2005年3月期  第3四半期業績説明資料

2005年連結業績予想と経営戦略

文書情報

会社

インペックス(資料からは社名不明だが、内容から推測)

文書タイプ 業績説明資料
言語 Japanese
フォーマット | PDF
サイズ 546.85 KB

概要

I.年度連結決算と2005年度業績予想

2004年度は、ジャパン石油開発(ADMA鉱区)の新規連結やインペックス南西カスピ海石油(ACG油田)の販売量増加、ナトゥナ石油サウル石油の生産開始等により、原油売上高が前期比230.2%増加。天然ガス売上高も増加したものの、2005年度は油価低迷と円高を想定し、減収減益の見込み。油価1ドル上昇で約22億円、為替1円円安で約8億円の純利益増加効果が見込まれる。主要財務指標として、ROEROACE純有利子負債/使用総資本などが示された。

1. 2004年度連結決算 原油 天然ガス売上高の増収要因分析

2004年度の連結決算においては、原油売上高と天然ガス売上高の顕著な増加が確認されました。原油売上高は、前年比230.2%もの大幅な増収となりました。この要因としては、ジャパン石油開発(ADMA鉱区)の新規連結による貢献、インペックス南西カスピ海石油(ACG油田)における販売量の増加、そしてサウル石油(バユ・ウンダンガスコンデンセート田)とナトゥナ石油(ベラナック油ガス田)の生産開始が挙げられます。平均販売単価も前年比37.5%の大幅な上昇を示し、売上高増加に大きく寄与しました。一方、平均為替レートは5.1%の円高でしたが、販売量と平均単価の上昇の影響の方が大きかったため、売上高に与える影響は限定的でした。天然ガス売上高についても、ナトゥナ石油(南ナトゥナ海B鉱区)での生産量増加などにより、前年比1.7%の増加となりました。平均単価は油価高騰の影響を受け、前年比26.6%の大幅な上昇を示しました。為替レートの影響は、平均単価の上昇に比べて小さいものでした。

2. 2004年度連結決算 その他の財務指標と損益

2004年度連結決算におけるその他の重要な財務指標としては、営業外収益の減少(前年比-69.4%)、法人税等及び法人税等調整額の大幅増加(前年比202.7%)、少数株主損失の発生(43.4%)などが挙げられます。また、生産物回収勘定引当金繰入額の減少(前年比-94.8%)や連結調整勘定償却額の変動も確認できます。キャッシュフローについても、税金等調整前当期純利益、減価償却費、生産物回収勘定(資本支出・非資本支出)の増減など、詳細な数値が提示されています。これらの数値から、2004年度の事業活動における収益構造、費用構造、そして資金の流れを総合的に把握することができます。主要財務指標であるROE(自己資本利益率)やROACE(平均資本利益率)の数値も示されており、企業の収益性と効率性を評価する上で重要な情報となっています。純有利子負債/使用総資本(ネット)や自己資本比率といった指標も合わせて分析することで、企業の財務状況をより深く理解することができます。

3. 2005年度業績予想 減収減益予想とその要因

2005年度の業績予想は、減収減益となる見込みです。その主な要因は、通期の油価見通しを当期よりも低く設定していること、為替レートを円高と想定していること、そしてジャパン石油開発(ADMA鉱区)における財務条件の見直しに伴う法人税の増加が挙げられます。これらは、今後の事業展開において、油価と為替レートの変動リスク、そして税制上の変化といった不確実性要素を考慮する必要があることを示しています。しかし、油価と為替レートの変動が業績に与える影響については、試算結果が提示されています。具体的には、原油価格(Brent)が1ドル上昇(下落)した場合、当期純利益は22億円増加(減少)し、為替レートが1円円安(円高)になった場合は8億円増加(減少)すると試算されています。これらの試算結果は、今後の事業計画策定やリスク管理において重要な指針となるでしょう。

II.事業戦略と主要プロジェクト

インペックスは、戦略的かつ効率的な石油・天然ガス探鉱開発事業を展開。カスピ海沿岸(ACG油田、カシャガン油田)、インドネシア(マハカム沖鉱区、アバディガス田)、オーストラリア(イクシスガスコンデンセート田)、イラン(アザデガン油田)など、世界各地で大型プロジェクトを推進。LNG、パイプラインによるガス搬出やGTL等の新技術にも取り組む。埋蔵量維持・拡大に向け、積極的な探鉱・買収を行う方針。2004年末の確認埋蔵量は、原油・コンデンセート・LPGと天然ガスで構成され、地域別では、アジア/オセアニアカスピ海沿岸中東に分散している。リザーブ・リプレースメント・レシオ(RRR)は104%(2002-2004年平均)。

