はじめに 都 市 計 画 審 議 会 での 経 過 ( 風 致 地 区 ) H23.10 第 1 回 勉 強 会 意 見 を 踏 まえ 再 検 討 作 業 H25. 5 第 2 回 勉 強 会 都 市 計 画 の 手 続 H26. 4 都 市 計 画 審 議 会 ( 諮 問 ) 2

風致地区指定:都市計画審議会審議

文書情報

学校

大学名(不明)

専攻 都市計画、地域計画、建築学など関連分野
場所 (不明)
文書タイプ 都市計画審議会資料、報告書、議事録など
言語 Japanese
フォーマット | PDF
サイズ 2.45 MB

概要

I.佐賀市風致地区の再検討 松原公園と神野公園

本資料は、佐賀市の風致地区である松原公園と神野公園について、現状と課題、そして都市計画の見直しに関する検討内容をまとめたものです。特に、風致地区の解除や区域変更の可能性について、都市計画審議会の審議を経て議論されています。松原公園(指定面積:8.0ha、指定年月日:昭和25年7月5日)は、昭和45年の佐賀県風致条例制定による規制強化で建築更新が困難となり、現在では土地利用の促進と都市環境改善の観点から、風致地区からの除外が検討されています。一方、神野公園(指定面積:15.0ha、指定年月日:昭和25年7月5日)は、神野公園区域と地蔵川を残し、北側区域と多布施川流域を風致地区から除外する案が提案されています。これにより、建築規制の緩和と土地利用の活性化が期待されます。両公園とも、都市計画道路の整備等による現状変化を踏まえ、指定区域の妥当性の再検討が行われています。 具体的な変更案としては、松原公園で約1ha、神野公園で約8.6haの面積縮小が検討されています。これらの検討は、中心市街地活性化策とも連携しながら進められています。

1. 松原公園風致地区の現状と課題

松原公園風致地区は昭和25年7月5日に指定され、指定面積は8.0haです。決定当時の現況は、戦後復員者のマーケットが六十余戸に及んでおり、市民の遊園地としての風趣を著しく害していました。昭和45年の新都市計画法、同法施行令、風致政令、そして佐賀県風致条例の制定により、規制基準が明確化され、風致地区内の建築物の建築更新が困難となりました。約60年かけて松原マーケットは解体されましたが、昭和初期に計画された商工会館南側の城濠を埋め立てて広場にする計画は、現在では存在していません。昭和40年には佐賀駅下古賀線の佐賀駅から国道264号までの区間が開通、平成9年にはくすの栄橋が竣工したことで、指定区域は東西に分断されています。この状況変化を踏まえ、指定区域の妥当性が検討されています。具体的には、商工会館とその南側の城濠区域、民間駐車場付近と佐賀中央郵便局周辺、そして松原神社、佐嘉神社を含む地区との一体性の有無などが検討項目となっています。佐賀駅下古賀線の開通により、松原神社、佐嘉神社を含む地区との一体性が失われている点、現在の商工会館の敷地に守るべき風致がないと考えられる点などが指摘されています。一方、民間駐車場付近と松原公園、松原川は一体となって景観を守るべき区域であり、佐賀中央郵便局も守るべき風致を有しているとの意見もあります。 中心市街地活性化策との連携も考慮し、街なかの回遊性を高める仕掛けとして、風致地区を残すことが望ましいとの意見も見られます。

2. 神野公園風致地区の現状と課題

神野公園風致地区も昭和25年7月5日に指定され、指定面積は15.0haです。決定当時の現況は、園内の桜や梅の大部分が大正12年に鍋島家から佐賀市に寄付されたもので、一般の遊園地として今日に至っています。昭和23年度に建設された木造平屋30戸の市営住宅の払い下げが完了したことから、現在は神野公園、市営住宅常磐団地、多布施川流域を除いた部分が民有地となっています。昭和49年の環状北線の全線供用開始、昭和55年の都市計画道路若宮新村線の風致地区区間の開通により、区域は南北に3つに分断されています。昭和34年には神野公園、昭和49年には多布施川河畔公園が都市計画公園・緑地として都市計画決定されています。佐賀県風致条例制定後(昭和45年)の許可申請書の中には、建築等の規制基準を超えていても理由書添付等で許容されているものが見られます。神野公園北側区域の建築申請書の中には、「基準を超えているが佐賀県の方針として風致地区の指定を除外する方向にあるので許可やむを得ない」との所見が記載されているものもあります。平成25年1月の現地調査では、高さに問題のある建築物はなかったものの、壁面後退規制を超えている敷地が多く見られ、緑化されていない敷地や空き地、空き家、空き店舗も見られました。神野公園北側の区域は既に宅地化しており、昭和45年以前の区画割であること、敷地が狭小であることから、不適格建築物が6割を占める状況です。そのため、風致地区の厳しい建築規制による私権制限を今後も続けることは望ましくないとの意見が出ています。 多布施川流域と神野公園区域については、都市計画公園神野公園の区域と市有地をベースとした区域とする案が検討されています。

