高齢者と障害者のための知的福祉システムの開発に 関する研究

高齢者障害者向け知的福祉システム開発

文書情報

著者

梶原 祐輔

学校

金沢大学大学院自然科学研究科

専攻 電子情報科学専攻 知能情報・数理 講座
文書タイプ 博士論文
言語 Japanese
フォーマット | PDF
サイズ 9.29 MB

概要

I.高齢者 障害者向け意思伝達支援システムの開発

本研究は、高齢者や障害者のための安価でプライバシーに配慮した意思伝達支援システムの開発に焦点を当てています。特に、眼球運動随意性瞬目を検知するEOG法を用いた文字入力システムを提案。従来のシステムよりコストを抑え、装着負担を軽減する1組の電極による測定手法も開発しました。視線入力の精度向上のため、水平方向の眼球運動に焦点を当て、高いスイッチ性能を持つ随意性瞬目による選択入力を実現しています。これにより、高齢者障害者QOL向上を目指します。

1. 研究背景と課題 高齢化社会における意思伝達支援の必要性

日本は高齢化が急速に進む超高齢社会であり、総人口の23.3%を65歳以上が高齢者が占めています。今後、高齢者人口は増加の一途を辿ると予想され、高齢者を対象とした福祉機器の重要性が高まっています。近年では、身体的な充実だけでなく、生きがい、人生の楽しみといった精神的な充実も重視されるようになり、高齢者のQuality of Life(QOL)の向上が社会的に求められています。QOLの定義は様々ですが、医療分野では身体的状態、心理的状態、社会的交流、経済的・職業的状態、宗教的・霊的状態の五つの要素から構成されると定義されています。

特に、脊髄損傷患者や重度肢体不自由者など、残存機能が限られている高齢者や障害者にとって、医師や家族とのコミュニケーションは大きな課題です。意思疎通の困難さは患者自身だけでなく、周囲にも精神的・肉体的負担を与えます。そのため、発声や手話に代わる新たな意思伝達支援装置の開発が強く求められています。本研究では、高齢者や障害者のニーズに応えるべく、安価でプライバシーに配慮した福祉機器の開発を目指します。プライバシー意識調査の結果、連絡先や過去の出来事、生活スタイルなどが他者に知られることに対する不安や恐怖、羞恥心、自己評価低減の心配などが示唆されており、プライバシー保護が精神的健康維持、自分らしい生活を送る上で重要であると認識されています。

2. 従来技術の問題点と本研究の提案 EOG法を用いた高精度 低コストなシステム

既存の意思伝達支援装置では、高価な機器が必要であったり、装着が煩雑で、プライバシーに配慮されていないなどの問題がありました。例えば、VOG法はカメラを用いて眼球運動を測定するため、精度が高い反面、頭部や体の動きに影響を受けやすく、使用者の負担が大きくなります。また、単眼HMDを用いたシステムも提案されていますが、操作に慣れが必要で、キー配列が見にくいなどの課題があります。

本研究では、これらの問題点を解決するため、EOG法(Electrooculography)を用いた新しい意思伝達支援システムを提案します。EOG法は、眼の周辺に装着した電極で微小な角膜-網膜電位を測定することで眼球運動を検出する手法です。VOG法に比べて精度は劣りますが、コストが低く、両眼HMDと併用することで自然なインターフェースを提供できます。また、本研究では、水平方向の眼球運動と随意性瞬目を用いることで、誤入力を削減し、操作性を向上させます。従来のEOG法では、水平方向と垂直方向に電極をそれぞれ1組ずつ装着する必要がありましたが、本研究では1組の電極で水平方向の眼球運動と随意性瞬目を識別する手法を開発することで、装着負担とコストの軽減を目指します。さらに、安定した測定が可能な交流増幅したEOGを用いることで、正入力率の高いシステムを目指します。

3. システム構成と信号処理 高感度増幅器とAD変換による安定したデータ取得

本研究で提案するシステムは、光電工業製2チャネル高感度増幅器MEG-2100を用いてEOG信号を増幅し、ADInstruments社製PowerLab2/20を用いて安定的に取得可能な交流成分を取得します。増幅器の時定数は2秒、高域遮断周波数は30Hz、サンプリング時間は20msecです。この交流増幅したEOG信号から、独自のアルゴリズムを用いて視線方向と随意性瞬目を識別し、文字入力画面に反映させます。この一連の処理を繰り返すことで文字入力が可能になります。

