マリモの育て方

養殖マリモ飼育ガイド

文書情報

著者

おのり

文書タイプ 解説書
言語 Japanese
フォーマット | PDF
サイズ 0.99 MB

概要

I.養殖マリモと天然マリモの違い

本書では、入手容易な【養殖マリモ】と希少な【天然マリモ】の違いを解説します。市販のマリモはほとんどが養殖で、糸状体を人工的に球状に加工したものです。完全養殖はまだ実現しておらず、天然マリモは輸入品か、残念ながら密漁されたものも存在します。北海道のお土産物屋では、繊維製の【偽物のマリモ】も売られているため注意が必要です。【天然マリモ】の入手は困難で、環境保護の観点からも購入には慎重さが求められます。

1. 市販のマリモはほとんどが養殖マリモである

ペットショップなどで手軽に売られている小さな瓶に入ったマリモは、ほぼ全てが養殖マリモです。有名な阿寒湖のマリモは国の特別天然記念物で絶滅危惧種に指定されているため、採取はできません。国産で販売されているマリモは、天然ではなく養殖されたものであることを理解しておくことが重要です。この章では、広く流通している養殖マリモと、希少な天然マリモの違いについて詳しく解説します。特に初めてマリモを飼育される方にとって、この違いを知ることは、適切な飼育方法を選択する上で非常に大切です。 養殖マリモは、球状ではない糸状のマリモを原料として、人工的に球状に加工されたものです。完全養殖によるマリモの増殖・培養は研究段階であり、現在市場に出回っているものは、この人工的な加工を経たものと考えて差し支えありません。 そのため、天然マリモと養殖マリモの外観上の違いは、厳密には、人工的な加工の有無に集約されます。しかし、この違いは、マリモの生育環境や、長期的な飼育における注意点に繋がる重要な要素となります。

2. 養殖マリモの原料と流通について

現在、店頭やネットショップで販売されている養殖マリモの原料は、主に外国産の輸入物です。かつてはシラルトロ湖のマリモも原料として使用されていましたが、乱獲により激減したため、現在は条例で採取が禁止されています。しかし、依然としてシラルトロ湖産を原料だと誤解している人もいるようです。 そのため、現在流通している養殖マリモの多くは、外国から輸入されたものが原料となっています。ただし、密漁によって不正に入手されたマリモも存在する可能性があるため、信頼できる販売店を選ぶことが重要です。残念ながら、密漁されたマリモと正規の輸入品を見分けるのは容易ではありません。 さらに、北海道のお土産物屋では、繊維で作った模造品が売られているケースもあると本書では注意喚起されています。天然マリモと養殖マリモ、そして模造品の見分け方を理解し、信頼できる販売店からマリモを購入することが、責任ある飼育の第一歩と言えるでしょう。 これらの情報から、消費者は、マリモの購入先選びにおいて、十分な注意を払う必要があることが分かります。

3. 天然マリモの入手困難性と環境保護

天然マリモの入手は非常に困難です。阿寒湖のマリモのように、天然記念物や絶滅危惧種に指定されている場合、採取は法律で禁止されています。 そのため、天然マリモを入手するには、海外からの輸入に頼るしかありません。しかし、輸入経路によっては、環境への配慮が不十分な場合もあるため、消費者は、環境保護の観点からも、マリモの購入には慎重になる必要があります。 本書では、天然マリモの入手困難性と、環境保護の重要性を強調しています。 安易な採取や、倫理的に問題のある入手経路を避けるために、消費者は、養殖マリモを選ぶことや、信頼できる販売店から購入することが推奨されます。 マリモの飼育を楽しむためには、まず、その生態系や保全状況を理解し、環境への配慮を第一に考える必要があります。

II.マリモの理想的な飼育環境

【マリモ飼育】において重要なのは水温管理です。マリモは高温に弱く、30℃以上は危険です。一方、低温には比較的強いですが、冷蔵庫に入れる際は冷凍庫ではないことを注意しましょう。理想的な水温は15~20℃です。水の交換頻度は環境によりますが、汚れたら交換しましょう。水質は、ミネラルウォーターや、安全な天然水を使用することをお勧めします。マリモの健康維持には、定期的な洗浄と水の交換が不可欠です。ミネラル補給として【麦飯石】を使用するのも有効な手段です。