1. 基本的事業戦略と地域ポートフォリオ

インペックスの基本的事業戦略は、戦略的かつ効率的な石油・天然ガスの探鉱開発事業の積極的な展開です。これは、バランスのとれた地域戦略、すなわちバランスのとれたポートフォリオの形成を基盤としています。具体的には、探鉱・開発・生産のステージ別バランス、原油・天然ガスの製品別バランス、PS契約・コンセッション契約等の契約別バランス、そしてオペレーター/ノンオペレーターのバランスを考慮したポートフォリオ構築が目指されています。天然ガス事業の多角化も重要な戦略の一つであり、LNG、パイプラインによる生ガス搬出、産ガス国内市場への供給、GTL等の新技術導入など、多様な事業展開が計画されています。地域的には、インドネシア、オーストラリア、カスピ海沿岸、中東、その他(アフリカ、南米、ロシアなど)といった広範な地域に事業展開を進めており、グローバルな事業ポートフォリオの構築が目指されています。

2. 主要プロジェクト カスピ海沿岸の大型油田開発

カスピ海沿岸では、ACG(Azeri-Chirag-Gunashili)油田とカシャガン油田という二つの大型油田開発プロジェクトが推進されています。ACG油田では、2005年2月にフェーズ1(アゼリ油田中央部)の生産が開始され、フェーズ2(アゼリ油田西部及び東部)は2006年第1四半期と第4四半期からの生産開始を予定しています。さらに、フェーズ3(グナシリ油田深海部及びチラグ油田西部)は2008年第1四半期の生産開始を目指しています。カシャガン油田は、カザフスタン領カスピ海における最初の発見であり、世界有数の巨大油田です。カラムカス、アクトテ、南西カシャガン、カイランの4構造でも炭化水素が確認されており、2009年までに日量100万バレルを超える生産を目指しています。BTCパイプラインは2005年中に稼働開始予定で、これらの油田開発を支える重要なインフラとなります。

3. 主要プロジェクト オペレータープロジェクトと将来展望

インペックスは、オーストラリアのイクシス・ガスコンデンセート田、インドネシアのアバディ・ガス田、イランのアザデガン油田といったオペレータープロジェクトにも注力しています。オーストラリアのイクシスプロジェクトでは、LNG・GTL等の開発コンセプトの検討とガスマーケティングに積極的に取り組んでおり、2010年代初頭の生産開始を目指しています。これは、ACG・カシャガンに次ぐ大型プロジェクトとして期待されています。インドネシアのアバディ・ガス田では、2005年から2006年にかけて評価井を掘削し、埋蔵量評価後に開発コンセプトとマーケティングを実施する計画です。イランのアザデガン油田については、具体的な開発計画の詳細な記述は本文にはありません。これらのプロジェクトは、インペックスの今後の成長を牽引する重要な役割を担うと期待されています。 確認埋蔵量の推移やリザーブ・リプレースメント・レシオ(RRR)といった指標も示されており、資源確保の状況を把握することができます。2004年度末の確認埋蔵量は、原油・コンデンセート・LPGと天然ガスで構成され、アジア/オセアニア、中東、カスピ海沿岸/その他といった地域に分散しています。

III.年度計画と中長期課題

2005年度は、既存プロフィットセンターであるインドネシア・マハカム沖鉱区での生産維持・増強、ACG油田カシャガン油田開発促進、オペレータープロジェクトを着実に推進する計画。具体的には、ボンタンLNG基地の安定供給に向けたガス田開発、ACG油田の生産拡大、アゼリ油田西部の生産開始などを予定。中長期課題として、カスピ海の大型油田プロジェクトの進捗管理、有望な探鉱鉱区の取得、優良資産の買収による埋蔵量拡大などが挙げられている。 インペックスグループの生産量は、2004年から2009年にかけて年平均7.5%の成長が見込まれる。

1. 2005年度計画 既存事業の維持 増強と新規事業の推進

2005年度の計画は、既存プロフィットセンターの生産維持・増強と新規事業の推進という二本柱で構成されています。既存事業としては、インドネシア・マハカム沖鉱区における天然ガス生産量の維持・増強が挙げられ、ボンタンLNG基地へのLNG安定供給に向けた継続的なガス田開発(トゥヌ、ペチコ、タンボラガス田の開発、シシ・ヌビガス田のフェーズ1開発)が計画されています。LNG出荷量は現状維持を目指します。一方、新規事業の推進としては、カスピ海沿岸のACG油田とカシャガン油田の開発促進が中心となります。ACG油田では、2005年2月にフェーズ1(アゼリ油田中央部)の生産が開始され、フェーズ2(アゼリ油田西部及び東部)は2006年第1四半期と第4四半期からの生産開始を予定しています。また、BTCパイプラインの完成・出荷開始により、ACG油田の原油生産を順次拡大する計画です。さらに、イラン・アザデガン、オーストラリア・イクシス、インドネシア・アバディといったオペレータープロジェクトを着実に推進していく計画も示されています。