3. 再検討プロセスと変更案

松原公園と神野公園の風致地区再検討は、平成25年5月の第2回勉強会、平成26年4月の都市計画審議会(諮問)を経て進められました。平成25年10月には原案作成、11月26日には原案説明会(参加者5名)が行われ、平成26年4月1日~15日には案の縦覧が行われましたが、意見書は提出されませんでした。平成26年4月21日には市都市計画審議会が開かれました。検討の結果、松原公園については、都市計画道路「佐賀駅下古賀線」の東側道路端から西側の区域を風致地区から除外する変更案が提示されました。変更前は8.0haでしたが、変更後は7.0haとなります。神野公園については、神野公園北側の区域と多布施川流域を風致地区から除外し、神野公園区域(子ども遊園地を含む)及び地蔵川を風致地区とする変更案が提案されました。変更前は15.0haでしたが、変更後は6.4haとなります。これらの変更案は、土地利用の促進、都市環境の改善、中心市街地活性化策との連携などを考慮して提案されています。 これらの変更案は、今後の都市計画審議会での審議を経て決定されます。

II.松原公園風致地区 現状と課題

松原公園風致地区は、昭和25年に指定され、戦後のマーケット跡地を含む区域を対象としています。しかし、都市計画道路「佐賀駅下古賀線」の開通によって区域が分断され、商工会館周辺などでは風致の維持が困難となっていると判断されています。そのため、風致地区からの除外により、土地利用の活性化を図る提案がなされています。特に、商工会館南側の城濠跡地は、現状では風致を維持する必要性が低いと判断されています。

1. 松原公園風致地区の指定と現状

松原公園風致地区は昭和25年7月5日に指定され、面積は8.0haです。指定当時の状況は、戦後復員者によるマーケットが六十余戸も密集し、公園としての景観を著しく損なっていました。その後、昭和45年の佐賀県風致条例制定による規制強化で、地区内の建築物の改修や更新が困難となり、約60年かけてマーケットは徐々に解体されました。しかし、当初計画されていた商工会館南側の城濠を埋め立てて広場とする計画は、現在では実現していません。また、昭和40年の佐賀駅下古賀線の一部開通と平成9年のくすの栄橋竣工により、風致地区は東西に分断されるという状況変化も起きています。これらの経緯から、現在の指定区域の妥当性について再検討が必要となりました。

2. 指定区域の妥当性に関する検討 現状の問題点

指定区域の妥当性に関する検討では、特に以下の点が問題視されています。まず、佐賀駅下古賀線の開通により、松原神社や佐嘉神社など周辺地区との一体性が失われている点です。また、現在の商工会館の敷地には、風致地区として保護すべき景観は存在しないと判断されています。さらに、都市計画道路北堀端扇町線が地区を貫通していることも、景観維持の課題となっています。これらの問題点から、風致地区の指定を解除することで、土地の有効活用を促進し、都市環境の改善(緑化や避難所の確保など)に繋がる可能性が示唆されています。一方で、民間駐車場周辺や佐賀中央郵便局周辺は、松原公園や松原川と一体となって景観を形成しており、これらの区域については、風致地区として維持すべきという意見も存在します。民間駐車場北側の街角広場は、将来のまちづくりにおける担保として残すべきという意見も挙げられています。中心市街地活性化策との連携も考慮すべき事項として挙げられています。

3. 変更案と今後の展望

現状の問題点を踏まえ、松原公園風致地区の変更案として、都市計画道路「佐賀駅下古賀線」の東側道路端から西側の区域を風致地区から除外することが提案されています。これにより、指定面積は8.0haから7.0haに縮小されます。この変更案は、土地利用の促進や都市環境の改善といった効果が期待される一方、景観保護とのバランスをどのように取るかが重要な検討事項となります。 今後の審議において、これらの利点と欠点を総合的に評価し、最適な解決策を模索していくことが求められます。この変更は、佐賀市の都市計画に大きな影響を与えるため、関係者間の十分な議論と合意形成が不可欠です。

III.神野公園風致地区 現状と課題

神野公園風致地区も昭和25年に指定されましたが、市営住宅の建替や都市計画道路「環状北線」「若宮新村線」の開通によって、区域が分断され、現状の風致地区の範囲が適切ではないと判断されています。特に神野公園北側は既に宅地化が進み、佐賀県風致条例制定以前の区画割であること、狭小な敷地が多いことから、建築規制による私権制限の継続は困難とされています。そのため、神野公園区域と地蔵川のみを風致地区として残し、その他は除外する案が検討されています。不適格建築物の存在も大きな課題です。

