
貿易管理システム:NACCS電子申請ガイド
文書情報
著者 | 経済産業省 貿易経済協力局 貿易管理部貿易管理課 |
会社 | 経済産業省 |
文書タイプ | 政府資料 |
言語 | Japanese |
フォーマット | |
サイズ | 6.89 MB |
概要
I.日本の輸出入規制とNACCSシステムにおける電子ライセンスの運用
本資料は、日本の輸出入規制、特に水産物(ぶり、さんま、いわし、すけそうだらなど)、ダイヤモンド、血液製剤、医薬品等の品目に関する輸出入手続きと、NACCS(貿易管理サブシステム)を用いた電子ライセンスの運用について解説しています。重点は電子ライセンスの裏書手続き、有効期限、通関業者指定、輸出承認/輸入承認取得における注意点、ワシントン条約規制品目(象牙、ランなど)の取り扱い、そしてシステムエラー発生時の対処法です。特に、電子ライセンスを用いた通関における課題と解決策、少額特例適用時の注意点、FENO、ELNO等の識別コードの適切な使用方法、そしてJTB業務、JTS業務等のNACCSシステム機能の活用方法に焦点を当てています。 輸出貿易管理令、外為令、バーゼル条約、ロッテルダム条約等の関連法規に基づく規制内容についても触れられています。
1. 輸出入規制対象品目とNACCSシステムの概要
このセクションでは、日本の輸出入規制の対象となる様々な品目について説明しています。具体的には、水産物(ぶり、さんま、あじ、いわし、すけそうだら、こんぶ、にしん、海棲哺乳類、魚介類、海草など)、鉱物資源(ダイヤモンド)、医薬品、化学製品、機械類、武器弾薬、血液製剤、飼料、農産物(椎茸の種菌など)、廃棄物などが挙げられています。これらの品目の輸出入には、輸出令、外為令、ワシントン条約、バーゼル条約、ロッテルダム条約など、複数の法令が適用されます。また、NACCS(貿易管理サブシステム)という電子システムを用いた効率的な通関手続きについても言及されており、電子ライセンスの発行、申請、承認、通関申告のプロセスが簡潔に説明されています。 特に、電子ライセンスの許可番号と通関業者のNACCS利用者コードのセット入力による全国どこでも通関申告可能な仕組みが強調されています。 このセクションは、日本の輸出入規制の全体像とNACCSシステムによる効率化の導入を理解する上で重要な役割を果たします。
2. 電子ライセンスの発行と通関業者指定
電子ライセンスの取得は、多くの輸出入手続きにおいて必須となっています。本資料では、電子ライセンスの発行、そして通関業者指定に関する詳細な説明が提供されています。 通関業者指定は、電子ライセンスの有効期間内でのみ可能であり、有効開始日が休日の場合は前日には指定できないという制約についても言及されています。システム改善の提案として、有効開始日が休日であっても事前に通関業者指定が可能となるよう改善することが提案されています。さらに、電子ライセンス情報照会(JTSコード)を用いたPDFファイル取得についても説明されており、これは書面ライセンスのイメージで取得できることを強調しています。平成30年3月リリースの新機能として申請者情報の英文表示機能が追加されたことも記されています。これは、税関申告での英語表記と電子ライセンス上の日本語表記の不一致による同一性判別困難さを解消するための改善です。このセクションは、電子ライセンスの取得から通関業者との連携、そしてシステム機能の活用方法を理解する上で重要です。
3. NACCSシステムにおける申請手続きと機能
このセクションでは、NACCSシステムを利用した様々な申請手続きと、関連する機能について詳しく解説しています。 具体的には、JAB(補正申請)、JAP(進捗状況照会)、JAG(申請済み申請書取得)、JCA(通関業者指定)、JAC(取下申請)、JAD(再発行申請)、JAM(必要添付書類等照会)、JAF(添付書類等追加申請)、JTU(裏書情報照会)といった様々な業務コードと、それぞれの機能が説明されています。 これらの機能を活用することで、申請手続きの効率化、進捗状況の把握、必要な情報の取得などが容易になります。また、10MB以内のデータ送信制限や、NACCSシステム障害時のデータ保存についても重要な注意点として挙げられています。 申請者にとって、これらの機能の使い分けと、適切な手続きの理解は、円滑な輸出入業務遂行に不可欠です。