本システムは、交流増幅したEOGを用いることで、直流増幅の場合に問題となるドリフト現象を回避し、安定した眼球運動と随意性瞬目の測定を実現しています。また、電極装着直後から使用可能なように設計することで、利用者の利便性を高めています。システムの評価においては、正入力率、誤入力率、正識別率、文字入力速度、入力時間などを指標として、Mann-WhitneyのU検定を用いた統計学的分析を行います。健常者のみを対象とした実験結果から、本システムは女性や首から上が健康に動くALS患者に対しても同様の効果が期待できると結論付けています。

4. システム評価と考察 高精度 低コストシステムの実現可能性の検証

本研究では、提案システムの有用性を検証するため、従来研究と比較した評価実験を行いました。その結果、水平方向の眼球運動と随意性瞬目を用いた高精度な意思伝達支援装置として、従来研究と比較して有用性を示しました。また、1組の電極を用いた場合と2組の電極を用いた場合との比較実験では、正入力率、誤入力率、随意性瞬目の識別率、文字入力速度に有意差は見られませんでした。これは、1組の電極でも十分な性能を発揮できることを示しています。さらに、比較システムとの比較において、誤入力率や文字入力速度に有意傾向、有意差が生じたことから、提案システムの優位性が示されました。

本研究で提案するシステムは、低コスト化を実現するために、低分解能な可視光センサ4機(1機450円)を使用しています。その他の装置のコストを含めても、18000円以下でシステムを構築でき、従来研究の十分の一のコストに抑えています。小型で設置も容易なため、プライバシーにも配慮した設計となっています。ただし、外光やシャワー、湯気などのノイズの影響を軽減するためのさらなる研究が必要であると認識しています。

II.浴室内転倒検知システムの開発

浴室における高齢者の転倒事故防止のため、低コストでプライバシーに配慮した転倒検知システムを開発しました。可視光センサ4機を用いた簡素なシステムで、従来のシステムより大幅にコストを削減(従来の1/10)。HOG特徴量を用いた画像処理技術により、転倒動作を高い精度で検知します。NECエレクトロニクス製78K0/KF2マイクロコントローラと低価格な可視光センサ(1機450円)を使用し、安価なシステムを実現しています。外光や湯気などのノイズへの影響についても検証を行いました。

1. 従来技術の問題点と本研究の目的 低コストでプライバシー保護された転倒検知システムの必要性

高齢者の浴室での転倒事故は深刻な問題です。既存の転倒検知システムには、高価である、プライバシーを侵害する、設置が困難であるといった課題がありました。例えば、床センサを用いたシステムはプライバシー保護に優れるものの、高価なため一般家庭への導入は困難です。また、高分解能な超音波センサを用いたシステムも存在しますが、センサの高価格が普及の障壁となっています。赤外線センサを用いたシステムも提案されていますが、多数のセンサが必要となるため、システムの複雑さ、運用性、保守性に課題が残ります。

本研究では、これらの問題点を解決するため、低コストでプライバシーに配慮した、浴室内における転倒検知システムの開発を目指します。具体的には、低価格な可視光センサを用いることで、従来のシステムより安価で、かつ同等以上の検知率を実現することを目指します。可視光センサは単純な構造で安価であり、本研究ではその特性を生かし、高齢者のプライバシーを侵害することなく、安全な入浴環境を提供できるシステムの開発を目指します。従来研究[48]と比較し、低コストでありながら、同等以上の転倒検知率を達成することを目標とします。

2. 提案システム 低価格可視光センサとHOG特徴量を用いた転倒検知

本研究で提案する転倒検知システムは、低分解能の可視光センサ4機(2012年1月時点で1機450円)とNECエレクトロニクス製78K0/KF2マイクロコントローラなどを用いて構成されています。システム全体のコストは18000円以下に抑えられており、これは従来研究[48]の1/10に相当します。小型(8.5×5×4cm)で、浴室の洗い場の隅に設置できるため、入浴者のプライバシーを保護しつつ、転倒を検知することができます。

システムは、可視光センサで取得した電圧値の変化を、HOG(Histograms of Oriented Gradients)特徴量を用いて抽出します。HOGは画像処理技術で、人物や物体の形状を把握するのに有効な手法です。本研究ではこのHOGを拡張し、可視光センサの電圧値の変動傾向を分析することで、転倒動作を識別します。さらに、教師あり機械学習アルゴリズム(Randomized tree)を用いて、安全動作と危険動作を分類します。検知した転倒動作の結果は、医師や親類に送信され、迅速な対応につなげることが期待されます。