1. 神野公園風致地区の指定と現状

神野公園風致地区は昭和25年7月5日に指定され、面積は15.0haです。公園内にある多くの桜や梅は、大正12年に鍋島家から佐賀市に寄付されたものです。昭和23年には木造平屋30戸の市営住宅が建設されましたが、その払い下げが完了したため、現在では神野公園、市営住宅常磐団地、多布施川流域を除く部分が民有地となっています。昭和49年には環状北線が全線開通、昭和55年には都市計画道路若宮新村線が風致地区区間で開通したことにより、神野公園風致地区は南北に3つに分断されています。昭和34年には神野公園、昭和49年には多布施川河畔公園が都市計画公園・緑地として指定されています。これらの道路整備による分断や土地利用の変化は、風致地区の現状を大きく変えています。佐賀県風致条例(昭和45年制定)施行後も、建築規制基準を超える申請が理由書などで容認されているケースがあり、規制の運用に課題が見られます。特に神野公園北側区域では、県の方針として風致地区指定除外の方向にあることを理由に、基準を超える建築が許可されている事例も存在します。

2. 神野公園北側区域の課題 不適格建築物と私権制限

神野公園北側の区域は既に宅地化が進み、昭和45年以前の区画割で狭小な敷地が多いのが特徴です。そのため、不適格建築物が全体の約6割を占める状況となっています。この状況は、風致地区の厳しい建築規制による私権制限と深く関わっており、現状維持が困難であると判断されています。平成25年1月に行われた現地調査では、高さに問題のある建築物は確認されませんでしたが、壁面後退規制を超える敷地が多く、緑化されていない敷地や空き地、空き家、空き店舗も多数存在することが明らかになりました。これらの状況から、神野公園北側区域については、風致地区の厳しい建築規制を継続することは現実的ではないと結論づけられています。私権の制限と景観保全のバランスを改めて見直す必要性が高まっています。

3. 変更案と今後の検討方向

上記の現状と課題を踏まえ、神野公園風致地区の変更案が提案されています。具体的には、神野公園北側の区域と多布施川流域を風致地区から除外する一方、神野公園区域(子ども遊園地を含む)と地蔵川を風致地区として残す案です。これにより、指定面積は15.0haから6.4haに縮小されます。この変更案は、不適格建築物問題の解消、私権制限の緩和、そして土地利用の活性化を目指しています。しかし、この変更案が、神野公園全体の景観保全という本来の目的とどのように調和するのか、更なる検討が必要です。 神野公園の景観維持と周辺地域の活性化という二つの目標を両立させるための、最適な区域設定と規制の在り方が、今後の重要な課題となります。

IV.再検討の経緯と今後の展望

再検討作業は、平成25年からの勉強会や都市計画審議会での議論を経て行われ、平成26年に意見募集が行われました。検討の結果、松原公園と神野公園の風致地区の縮小案が示され、土地利用の促進、都市環境の改善、そして中心市街地活性化への貢献が期待されています。 これらの変更は、都市計画法および関連法令に基づいて進められます。

1. 再検討プロセスの概要

松原公園と神野公園の風致地区再検討は、平成23年10月の第1回勉強会を皮切りに、平成25年5月の第2回勉強会、そして平成26年4月の都市計画審議会(諮問)を経て進められました。この間、関係者からの意見を聞きながら、現状の課題と将来の方向性が議論されてきました。平成25年10月には再検討のための原案が作成され、同年11月26日には原案説明会(参加者5名)が開催されました。その後、平成26年4月1日から15日にかけて案の縦覧が行われましたが、意見書は提出されませんでした。最終的に、平成26年4月21日に市都市計画審議会において審議が行われ、松原公園と神野公園それぞれの変更案が提案されるに至りました。これらのプロセスは、関係者間の意見交換や合意形成を図りながら、慎重に進められてきたことを示しています。

2. 松原公園と神野公園における変更案

松原公園については、都市計画道路「佐賀駅下古賀線」の東側道路端から西側の区域を風致地区から除外するという変更案が提示されています。これにより、風致地区の面積は8.0haから7.0haに縮小されます。神野公園については、神野公園北側の区域と多布施川流域を風致地区から除外する一方、神野公園区域(子ども遊園地を含む)及び地蔵川を風致地区として残すという変更案が提案されています。この変更により、面積は15.0haから6.4haに縮小されます。両公園とも、現状の土地利用状況や道路整備による状況変化を踏まえ、風致地区の範囲を最適化することで、土地利用の促進、都市環境の改善、そして中心市街地活性化に貢献することを目指しています。それぞれの変更案は、それぞれの公園の特性と課題を考慮した上で提案されています。

3. 今後の展望と課題

提案された変更案は、都市計画法に基づき、関係機関との協議や手続きを経て正式に決定されます。これらの変更案が実現すれば、松原公園と神野公園周辺地域の土地利用が促進され、都市環境の改善に繋がることが期待されます。しかしながら、風致地区の縮小は、景観保全とのバランスを考慮する必要があり、その点については更なる議論が必要となるでしょう。特に、神野公園北側区域のように、既に宅地化が進んでいるエリアでの風致地区解除は、周辺環境への影響を慎重に検討する必要があります。今後、これらの変更案に関する市民からの意見や専門家の見解を踏まえ、より詳細な検討が行われ、最適な都市計画が策定されることが期待されます。中心市街地活性化との連携も視野に入れ、総合的な視点からの判断が重要となるでしょう。