
第三者割当増資:資金調達に関するお知らせ
文書情報
著者 | 株式会社トランスジェニック |
会社 | 株式会社トランスジェニック |
文書タイプ | プレスリリース |
言語 | Japanese |
フォーマット | |
サイズ | 472.84 KB |
概要
I. 資金調達の目的と理由
当社は、ジェノミクス事業、CRO事業、先端医療事業等の収益拡大と利益幅拡大を目指し、積極的な事業展開を推進しています。しかし、バイオベンチャー企業特有の事業特性から、安定的な成長には既存事業基盤の強化と関連事業の拡大が不可欠です。そのため、今回の 第三者割当 による 新株式発行、転換社債型新株予約権付社債、及び新株予約権 (新株予約権)発行による 資金調達 を実施します。この 資金調達 は、M&Aや提携等、将来的な事業成長に向けた積極的な投資を可能にすることを目的としています。
1. 売上 利益拡大と安定成長への必要性
平成28年3月期において、ジェノミクス事業、CRO事業、先端医療事業、病理診断事業の全事業で売上向上と利益幅拡大を目指し、積極的な施策を推進しています。しかし、バイオベンチャー企業は、主力製品の開発から収益化まで長期間と多額の投資が必要であり、売上も公的資金に依存するため景気変動の影響を受けやすいという特性があります。そのため、継続的な黒字幅拡大と安定的な成長軌道に乗るためには、既存事業基盤の強化とシナジー効果のある関連事業分野の拡大を迅速に進める必要があり、今回の資金調達に至りました。
2. 資金調達方法の選択と理由 第三者割当増資と新株予約権付社債 新株予約権の組み合わせ
今回の資金調達では、第三者割当による新株式発行に加え、第三者割当による新株予約権付社債と新株予約権の発行を組み合わせるスキームを採用しました。公募増資は一度に資金調達できる反面、株式の希薄化による株価への影響が大きい一方、本手法は新株予約権付社債発行時に一定額の資金を確保しつつ、希薄化懸念を抑制し、株価への影響を軽減できると判断しました。新株予約権付社債のみでは負債が増加するため、資本性のある新株予約権との併用により、よりバランスの取れた資金調達を目指しています。この資金調達は、同業他社とのM&Aや提携を迅速に進めるため、早期に手元資金を確保し、中期的に既存株主の利益を十分考慮した方法として選定されました。
3. 短期 中期的な資金需要と機動的な資金調達手段の確保
長期的な安定した財務基盤を維持するためには、短期・中期的な資金需要を見据えた機動的な資金調達手段を確保することが不可欠です。銀行借入や公募増資といった他の資金調達方法も検討しましたが、銀行借入は設備投資向けの融資は協議中であり、M&Aや資本提携目的の融資は希望額に満たない可能性が高い状況です。そのため、より迅速かつ柔軟に対応できる今回の資金調達スキームが、現在検討中の諸案件を円滑に進める上で必要不可欠と判断しました。
II. 資金調達方法の選択理由
銀行借入や公募増資等も検討しましたが、本資金調達方法(第三者割当による新株式発行、転換社債型新株予約権付社債、新株予約権)が、既存株主の株式価値希薄化への配慮、資金調達の柔軟性、流動性の向上といった点で最適と判断しました。特に、新株予約権は行使価額と対象株式数が固定され、希薄化リスクを抑制できます。また、新株予約権付社債は繰上償還条項があり、状況に応じて柔軟に対応できます。割当予定先であるマイルストーン社は純投資目的であり、株式の市場売却による流動性向上にも貢献します。
1. 銀行借入と公募増資の検討と限界
今回の資金調達にあたり、銀行借入と公募増資についても検討を行いました。銀行借入に関しては、設備投資向け融資については金融機関との協議が継続中ですが、現時点ではクロージングに至っていません。また、M&Aや資本提携を目的とした資金調達についても、現在の会社の状況から、仮に金融機関からの借入ができたとしても、希望額に満たない可能性が高いと判断しました。公募増資は、一度に資金調達を完了できる反面、株価への影響が大きく、希薄化も同時に起こるため、今回の状況には適さないと考えました。
2. 第三者割当による新株式発行 新株予約権付社債 新株予約権発行のメリット