1. 水質について きれいな水を使用する

マリモの飼育には、きれいな水を使用することが重要です。著者は市販のミネラルウォーターや、10リットル100円で販売されている名水を活用しています。水槽が小さいため、高価な水を使用することへの抵抗が少ないことも理由の一つです。読者の方々にも、ミネラルウォーターや各地の名水でマリモを育てることを提案しており、ある意味過保護な飼育方法も有効だと示唆しています。これは、水質の悪化がマリモの生育に悪影響を与える可能性を考慮した上で、より安全な環境を提供するという観点からの提案です。特に、小さな容器で水道水を使用する場合には、毎日の水交換も検討する価値があります。 水質管理は、マリモの健康維持において重要な要素であり、本書では、入手しやすい高品質な水を使用することの重要性を強調しています。 これは、マリモの生育を阻害する可能性のある不純物や有害物質を除去するため、そして、マリモが健康的に成長するための最適な環境を提供するためです。

2. 水温管理の重要性 高温への弱さと低温への強さ

マリモは高温に弱く、低温には強い植物です。水温が30℃を超えるとマリモにとって危険な状態になります。短時間であればすぐに影響が出るとは限りませんが、30℃を超えないように注意する必要があります。一方、低温状態には強く、冷蔵庫に入れても問題ありません(冷凍庫は不可)。冷蔵庫に入れている間は光が当たらないため光合成はできませんが、一ヶ月程度であれば問題ないようです。著者は2、3日冷蔵庫に入れた経験もあると述べています。夏の高温対策として、冷蔵庫を活用する方法も有効です。マリモの生育にとって水温管理は非常に重要であり、本書では、高温と低温それぞれの状況におけるマリモへの影響について詳細に解説しています。特に、日本の夏の高温多湿な環境においては、適切な水温管理がマリモの生存に直結します。そのため、本書で提示されている水温管理方法を参考に、それぞれの飼育環境に適した方法を選択することが重要です。

3. 水の交換頻度 飼育環境に応じた柔軟な対応

水の交換頻度は、飼育環境によって大きく異なります。水が汚れたと感じたら、すぐに交換するのが望ましいです。著者の場合、最大一ヶ月交換しなかったこともありますが、これはあくまで著者の飼育環境における経験であり、一般化できるものではありません。小さな容器で水道水を使用している場合は、毎日交換しても良いくらいです。水の汚れはマリモの生育に悪影響を与えるため、こまめな観察と適切な対応が必要です。 本書では、飼育環境に応じた柔軟な水の交換頻度を推奨しています。これは、水槽のサイズ、水の量、マリモの数、そして使用する水の質など、様々な要因によって最適な交換頻度が異なるためです。 読者の方々は、自身の飼育環境をよく観察し、マリモの状態に合わせて水の交換を行う必要があります。

4. マリモの健康増進 ミネラル鉱石の利用など

マリモの健康を保つためには、水温管理や水の交換に加えて、ミネラル鉱石を入れるなどの方法もあります。著者は一定のミネラル供給を目的として麦飯石を水槽に入れています。麦飯石の効果については不明な点も多いですが、著者の経験では、マリモの健康状態に悪影響は出ていないようです。 ミネラル鉱石の使用は、マリモの生育を促進する可能性がありますが、必ずしも必要なものではありません。本書では、麦飯石の利用について紹介していますが、これはあくまでも一つの選択肢であり、他のミネラル鉱石を使用する場合も、事前にその効果や安全性についてよく調べてから使用する必要があります。 マリモの健康状態は、水質、水温、光、そしてミネラルバランスなど、複数の要因によって影響を受けます。本書で紹介されているこれらの情報は、マリモの飼育に役立つだけでなく、マリモの生育に関する更なる理解を深めるための基礎知識としても活用できます。

III.水温管理の独自方法

本書では、小型水槽向けの水温管理の【オリジナル方法】を紹介します。この方法は、保冷材と二重構造の水槽を利用し、日光浴をしながらも低水温を維持できるものです。使用する水槽は、GEX(ジェックス)の『金魚のお部屋ホワイトS』(315×185×244mm)などが適しています。保冷材は1kg程度のものを複数使用します。この方法は、常にエアコンを使用できない環境下で特に有効です。冷却ファンなど一般的な方法とは異なり、低コストで効果的な【マリモの水温管理】を実現します。ただし、日光浴時は水温チェックが必須です。

