
MBO推奨:公開買付け応募へ
文書情報
著者 | 高添俊幸 |
会社 | 株式会社〇〇(コード番号 9448 東証第一部) |
場所 | 東京都港区赤坂(公開買付者所在地) |
文書タイプ | プレスリリース |
言語 | Japanese |
フォーマット | |
サイズ | 483.57 KB |
概要
I.公開買付けの概要とMBKパートナーズの役割
本資料は、MBKパートナーズによるマネジメント・バイアウト(MBO)を目的とした公開買付けに関するものです。MBKパートナーズは東アジア地域をリードする独立系プライベート・エクイティ・ファームであり、約37億米ドルの運用金額を有します。通信/メディア、金融サービス等幅広い分野に投資を行い、企業価値の最大化を支援しています。このMBOを通じて、対象企業を非上場化し、中長期的な企業価値向上を目指します。
1. MBKパートナーズの概要と投資戦略
MBKパートナーズは、平成17年3月に日本、韓国、中国の3カ国におけるプライベート・エクイティ投資市場の急速な発展を見据えて設立された、東アジア地域に特化した独立系プライベート・エクイティ・ファームです。 約37億米ドルの運用金額を有し、通信/メディア、金融サービス、ビジネスサービス、消費財、運輸、一般製造業といった幅広い分野に、大企業から中堅企業までを対象に投資を行っています。同社は、投資先の企業価値最大化のため、積極的な経営支援を展開している点が特徴です。 本公開買付けは、まさにこのMBKパートナーズの投資戦略の一環として実施されるものであり、対象企業の中長期的な成長と企業価値向上を目的としています。 この公開買付けを通じて、MBKパートナーズは対象企業の株式を保有し、経営に深く関与することで、その専門知識と経験を活かした企業再生や成長戦略を実行していくことが期待されます。 したがって、MBKパートナーズのこれまでの投資実績や経営支援能力は、本公開買付けの成功に大きく影響を与える重要な要素と言えるでしょう。 本公開買付けは、単なる資金提供にとどまらず、MBKパートナーズによる戦略的な経営参画と、その専門性に基づいた企業価値向上への取り組みを明確に示したものです。
2. 本公開買付けの目的と手法
本公開買付けは、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法を用いて行われます。これは、経営陣自身や関係者が中心となって企業買収を行う手法であり、経営の安定性と継続性を確保することに重点が置かれています。 本公開買付け後も、高添氏と松吉氏は、それぞれ代表取締役社長と取締役として、企業の経営に継続的に携わることで、企業の戦略や運営における一貫性と安定性を維持することを目指しています。 さらに、公開買付者であるMBKパートナーズだけでなく、高添氏と松吉氏自身も公開買付者に出資する、もしくは公開買付者株式を譲り受けることを予定しており、経営陣のコミットメントの強さを示しています。 このMBOは、短期的な業績の変動に左右されず、中長期的な視点に立った経営戦略を実行していくための基盤を構築することを意図しています。 既存株主のリスクを軽減しつつ、より少数の株主に経営権を集中させることで、迅速かつ効率的な意思決定を可能にする体制を構築し、中長期的な企業価値の最大化を目指している点が、本公開買付けの大きな特徴です。
3. 高添氏 松吉氏 及びその他の取締役の役割
高添氏と松吉氏は、本公開買付け後も継続して企業の経営に携わることで合意しており、公開買付者と緊密に連携して、企業の成長戦略を実行していくことが期待されます。 彼らは、公開買付者への出資や公開買付者株式の譲り受けを予定しており、経営陣としてMBOの成功に責任を負う立場にあります。 一方、松﨑正次氏と齋藤哲男氏ら他の取締役は、本公開買付け後の経営関与に関して公開買付者と合意しておらず、彼らが公開買付けに賛同に至った意思決定プロセスは、本公開買付けの公正性評価において重要な検討事項となります。 高添氏と松吉氏の経営継続は、企業のノウハウと経験の維持、および円滑な経営移行を確保する上で不可欠であり、本M&Aにおける彼らの役割は、公開買付けの成功に大きく寄与すると考えられます。 これらの取締役の役割と立場を明確にすることで、公開買付けにおける利益相反問題の発生リスクを軽減し、透明性と公正性を確保する必要があります。
II.対象企業の現状と公開買付けの背景
対象企業は、第一種電気通信事業者として設立され、企業向け通信料金統合サービスを中核事業として成長してきました。しかし、近年は通信業界の競争激化、料金低廉化、スマートフォン市場の拡大などにより、売上・利益への下落圧力が強まっています。この厳しい経営環境を克服し、中長期的な成長と企業価値向上を実現するため、MBOによる経営基盤再構築が決定されました。
1. 対象企業の事業概要とこれまでの成長
