。監事は2名以上で、そのうち1名は公認会計士、税理士等の専門知識を有する者、または会社等で会計業務に携わった経験があり、財務諸表などを監査できる者でなければなりません。また、当該法人の経営する施設長などが1名以上参加することが求められています。ただし、評議員会を設置していない法人においては、施設長等の職員である理事が理事総数の3分の1を超えてはなりません。現職の国会議員や地方議会議員は、議員活動が優先されるため、名目的な役員となる恐れがあり、社会福祉法人の役員となることは不適当とされています。
IV.許可申請に必要な書類 Necessary Documents for Permission Application
社会福祉法人設立許可申請には、多くの書類が必要です。 重要な書類には、定款、贈与契約書、建設計画書、不動産目録、諸規程(定款施行細則、経理規程、就業規則など)、理事・評議員の履歴書、身分証明書などがあります。 これらの書類は、社会福祉法の規定に従って作成し、半田市の担当課に提出する必要があります。 半田市での許可申請では、事前に協議を行うことが推奨されています。
1. 定款とその他の基本書類
社会福祉法人設立許可申請には、まず定款が必要です。定款は、社会福祉法人設立を希望する者が作成しますが、厚生労働省が示す社会福祉法人定款準則を参考に作成する必要があります。定款には、法人の目的、事業内容、基本財産、役員に関する事項などが記載されます。定款は、法人の運営の基礎となる重要な書類であるため、十分に検討する必要があります。その他、設立許可申請に必要な書類として、寄付金がある場合は書面による贈与契約書とその写し、寄附予定者の印鑑登録証明書などの提出が必要です。贈与契約の両当事者が同一人物の場合は、利益相反となるため、定款に規定を設け、設立代表者の代理人と契約を結ぶ必要があります。また、諸規程(定款施行細則、経理規程、就業規則、給与規程など)も必要です。新設法人の場合は、新しい社会福祉法人会計基準や全国経営協モデル経理規程などを参考に作成し、決算書様式や帳簿様式なども添付する必要があります。全ての申請書類は、特別な証明書類を除き、A4版で統一する必要があります。
2. 施設建設関係書類
社会福祉施設を建設する場合は、建設計画書が必要です。建設計画書には、施設名、経営主体、設置場所、定員、敷地面積、規模・構造、施設整備資金計画、工事予定期間、施設事業開始予定年月日などを明記し、配置図、平面図、建設費見積書を添付する必要があります。資金計画は施設ごとに記載する必要があります。不動産関係書類としては、不動産目録、地上権・賃借権等の契約書、登記誓約書、契約相手方の印鑑登録証明書が必要です。地方公共団体からの不動産貸与を受ける場合は、長の無償貸与確約書を添付します。国・地方公共団体以外からの貸与の場合は、事業存続に必要な期間の地上権または賃借権を設定し、関連書類を添付します。抵当権等が設定されている場合は、権利者の解除承諾書などを添付する必要があります。賃借料は無料または極力低額であることが望ましく、理事長や法人から報酬を受けている役員からの賃借は望ましくありません。未建設の建物は記載せず、独立行政法人福祉医療機構からの借入金は負債として計上しません。
3. 役員 評議員関係書類
理事や評議員に関する書類も必要です。社会福祉施設を経営する法人の場合は、1人以上の施設長等が理事として参加する必要があります。ただし、評議員会を設置していない法人の場合は、施設長等の職員である理事が理事総数の3分の1を超えてはなりません。監事のうち1人は財務諸表などを監査できる者、もう1人は社会福祉事業に関する学識経験を有する者または地域の福祉関係者である必要があります。評議員就任予定者については、評議員就任承諾書、履歴書、身分証明書、印鑑登録証明書を提出する必要があります。履歴書には職歴を詳細に記載し、現職か元職かを明確にする必要があります。社会福祉団体関係の役職や社会福祉活動歴なども必ず記載する必要があります。印鑑は、印鑑証明書で確認できる印鑑を使用する必要があります。評議員会は原則として設置する必要がありますが、都道府県または市町村が福祉サービスを必要とする者について措置をとる社会福祉事業、保育所を経営する事業、または介護保険事業のみを行う法人については、この限りではありません。評議員の定数は理事定数の2倍を超える人数(理事の定数×2+1以上)とする必要があります。