4. 電子ライセンスにおける裏書処理とエラー対応
電子ライセンスの運用において、裏書処理は重要なステップです。このセクションでは、裏書手続き、特に裏書忘れやシステムエラー発生時の対処法について詳細に説明しています。 裏書忘れによる「確定エラー」状態での対応策として、JTB業務による裏書、JTS業務によるPDF出力と税関への持参、税関確認印の取得、そして経産省システム管理係による確定処理といった具体的な手順が示されています。 また、電子ライセンスの有効期限切れ、経済産業省での処理中といった状況下での裏書に関する注意点、そして少額特例適用時の包括ライセンス誤使用に関するエラーとその解決策(EEA/EEC業務による裏書取消)も示されています。 さらに、輸入許可に関する裏書の訂正処理についても、通常の裏書事後訂正の手順で対応可能であることが説明されています。 これらの内容は、電子ライセンス運用における様々な問題と、それに対する効果的な解決策を提示する上で非常に重要です。
II.電子ライセンスの裏書手続きと注意点
電子ライセンスの裏書は輸出入手続きにおいて必須です。税関許可を得た後に行う必要があるため、通関前に裏書を完了しておくことが重要です。システム上のエラー(確定エラー)や、有効期限切れによる裏書不能を防ぐための対策、経産省への補正申請、再発行申請についても解説しています。特に、裏書忘れや税関許可年月日の未記載といった問題とその解決策、JTB業務やJTS業務を用いた事後対応について詳細に説明されています。 通関業者と荷主間の連携の重要性も強調されています。
1. 電子ライセンスの裏書手続き 基本手順と注意点
このセクションでは、電子ライセンスの必須手続きである裏書処理について解説しています。 税関許可後の手続きであるため、通関前に完了しておくことが重要であり、その手順、注意点が詳細に説明されています。 特に、裏書忘れによる問題と、その事後対応について重点的に解説されています。 裏書忘れの場合、JTB業務で裏書を行い、JTS業務でプリントアウトしたPDFを税関に提出し、税関の確認印を得る必要があります。その後、経産省システム管理係が確定処理を行うことで、手続きが完了します。 システム上、税関許可後に裏書処理ができないようにロックがかかりますが、裏書がない場合は「確定エラー」となりロックがかからないため、誤って裏書できてしまう可能性があり、その場合でも税関未確認のため事後訂正が必要になる点も注意が必要です。 荷主と通関業者間の連携の重要性も強調されており、ミス発生時の迅速な対応の必要性が指摘されています。また、マニフェスト通関のような簡易な手続きでは裏書が不要なケースもあることが例示されています。
2. 裏書処理におけるシステムエラーと対処法
電子ライセンスの裏書処理において発生する可能性のあるシステムエラーとその対処法について解説されています。 具体的には、本申告後に裏書をしようとした際に、区分1で即時許可が下りてしまい、JTB業務で裏書ができてしまったケースが示されています。 このケースでは、税関許可年月日・記名押印欄が空白になるため、事後訂正が必要になります。 また、荷主と通関業者間の連絡ミスにより、電子ライセンスを使用せずに一般輸出として通関処理が行われ、後日裏書が必要となるケースも説明されています。さらに、電子ライセンスの内容確認時にライセンス上の単価に誤りがあった場合の対応として、経産省への訂正申請が必要となる可能性が示されています。しかし、申請が受付無効となるケースもあるため、細心の注意が必要であることが強調されています。これらのケーススタディを通じて、システムエラー発生時の迅速かつ適切な対応の重要性が示されています。特に、荷主と通関業者間の情報共有と連携の重要性が繰り返し強調されています。
3. 包括ライセンスと少額特例に関する注意点