1. 一般的な冷却方法の問題点

一般的なマリモの水温管理方法として、冷却ファンや高価なクーラーの使用が挙げられますが、本書の著者によれば、これらの方法は必ずしも効果的とは限らないとされています。冷却ファンは、効果が限定的であること、湿度が高い日には効果が期待できないこと、そして動作音が気になるといった問題点を指摘しています。これらの問題点を踏まえると、より効果的で、かつ静音性にも優れた水温管理方法の必要性が示唆されます。 著者は、これらの一般的な方法の欠点を克服するために、独自の冷却方法を考案し、実践しています。この独自の方法は、後述するように、小型水槽に特化した、低コストで環境負荷の少ない方法です。 本書では、これらの一般的な方法の問題点について詳細に解説することで、読者がより効果的な水温管理方法を選択するための情報を提供しています。

2. 著者独自の冷却方法の概要 二重水槽と保冷材の活用

著者が実践している水温管理方法は、マリモが入った小さな水槽を、さらに大きな水槽の中に設置し、その間に保冷材を挟み込むというものです。この方法では、保冷材による冷却効果と、外気からの遮断効果を組み合わせることで、水温の上昇を抑え、理想的な水温を維持することができます。特に、小型水槽であれば、この方法によって、窓際に置いて日光浴させながらも、水温を低く保つことが可能になります。 この方法は、エアコンなどの空調設備に頼らず、比較的低コストで実現できる点が大きな特徴です。しかし、この方法は小型水槽を前提としており、水槽のサイズによっては適用できない可能性がある点に注意が必要です。 この独自の方法は、省エネで環境に配慮した水温管理方法を探している人にとって、非常に魅力的な選択肢となります。

3. 著者独自方法の実践例と注意点 水槽 保冷材 その他用具

著者は、GEX(ジェックス)の「金魚のお部屋ホワイトS」のような水槽を、外側の大きな水槽として使用しています。この水槽は、エアーポンプとフィルターがセットになっているため、コストパフォーマンスに優れています。ただし、付属のフィルターはマリモの飼育には大きすぎるため、使用していないとのことです。内側の小さな水槽は「アクアリウムタンク CU-MINI 150」を使用しています。 保冷材は1kgのものを2つ使用しており、水槽の側面に密着させることで冷却効果を高めています。また、結露対策として、水槽の下に受け皿を置くことも推奨されています。さらに、著者は、長期間留守にする際には、水槽の水をペットボトルに移して冷蔵庫に保管するという方法も紹介しています。 この方法を実践する際には、水槽のサイズ選び、保冷材の量、そして結露対策など、いくつかの点に注意する必要があります。本書では、これらの点について、図解を用いて詳しく解説しています。

4. 代替案と改良 日光浴時の注意点と他の水槽の提案

著者の方法では、日光に当てる際に結露が発生したり、アオコが発生する可能性があるため、日光浴時は別の容器に移すことを提案しています。GEX(ジェックス)の「金魚のお部屋ミニ」のような小さな水槽や、ビンなども代替案として挙げられています。 また、著者は、この水温管理方法は、日光に当てない場合でも低温を保つのに有効だと強調しています。 この方法のメリットは、低コストで、省エネ、そして日光浴を可能にする点です。しかし、デメリットとしては、小型水槽向けであること、日光浴時は水温管理に注意が必要であること、そして結露対策が必要であることが挙げられます。本書では、これらのメリットとデメリットを理解した上で、自身の飼育環境に合った方法を選択するよう読者に促しています。

IV.必要な飼育用具と選び方

【マリモ飼育】に必要な用具として、小型水槽(例:アクアリウムタンク CU-MINI 150)、底砂(天然石さざれなど水に強いもの推奨)、水温計、エアーポンプ兼フィルター(GEX ロカボーイコンパクトなど)、そして、オプションとしてガラス細工の飾りや【麦飯石】を紹介します。底砂には、パワーストーンショップやネットショップで入手可能な天然石のさざれがおすすめです。選ぶ際は、水と日光への耐久性を確認しましょう。 水槽のサイズは、本書で紹介している方法が使いやすいサイズを選んでください。