対象企業は、平成4年12月に第一種電気通信事業者への加入申込受付代行業務を目的として設立されました。設立以来、大資本系企業が市場を支配する通信業界において、顧客の個別ニーズに柔軟に対応するきめ細かいサービス提供を強みとし、独立系情報通信ソリューションパートナーとしての地位を確立してきました。 具体的には、企業向け通信料金統合サービスを中心としたコア事業の拡大に注力し、数々の会社買収や営業譲受を通してM&Aを積極的に展開。その結果、平成14年には日本証券業協会に店頭登録、平成15年には東京証券取引所市場第二部、さらに平成16年には市場第一部に上場を果たすなど、順調な事業拡大と経営基盤強化を実現してきました。 この成長過程において、対象企業は通信業界の規制緩和後も、大企業では対応できないきめ細やかなサービス提供によって独自のニッチ市場を開拓し、着実に事業規模を拡大してきたことがわかります。 しかしながら、この成功の裏には、数々のM&Aによるリスク管理と、市場の変化に迅速に対応する柔軟な経営判断が不可欠であったと言えるでしょう。 今後の更なる成長に向けた課題も同時に抱えている状況が伺えます。
2. 厳しい経営環境と経営基盤再構築の必要性
近年、対象企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。国際的な金融危機からの回復基調が見られる一方で、為替相場の変動や雇用環境の悪化など、不確実な要素は依然として存在します。 特に通信業界では、スマートフォンの普及や固定・移動通信サービスの融合など、急速な技術革新と市場変化が進行しており、企業間の顧客獲得競争は激化の一途を辿っています。 このような状況下では、従来の企業努力だけでは中長期的な企業価値向上は困難であると判断されました。 具体的には、通信料金の低廉化、顧客獲得競争の激化、そして固定電話市場における移動通信との融合への対応などが、対象企業の売上・利益に大きな下落圧力を及ぼしています。 そのため、対象企業は、経営基盤と財務基盤の再構築を目的とした、通信事業への経営資源集約、不採算顧客への対応強化、顧客ニーズに合わせた通信プランのコンサルティング、組織のスリム化、コスト削減などの施策を講じてきました。しかしながら、これらの施策だけでは、急速な市場変化への対応が不十分であり、更なる対策が必要とされています。
3. マネジメント バイアウト MBO による解決策
上記のような厳しい経営環境と、これまでの経営努力だけでは不十分であるという現状認識を踏まえ、公開買付者との協議の結果、マネジメント・バイアウト(MBO)による公開買付けが、対象企業にとって最善の選択肢であるという結論に至りました。 MBOは、経営陣自身が中心となって企業買収を行う手法であり、短期的な業績の変動に左右されずに中長期的な視点で経営戦略を実行できる体制を構築するのに適しています。 本公開買付けによって、企業の株主をリスクを受容できる少数の者に絞り込み、統一的な経営方針を貫徹できる体制を構築することで、中長期的な成長と持続的な企業価値向上を目指します。 具体的には、経営支援経験が豊富な第三者と協働しながら、経営陣と従業員が一丸となって、新たなビジネスモデルの構築やM&Aなど、経営基盤を強化するための施策を積極的に推進していく予定です。 このMBOによる非上場化は、株主の短期的な利益志向からの圧力を軽減し、中長期的な成長戦略に集中できる環境を創出することが期待されています。
III.公開買付価格の決定と公正性の確保
公開買付価格は1,500円に決定されました。この価格は、ドイツ証券による株式価値算定(市場株価法、DCF法、類似公開会社比較法を用いた評価、1,089円~1,829円)、フェアネス・オピニオン、第三者委員会の答申などを踏まえ、株主にとって妥当な価格であると判断されました。公開買付期間の設定や、対抗的買収提案者の参加機会の確保などにより、公開買付けの公正性が確保されています。
1. 公開買付価格の決定プロセス
公開買付価格の決定においては、公開買付者の要請に基づき対象企業から提供された財務・事業に関する情報を基に、多角的な分析が行われました。 公開買付者は、対象企業の株式が取引所を通じて売買されている点を考慮し、対象企業による公開買付けへの賛同の可否や見通しを勘案しました。 過去6ヶ月間の株価推移や、類似の公開買付けにおけるプレミアムの付与事例も参考にされ、対象企業プロジェクトチームとの間で何度も協議・交渉が行われた結果、公開買付価格が1,500円に決定されました。 重要な点は、公開買付者は、価格決定にあたり第三者機関の算定書は取得していないことです。この点は、価格決定の根拠と妥当性を評価する上で重要な要素となります。 公開買付価格の妥当性については、後述する株式価値算定書やフェアネス・オピニオン、第三者委員会の答申などが参照され、その公正性が検証されています。
2. 株式価値算定とフェアネス オピニオン