このセクションでは、電子包括ライセンスと少額特例に関する注意点が説明されています。 繰り返し輸出申告を行う際に、少額特例に該当する出荷でも誤って包括ライセンスを使用してしまったケースが例示されています。 この場合、当局からの指導に基づき、当該申告で使用した包括ライセンスを削除する必要があることが説明されており、EEA/EEC業務(輸出取り止め再輸入)を利用することで、税関許可と同時にJTC業務(裏書取消)が可能となり、経産省への連絡なしで裏書を削除できることが示されています。 輸出取り止め再輸入の許可が下りることで申告が撤回中の状態となり、JTB業務ではなくJTC業務のみが使用可能となる点が解説されています。これは、少額特例において包括ライセンスの誤用を避け、適切な手続きを行うことの重要性を示す重要なポイントです。
4. 裏書処理におけるその他の問題と解決策
このセクションでは、電子ライセンスの裏書処理において発生する可能性のあるその他の問題と、それらに対する解決策が示されています。具体的には、輸入許可における裏書の訂正処理について説明されています。 BP承認(許可前引取承認)とIBP許可(輸入許可)で申告データが2件のレコードとなるため、裏書も2行になるケースがあり、いずれか一方を訂正すればよいことが示されています。 また、裏書を忘れて税関許可を得た場合、システム上のステータスは「未確定」状態となるため、例えば水産物ILの有効期限延長申請などができないといった問題点も挙げられています。 さらに、輸出申告時に「識別コード」欄に紙のライセンスを示す「FENO」を入力した場合、システムがライセンスを紙と判断し、JTB裏書業務ができなくなるという問題と、その解決策(JTS業務でのプリントアウトと税関での確認印取得)も示されています。 これらのケースは、電子ライセンスの裏書処理における様々な状況と、その対応策を理解する上で重要な情報を提供しています。
III.ワシントン条約規制貨物の輸出入手続き
ワシントン条約(CITES)に基づく規制対象品目(象牙、ランなど)の輸出入には、CITES許可書の取得と経済産業大臣による輸出承認/輸入承認が求められます。 本資料では、ワシントン条約違反事例と、それらを回避するための適切な手続き、輸出者と輸入者双方の責任について解説しています。 特に、CITES許可書の有効期限管理の重要性と、事前の確認事項が強調されています。
1. ワシントン条約規制貨物の輸出規制
このセクションでは、ワシントン条約(CITES)で規制されている貨物の輸出に関する手続きと規制について説明しています。 ワシントン条約規制対象貨物の輸出には、日本国管理当局からのCITES許可書の発行と、経済産業大臣による輸出承認が必要となる場合があります。 附属書の区分によって手続きが異なり、附属書Ⅰ掲載種については、商業目的の国際取引は原則禁止されています。例外的に、学術研究目的、共同保護計画に基づくもの、繁殖施設で人工繁殖されたもの、条約適用前に取得したもの、サーカスなどの移動展示の場合に取引が認められるとされています。 象牙は国際的に問題視されているため、違法な国内取引防止のための管理制度が創設されていることも言及されています。 このセクションでは、ワシントン条約の規制内容と輸出手続きの複雑さを理解する上で重要な情報が提示されています。特に、CITES許可書の取得と輸出承認の必要性が強調されています。
2. ワシントン条約規制貨物の輸入規制と違反事例
ワシントン条約規制貨物の輸入手続きについても解説されており、輸出国管理当局からのCITES許可書の発行に加え、輸入承認、事前確認、通関時確認などの手続きが必要であることが説明されています。 同じ種でも原産国によって手続きが異なる可能性があるため、注意が必要です。 具体的な違反事例として、海外展示会で購入したランの輸入において、輸出者のCITES許可書の有効期限切れに気付かず輸入通関を行ってしまったケースが挙げられています。 この事例から、事前に輸出者からCITES許可書の写しを入手し、有効期限内に輸入を行うことの重要性が強調されています。 また、ピアノの輸出を試みた際に、白鍵部分に使用されていた象牙がワシントン条約附属書Ⅰ掲載種であったため輸入通関できなかった事例も紹介されています。これらの事例は、ワシントン条約違反を回避するための適切な手続きの重要性を理解する上で役立ちます。特に、CITES許可書の有効期限管理と、輸出者との情報共有の重要性が強調されています。