3. 実験と評価 転倒検知率の検証とノイズの影響評価

提案システムの性能評価として、転倒検知率の実験を行いました。実験環境は、従来研究[48]とほぼ同等の浴室を使用し、20代の健常者19名(男性)と1名(女性)を被験者として、立ち上がり、着座、前転倒、後転倒など8種類の動作を5回ずつ実施してもらいました。各可視光センサの設置場所の照度は358lx~620lx、温度は21.2度、湿度は19.4%に設定しました。

実験結果では、提案システムは高い転倒検知率を示しました。従来研究[48]では超音波センサを用いて被験者の頭部までの距離と距離の変化度から転倒を検知していましたが、本研究では可視光センサを用いて人の影の濃さから判断することで、人の動き全体の変化を捉えていることが、高い検知率に繋がったと考えられます。また、外光やシャワー、湯気などの影響についても実験で検証を行い、それらのノイズがシステム性能に与える影響は限定的であることを確認しました。

III.独居高齢者の見守りシステムの開発

本研究では、独居老人の健康状態把握と孤独死予防を目指した見守りシステムを提案します。ニオイセンサを用いて生活臭を計測し、その変化から食事、就寝、起床、入退室などの行動パターンを分析。XP-329IIIRニオイセンサを用いた実験により、高さによるニオイ変化の特性を明らかにし、従来の平面的な測定より詳細なモニタリングを実現。これにより、健康状態の把握、災害検知、防犯機能の向上に貢献します。

1. 孤独死問題と従来技術の限界 独居高齢者の見守りシステム開発の必要性

日本社会の高齢化は加速しており、特に独居高齢者の増加に伴い、孤独死の問題が深刻化しています。65歳以上の高齢者は、感覚器官の鈍化や体力の低下により、身体の異常に気づきにくく、病状が悪化しやすい傾向があります。特に、地域社会との接点が少なく、一人暮らしの高齢者(独居老人)の場合、近親者や近隣住民も異常に気づきにくく、孤独死に至るリスクが高まります。孤独死の数は独居老人の数と比例して増加傾向にあり、対策が急務となっています。

従来、人体の状態を検知する手法としては、カメラ、赤外線センサ、ガスセンサなどが用いられてきましたが、カメラはプライバシーの問題、赤外線センサは設置の煩雑さ、ガスセンサは生活臭の複雑さによる測定誤差などの課題があります。既存の見守りシステムとして、ポットの使用回数や時間から生活状況を推測するi-POTなども存在しますが、ポットを頻繁に使用しない独居高齢者には適用できません。本研究では、これらの問題点を踏まえ、独居高齢者の生活習慣をモニタリングし、健康状態を把握することで、孤独死予防に貢献する新たな見守りシステムの開発を目指します。

2. 提案システム ニオイセンサを用いた生活習慣モニタリング

本研究では、ニオイセンサを用いて独居高齢者の生活習慣をモニタリングし、健康状態を把握するシステムを提案します。このシステムは、独居高齢者宅に設置したニオイセンサで生活臭を測定し、そのデータを専門家に送信します。専門家はデータの特性曲線を分析することで、独居高齢者の健康状態を把握します。健康状態に異常が見られた場合は、近親者への連絡や、高齢者宅への訪問といった迅速な対応を行います。

本システムは、ニオイセンサを用いることで、生活臭という多様な情報から高齢者の状態を把握することを目指しています。従来研究[53]では、可燃性ガスセンサ、アンモニアセンサ、一酸化炭素センサ、窒素酸化物センサといった4種類のガスセンサを平面的に設置して測定していましたが、本研究では高さを考慮した立体的測定を行うことで、より詳細なデータ取得を目指します。従来研究ではできなかった入退室の検知も期待できます。最終的な目的は、独居高齢者宅の防犯、災害(火災やシックハウス症候群など)の検知、そして健康維持です。

3. 実験環境と結果 ニオイセンサを用いた生活状況のモニタリング実験

本研究では、新コスモス電機株式会社製高感度酸化インジウム系熱線型焼結半導体式ニオイセンサ(XP-329IIIR)を用いて、60代男性の書斎で実験を行いました。入退室、食事などの日常生活を再現し、ニオイセンサを設置した高さごとのニオイの変化を測定しました。ニオイセンサは複数層に設置し、各層におけるニオイの強さを時間軸で記録することで、生活状況の変化を把握しました。