公開買付価格の妥当性を評価するため、独立した第三者算定機関であるドイツ証券が、フィナンシャル・アドバイザーとして選任され、対象企業の株式価値算定を行いました。 算定には、市場株価法(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月間の株価終値単純平均に基づき、1,089円~1,128円)、DCF法(将来キャッシュフローに基づき、1,183円~1,829円)、類似公開会社比較法(類似企業の財務指標に基づき、765円~1,364円)の3つの手法が用いられました。 これらの算定結果に加え、ドイツ証券は、一定の前提条件に基づくフェアネス・オピニオンも発行しました。このオピニオンは、株主の行動を推奨するものではなく、取締役会による公開買付価格の評価のための参考資料として提供されています。 ドイツ証券による株式価値算定は、対象企業から提供された情報に基づいており、同社の資産や負債の実査は行われていません。 また、フェアネス・オピニオンは、特定の条件を前提としたものであり、その前提条件や免責事項を十分に理解する必要があります。
3. 第三者委員会による検討と公正性の担保
公開買付けの公正性を確保するため、公開買付者と対象企業から独立した社外監査役2名と外部有識者1名からなる第三者委員会が設置されました。 第三者委員会は、公開買付けの目的の正当性、交渉過程の手続きの公正性、株主への対価の妥当性について、計4回の会合で検討を行いました。 検討にあたっては、プロジェクトチーム、ドイツ証券、TMI総合法律事務所からの説明を受け、質疑応答や高添氏・松吉氏への直接ヒアリングを実施しました。 そして、第三者委員会は、公開買付けの目的は正当であり、交渉過程は公正であり、株主への対価は妥当であるという結論に至り、その答申書を提出しました。 この第三者委員会の答申は、公開買付価格の妥当性と公開買付け手続きの公正性を担保する上で重要な役割を果たしており、取締役会の意思決定に大きな影響を与えています。 さらに、比較的長期の公開買付期間の設定や、対抗的な買付け等の機会を確保することで、公開買付けの公正性の確保に配慮していることも明記されています。
IV.取締役会の決議と今後の展望
対象企業の取締役会は、利害関係のない取締役の全員一致で、公開買付けに賛同し、株主への応募推奨を決定しました。代表取締役社長と常務取締役は、特別利害関係者として審議には参加していません。MBO後の組織再編により、経営資源の再配分と組織体系の再構築を行い、中長期的な企業価値向上を目指します。本M&Aは、短期的な業績変動に左右されない統一的な経営方針の下、経営支援経験豊富な第三者と協力して実行されます。
1. 取締役会の決議と公開買付けへの賛同
取締役会は、ドイツ証券による株式価値算定書とフェアネス・オピニオン、TMI総合法律事務所からの法的助言、そして第三者委員会の答申書といった関連資料を総合的に検討しました。 これらの資料に基づき、取締役会は、公開買付者から提案された中長期的な企業価値向上に向けた経営施策を実行することが、企業の中長期的な成長と持続的な企業価値向上に繋がる最善の選択肢であると判断しました。 その結果、高添氏と松吉氏を除く取締役2名全員一致で、公開買付けに賛同し、株主に対して公開買付けへの応募を推奨する決議を行いました。 高添氏と松吉氏は、公開買付者と継続して経営に携わることで合意しており、構造的な利益相反関係にあることから、取締役会における審議や決議には一切参加していません。 この取締役会の決議は、公開買付価格の妥当性と公開買付け手続きの公正性を裏付ける重要な要素であり、公開買付けの成功に大きく貢献するでしょう。
2. プロジェクトチームによる検討と協議
公開買付けに関する取締役会の公正な実施と意思決定過程における恣意性の排除を目的として、プロジェクトチームが設置されました。 このチームは、公開買付者及び対象企業から独立した取締役である松﨑正次氏と齋藤哲男氏を中心に構成され、対象企業事業戦略本部長を事務局として活動しました。 プロジェクトチームは、公開買付者と何度も協議と交渉を行い、公開買付条件の妥当性と手続きの公正性について慎重に検討を重ねました。 この検討には、ドイツ証券とTMI総合法律事務所といった独立したアドバイザーからの助言が活用され、企業価値の向上という観点から客観的な評価がなされています。 第三者委員会からの答申も参考にされ、プロジェクトチームは、公開買付けが株主にとって合理的な株式売却の機会を提供し、中長期的な企業価値向上に繋がる最善の選択肢であると結論付け、取締役会への提案を行いました。
3. MBO後の組織再編と今後の展望
今回のマネジメント・バイアウト(MBO)は、対象企業の企業価値を中長期的に向上させるための重要なステップです。 MBO完了後、経営資源の再配分と組織体系の再構築が行われ、より効率的かつ迅速な経営判断を可能にする体制が構築される予定です。 これにより、新規事業への投資や既存事業の強化、更なるM&Aといった、中長期的な成長戦略を積極的に実行することが期待できます。 公開買付者としては、中長期的な企業価値向上に向けた経営施策の実行には、コストと時間が必要であり、短期的な業績悪化の可能性も考慮されています。 しかし、統一的な経営方針の下、経営支援経験が豊富な第三者と協働することで、短期的な業績変動に左右されることなく、持続的な企業価値向上を実現できると見込まれています。 そのため、本MBOは、対象企業の将来的な競争力強化と持続的な成長に向けた、重要な転換点となるでしょう。