IV.NACCSシステムの機能と操作方法
NACCSシステムにおける各種機能(JTB業務、JTS業務、EDA01、EDEなど)の使用方法と、電子ライセンス情報照会、申請書ファイルのダウンロード、通関業者指定、補正申請、申請取り下げなどの具体的な操作手順が記述されています。 また、システム障害時のデータ保存についても触れられています。 電子ライセンス番号、事業所コード、申告番号といった重要な情報項目とその入力方法についても解説されています。
1. NACCSシステムの概要と電子ライセンスの通関手続き
このセクションでは、NACCS(貿易管理サブシステム)の仕組みと、電子ライセンスを用いた通関手続きについて説明しています。 電子ライセンスの許可/承認が下りると、通関業者指定を行い、全国の税関で通関申告が可能になります。システムは電子ライセンスの内容と申告内容を自動的に突合し、貨物、仕向地、数量、金額、有効期限などに齟齬があればエラーとなります。 添付書類は1回につき10MB以内の制限があり、処理結果として受け付けた整理番号が取得されます。 このセクションでは、NACCSシステムの基本的な機能と、電子ライセンスを利用したスムーズな通関手続きを実現するための手順が解説されています。特に、電子ライセンスと通関業者との連携が強調されており、迅速かつ正確な通関処理を行うための基盤としてのNACCSシステムの役割が示されています。
2. NACCSシステムにおける申請関連機能
このセクションでは、NACCSシステム上で利用可能な様々な申請関連機能について説明しています。 具体的には、JAB(補正申請)、JAP(進捗状況照会)、JAG(申請済み申請書取得)、JCA(通関業者指定)、JAC(取下申請)、JAD(再発行申請)、JAM(必要添付書類等照会)、JAF(添付書類等追加申請)、JTU(裏書情報照会)といった機能が挙げられています。 各機能の用途、使用方法が簡潔に説明されており、審査担当者からの補正依頼への対応、申請進捗の確認、申請書の取得・修正、通関業者の指定、申請の取り下げ、許可証の再発行、必要書類の照会、追加書類の提出、裏書情報の確認など、輸出入手続きにおける様々な状況に対応できる機能が提供されていることがわかります。これらの機能を効果的に活用することで、申請手続きの効率化、情報収集、問題解決をスムーズに行うことができます。
3. 電子ライセンス情報照会とシステム改善点
このセクションでは、JTSコード(外為法電子ライセンス情報照会)を用いた電子ライセンス情報照会機能について説明しています。 この機能を使用することで、照会した電子ライセンスの許可承認証等をPDFファイルとして取得できることが示されています。 また、平成30年3月リリースの新機能として、JTS業務で出力する電子ライセンスのPDFに申請者情報の英文を併記する機能が追加されたことが紹介されています。これは、税関申告における社名(英語表記)と電子ライセンス上の輸出入者名(日本語表記)の不一致による同一性判別困難さを解消するための改善策です。 さらに、包括ライセンスにおける通関業者指定の制限とその改善点についても触れられています。 これらの内容は、NACCSシステムの機能拡張と改善努力を示しており、利用者の利便性向上を目指した取り組みが継続されていることがわかります。
4. 輸入手続きにおけるNACCSシステムの機能
このセクションでは、NACCSシステムにおける輸入手続きに関する機能と、特に輸入時の送状金額のデフォルト値廃止といった改善点について説明されています。 輸入承認証の添付識別に関する入力ルールや、送状金額と通関金額の修正方法などが示されています。 具体的には、申告事項の申告等種別が「H:輸入(引取)申告」または「N:特例委託輸入(引取)申告」の場合、品目コードが6桁で入力されていると輸入承認証添付識別が入力不可になるというルールが説明されています。 また、平成30年3月リリースの新機能として、輸入の裏書業務における送状金額のデフォルト値(申告事項登録時に入力されたインボイス金額)を廃止する改善が紹介されています。 これらの改善は、輸入手続きにおけるデータ入力の正確性と効率性を高めることを目的としています。