2. 中長期的な課題 大型プロジェクトと資源確保への取り組み

中長期的な課題としては、カスピ海の大型油田プロジェクト(ACG油田とカシャガン油田)の開発促進が挙げられます。特にカシャガン油田は、カザフスタン領カスピ海における最初の発見であり、世界有数の巨大油田として注目されています。カラムカス、アクトテ、南西カシャガン、カイランの4構造でも炭化水素が確認されており、2009年までに日量100万バレルを超える生産を目指しています。 その他、オペレータープロジェクトであるオーストラリア・イクシス・ガスコンデンセート田(LNG・GTL等の開発コンセプト検討中)、インドネシア・アバディ・ガス田(2005年から2006年にかけて評価井掘削予定)、イラン・アザデガン油田の開発も重要な課題です。これらのプロジェクトに加え、有望な探鉱鉱区の取得や優良な油ガス田資産の買収などを通じた保有埋蔵量維持・拡大に向けた積極的な取り組みが、中長期的な成長を支える上で不可欠な要素となります。 INPEXグループの生産量予測では、2004年度から2009年度にかけて年平均7.5%の成長が見込まれています。

IV.連結子会社と持分法適用関連会社

インペックスは、多数の連結子会社と持分法適用関連会社を持つ。2004年度末には連結子会社26社、持分法適用関連会社11社。前期末と比べ、株式取得や株式交換により計4社増加、探鉱関連会社の清算により1社減少。主な子会社には、ナトゥナ石油(100%出資)、インペックス南西カスピ海石油ジャパン石油開発(完全子会社化)、インペックスマセラアラフラ海石油(50%出資)などがある。

1. 連結子会社と持分法適用関連会社の概要と変化

2004年度末時点で、インペックスの連結子会社は26社、持分法適用関連会社は11社でした。これは、前年と比較して、株式取得によりアンゴラ石油等3社とジャパン石油開発の関連会社1社が増加した一方、探鉱関連会社の清算により1社が減少した結果です。 子会社・関連会社は、生産中、開発検討中、開発中といった様々な段階にあり、それぞれの事業ステージに応じた投資比率が示されています。例えば、ナトゥナ石油は生産中で100%出資、インペックスマセラアラフラ海石油は開発検討中で50%出資といった具合です。このリストから、インペックスの事業展開の広がりと、それぞれの事業に対する投資戦略の一端を垣間見ることができます。 地域別の内訳も重要な情報です。インドネシア、オーストラリア、アゼルバイジャン、カザフスタン、アラブ首長国連邦、イランなど、世界各地に子会社・関連会社が存在し、グローバルな事業展開を支える基盤となっています。 特に、ジャパン石油開発の完全子会社化(株式交換による)は、2004年度における重要な出来事の一つとして挙げられています。

2. 主要子会社 関連会社の事業ステージと出資比率

資料には、インペックスの連結子会社および持分法適用関連会社に関する詳細な情報が記載されています。具体的には、各子会社・関連会社の事業ステージ(生産中、開発検討中、開発中など)とインペックスの出資比率が示されています。 例えば、生産中の事業としては、ナトゥナ石油(100%出資)、サウル石油(100%出資)、アザデガン石油開発(51%出資)、ジャパン石油開発(100%出資)などがあり、それぞれの事業においてインペックスが重要な役割を担っていることがわかります。開発検討中の事業には、オーストラリアにおけるインペックス西豪州ブラウズ石油(100%出資)、インペックス南西カスピ海石油などがあり、将来の成長に向けた投資が行われていることがわかります。開発中の事業としては、カザフスタンにおけるインペックス北カスピ海石油(45%出資)やイランにおけるプロジェクトなどがあり、これらの事業が将来の収益に貢献することが期待されています。 これらの情報から、インペックスの事業ポートフォリオの多様性と、それぞれの事業におけるリスクとリターンのバランスを考慮した投資戦略が読み取れます。 各事業の地域的な分散も、リスク軽減という観点から重要な要素となっています。