様々な資金調達方法を比較検討した結果、第三者割当による新株式発行、新株予約権付社債、そして新株予約権発行という3つの方法を組み合わせた今回の資金調達スキームが、会社にとって最適な選択肢であると結論付けました。この方法を選んだ理由は、既存株主への配慮、資金調達の柔軟性、そして流動性の向上という3つの大きなメリットがあるためです。具体的には、新株予約権付社債と新株予約権の転換価額及び行使価額は固定されているため、株価の変動による更なる希薄化リスクは限定的です。また、新株予約権付社債には繰上償還条項が付されており、より有利な資金調達方法が見つかった場合、迅速に対応できます。さらに、割当予定先であるマイルストーン社は市場での売却を予定しているため、株式の流動性向上にも繋がると期待しています。
3. 割当予定先への要請事項とマイルストーン社の対応
資金調達において、当社は割当予定先に対し、(i)純投資であることの表明と実績、(ii)既存株主の株式価値の急激な希薄化回避、(iii)市場での売却による流動性向上への貢献、(iv)状況変化に応じて迅速な買戻し可能な取得条項付与などを求めていました。マイルストーン社はこれらの要請を受け入れ、新株予約権付社債と新株予約権の引き受けを表明しました。これは、マイルストーン社の純投資目的、そして市場での売却による流動性向上への貢献という姿勢が、当社の要件と合致したためです。結果として、他の資金調達方法と比較して、今回の方法が株式価値希薄化への配慮、資金調達の柔軟性、流動性の向上という点で優れていると判断しました。
III. 割当予定先 マイルストーン社
新株予約権付社債及び新株予約権の割当予定先は、投資事業を目的とする株式会社マイルストーン社です。同社は過去30社以上の上場企業に対し、新株予約権等の引受け実績があり、資金確保の確実性が担保されています。同社との契約には、当社株価が一定水準を超えた場合に当社が新株予約権の行使を指示できる条項が含まれています。マイルストーン社の平成26年2月1日~平成27年1月31日の事業報告書によると、売上46億2900万円、営業利益4億9700万円、純資産3億8900万円、総資産15億7300万円でした。
1. マイルストーン社の概要と投資実績
新株予約権付社債及び新株予約権の割当予定先であるマイルストーン社は、平成21年2月設立の東京に拠点を置く投資事業会社です。代表取締役は浦谷元彦氏です。平成24年2月1日にはマイルストーン・アドバイザリー株式会社(旧マイルストーン・キャピタル・マネジメント株式会社)からの新設分割により設立され、それ以前からの投資事業を引き継いでいます。開示資料によると、同社は新設分割前を含め、30社を超える上場企業に対し、第三者割当方式による新株式、新株予約権付社債、新株予約権の引受けおよび行使実績があり、資金の払込みも確実に行われていると確認されています。これら実績から、同社の資金力と払込能力の高さが示唆されます。
2. マイルストーン社の投資方針と株式保有方針
マイルストーン社との間では、株式保有に関する特別な取り決めはありませんが、同社からは口頭で当社の企業価値向上を期待した純投資である旨の意向を確認しています。また、新株予約権付社債の転換および新株予約権の行使により取得する当社普通株式については、長期保有せず、市場動向を勘案しながら売却する方針であると聞いています。この方針は、株式の流動性向上に貢献すると期待しており、今回の資金調達における重要な要素となっています。さらに、同社は新株予約権付社債や新株予約権の引受けに十分な資金を保有しており、その財産状況の説明を聴取し、平成26年2月1日から平成27年1月31日までの事業報告書(売上46億2900万円、営業利益4億9700万円、純資産3億8900万円、総資産15億7300万円)や平成27年11月24日時点の預金口座残高を確認することで、資金保有状況を裏付けています。
3. マイルストーン社選定の理由 経営への介入排除と流動性向上への貢献
本新株予約権付社債及び本新株予約権の割当予定先としてマイルストーン社を選定した理由は、経営への介入を排除し、純粋な投資による資金調達を実現したいという当社の意向に合致したためです。具体的には、①純投資目的での投資を行い、当社の経営方針を尊重すること、②市場での売却による流動性向上への貢献という2点を重視して選定を進めました。複数の候補企業・投資会社との協議・交渉を経て、マイルストーン社がこれらの条件を満たし、適時に必要な資金の確保可能性が高いと判断した結果、同社を選定しました。また、一定の条件下では当社が新株予約権の行使を指示できる条項も盛り込まれており、株価の状況に応じて柔軟な資金調達戦略が可能となっています。
IV. 割当予定先 福永健司氏