1. 水槽の選び方 小型水槽と大型水槽の役割

マリモの飼育には、適切なサイズの水槽を選ぶことが重要です。本書では、著者が使用している小型水槽「アクアリウムタンク CU-MINI 150」と、それを収納するための大型水槽について解説しています。大型水槽は、著者の独自の水温管理方法において、保冷材と組み合わせることで、水温を安定させる重要な役割を果たしています。大型水槽の候補として、GEX(ジェックス)の「金魚のお部屋ホワイトS」(315×185×244mm)や「金魚のお部屋ミニ」(235×185×172mm)などが紹介されており、価格帯なども提示されています。水槽を選ぶ際には、小型水槽と大型水槽のサイズバランスを考慮し、保冷材を適切に配置できるスペースを確保することが重要です。著者は、自身の使用経験に基づいて、具体的な水槽のサイズや価格、そして入手方法について詳しく解説しています。 また、水槽以外の容器、例えばビンなども使用可能であると述べられており、読者の飼育環境に合わせた柔軟な選択を促しています。

2. 底砂の選び方 天然石さざれと注意点

水槽の底砂として、著者は天然石のさざれを使用しています。パワーストーンとして販売されている天然石を使用しており、その種類としてペリドット、プレナイト、アクアマリンなどを例示しています。 底砂を選ぶ際には、水に弱くないこと、日光に弱くないこと(日光に当てない場合は問題ない)という点が重要です。パワーストーンの浄化方法を参考にすることで、これらの特性を調べることができると説明しています。 また、グラスサンドなどの代替案も示唆しつつ、天然素材へのこだわりから天然石を選んだ理由を述べています。天然石を選ぶ場合は、色落ちや成分溶出によるマリモへの悪影響を避けるために、水と日光への耐久性を事前に確認する必要があります。 さらに、粒の大きさはマリモに挟まらない程度に、色は好みで選ぶことができますが、透明なものが光を反射してきれいに見えるという個人的な意見も述べられています。

3. その他の飼育用具 水温計 フィルター 飾りなど

本書では、水温計、エアーポンプ兼フィルター、ガラス細工の置物、麦飯石など、マリモ飼育に役立つその他の用具についても解説しています。水温計は、特に夏場の高温対策に不可欠であり、水槽の内側に吸盤で取り付けるタイプが安価で入手しやすいと紹介されています。 エアーポンプ兼フィルターは、GEX(ジェックス)の「ロカボーイコンパクト」などがコスパが良いと推奨されており、価格帯も提示されています。 ガラス細工の置物は、マリモの生育には直接関係ありませんが、水槽のインテリアとして楽しむためのものです。麦飯石は、水質浄化やミネラル供給の効果が期待できるとされていますが、その効果については断定的な記述はありません。 これらの用具は、すべて著者の飼育環境に基づいて紹介されているため、読者は自身の飼育環境に合わせて、適切な用具を選択する必要があります。100円ショップで入手できるものも多く、コストを抑えた飼育も可能であることが示唆されています。

4. 保冷材とクーラーバッグの活用

著者の独自の水温管理方法において、保冷材は重要な役割を果たしています。凍らせても硬くならないタイプの保冷材が推奨されており、水槽のガラス面に密着させることで冷却効果を高めます。必要な保冷材の量は水槽の大きさや天候によって変化しますが、著者は1kgのものを複数使用しています。 さらに、発泡スチロール製のクーラーバッグも、大型水槽の代替として使用可能です。クーラーバッグは保温能力が高いため、夜間の温度管理にも役立ちます。 これらの保冷材やクーラーバッグは、水温管理において重要な役割を果たしますが、適切なサイズや種類を選ぶことが重要です。本書では、著者の経験に基づいた具体的な使用方法や、注意点について詳細に解説されており、読者はこれらを参考に、自身の飼育環境に適した保冷材やクーラーバッグを選択することができます。

文書参照

  • マリモ…その愛…
  • マリモの会