新株式の割当予定先は、代表取締役社長である福永健司氏です。福永氏は、今回の新株式を引き受けることで、当社の経営改革と業績向上に貢献する意思を示しており、長期保有する方針です。譲渡に関する報告義務を負う確約書を取得予定です。
1. 福永健司氏の役割と新株式引受目的
本新株式の割当予定先である福永健司氏は、当社の代表取締役社長です。同氏は、これまで当社の経営改革と業績向上に中心的な役割を果たしており、今後も企業価値向上のため経営を担っていく強い意欲を持っています。今回の資金調達において、早期の資金確保を目的として、福永氏自ら新株式を引き受けることを申し出ており、その意欲とこれまでの貢献を鑑み、割当予定先として適切であると判断しました。同氏の積極的な姿勢は、会社の将来への確固たる自信を示すものであり、今回の資金調達を成功に導く上で重要な役割を果たすと考えられます。
2. 福永健司氏の株式保有方針と譲渡に関する確約
福永氏は、企業価値向上のため、当社普通株式を長期的に保有する方針であると説明しており、その意向を口頭で確認しています。さらに、払込期日より2年以内に割当株式の全部または一部を譲渡した場合には、譲渡を受けた者の氏名・住所、譲渡株式数、譲渡日、譲渡価格、譲渡理由、譲渡方法などを直ちに当社へ書面で報告し、当社がその内容を東京証券取引所に報告し、公衆縦覧に供することに同意する確約書を取得する予定です。この確約は、株式の安定的な保有と情報開示の透明性を確保する上で重要な役割を果たします。これにより、既存株主の皆様の利益を保護するとともに、市場への信頼性を高める効果が期待されます。
V. 発行価額と算定方法
新株式の発行価額は、取締役会決議日の直前営業日の終値を参考に算定しました。これは、直近の市場価格が当社の株式価値をより適正に反映していると判断したためです。新株予約権付社債と新株予約権の発行価額は、株式会社プルータス・コンサルティングによる評価結果を参考に、適正かつ妥当な価格と判断しました。監査役は、これらの発行価額が特に有利な金額に該当しないと意見を表明しています。発行諸費用は概算で1,000万円です。
1. 新株式の発行価額の算定と根拠
新株式の発行価額は、取締役会決議日の直前営業日までの1ヶ月間の終値平均価格751円を基準に算定されました。これは、直近の市場価格が当社の株式価値をより適正に反映しているとの判断に基づきます。具体的には、1ヶ月間の終値平均価格に対する乖離率は3.43%、3ヶ月間の終値平均価格に対する乖離率は4.02%、6ヶ月間の終値平均価格に対する乖離率は4.28%となっています。この算定方法は、日本証券業協会の「第三者割当増資の取扱いに関する指針」に準拠しており、会社法第199条第3項に規定される特に有利な金額には該当しないと判断されています。監査役全員も、この算定方法、及び平成28年3月期第2四半期決算発表後の株価を基準とした点は市場慣行に沿っており、適法であるとの意見を表明しています。
2. 新株予約権付社債と新株予約権の発行価額の算定と根拠
新株予約権付社債と新株予約権の発行価額は、株式会社プルータス・コンサルティングによる第三者評価を参考に決定されました。同社はモンテカルロ・シミュレーションを用い、株価、転換価額(または行使価額)、配当率、権利行使期間、無リスク利子率、株価変動性、そして当社と割当予定先であるマイルストーン社の行動などを前提として評価を実施しました。新株予約権付社債は1個あたり10,000,000円(額面100円につき100円)、新株予約権は1個あたり1,100円(1株あたり11円)と決定し、新株予約権の行使価額は、取締役会決議日の直前営業日の東証マザーズにおける終値777円を参考に800円としました。監査役は、この評価方法が一般的であり、特に不合理な点がないと判断し、特に有利な金額に該当しないと意見を表明しています。発行諸費用は概算で10,000,000円です。
3. 発行価額算定における直近市場価格の採用理由
新株式の発行価額、新株予約権付社債の転換価額、そして新株予約権の行使価額の算定において、取締役会決議日の前取引日終値を参考値としたのは、直近の市場価格が当社の株式価値をより適正に反映しているとの判断からです。これは、近3ヶ月間と近6ヶ月間の株価変動が激しかったこと、また、過去の平均株価を用いることが必ずしも直近の価値を反映しないことを考慮したためです。平成27年11月5日に平成28年3月期第2四半期決算短信を開示しており、その後の市場価格が、当社の株式価値をより正確に示していると判断しました。発行価額は、会社法、そして日本証券業協会の指針にも準拠していることを確認しています。