実験の結果、ニオイの強さは高さごとに異なる特性を持ち、三層構造になっていることが明らかになりました。この特性を利用することで、入退室や食事といった異なる状況を識別することが可能になりました。従来研究[53]では、平面的な測定のため、入退室の検知は困難でしたが、本研究では高さを考慮することで、より詳細なニオイの特性を測定でき、入退室の把握に成功しました。 さらに、複数人がいる場合や温かいお茶を飲む場合でも、それぞれの状況特有のニオイパターンが観測され、状況識別の精度向上に繋がることが示唆されました。

IV.赤外線ポインティングデバイスを用いたテレビ操作支援システム

高齢者を含む全ての人を対象としたテレビ操作支援システムを開発しました。赤外線ポインティングデバイスを用いた操作における手振れの影響を軽減するため、選択し難さを自動的に判別し、オブジェクトの拡大やポインタ自動移動などの操作支援を行います。これにより、テレビとユーザーの距離が離れていても、直感的で使いやすい操作性を提供します。20代の男性10名を対象とした実験で、提案システムの有効性を確認しました。

1. 高齢者とテレビ操作 赤外線ポインティングデバイスを用いた操作の課題

高齢者は、老眼などの影響により、近距離のデバイスの視認が困難となる傾向があります。そのため、ボタン式リモコンやタッチパネルのように、操作デバイスを視認する必要がある機器は使いにくいと感じる高齢者が多くいます。一方、マウスやトラックボールのように、視認せずに操作できるデバイスは高齢者にとって使いやすいとされています。しかし、赤外線ポインティングデバイスを使用する場合、手振れによるポインタのブレが操作の精度を阻害し、特にテレビとユーザー間の距離が離れるほど、目標のオブジェクト(選択ボタン)を選択することが困難になります。この問題を解決するために、本研究では赤外線ポインティングデバイスを用いたテレビ操作支援システムを提案します。このシステムは、手振れによるポインタのブレを検知し、操作性を向上させることを目的としています。

2. 提案手法 手振れ検知と操作支援による操作性の向上

本研究では、赤外線ポインティングデバイスを用いた操作における「選択しにくさ」を自動的に判別し、操作を支援するシステムを提案します。具体的には、手振れによってポインタが振動的に動く場合、目標オブジェクトとポインタ間のユークリッド距離を一定時間(T×10⁻²秒)足し合わせることで、「選択しにくさ」を数値化します。この数値に基づいて、目標オブジェクトの拡大、もしくはポインタの自動移動を行うことで、ユーザーが容易に目標オブジェクトを選択できるように支援します。

オブジェクトの拡大とポインタの自動移動は、異なる操作支援方法ですが、どちらも手振れによる操作困難さを軽減する効果が期待できます。実験では、オブジェクトサイズが小さくなるほど選択時間が増加する傾向が確認されました。この傾向を踏まえ、選択しにくさの指標と選択時間を用いて、最適なオブジェクト拡大率やポインタ移動速度を決定します。拡大率や移動速度は、選択しにくさの度合いに応じて動的に調整されます。 25×25pixel のオブジェクトを選択する際のポインタのぶれを考慮し、ポインタ自動移動の速度は 10msec 毎に5pixel と設定しました。

3. システム評価と結果 操作支援の効果検証

提案システムの有効性を検証するため、20代の男性10名(赤外線ポインティングデバイス操作経験なし)を対象とした評価実験を実施しました。被験者には、ディスプレイから78cm離れた位置から、様々なサイズのオブジェクトを選択するよう指示しました。実験結果では、操作支援なしの場合と比較して、オブジェクトの拡大、ポインタの自動移動いずれの操作支援方法でも、操作しやすさが向上することが確認されました。

被験者へのアンケート調査でも、操作支援なしに比べて、オブジェクトの拡大、ポインタの自動移動いずれの方法も操作しやすさが向上したと評価されました。操作支援方法の違いによる操作しやすさへの影響は、統計的に有意差はありませんでした。しかし、個々の被験者の反応を見ると、オブジェクトの拡大を高く評価する者、ポインタの自動移動を高く評価する者など、個人差が見られました。 入力時間についても、操作支援によって、特に小さいオブジェクトの選択における時間短縮効果が確認されました。

V.料理画像認識システムによる栄養管理支援

高齢者の栄養管理支援を目的とした料理画像認識システムを開発しました。機械学習アルゴリズムを複数組み合わせ、50種類の料理画像を60%の精度で識別することに成功。No Free lunch 定理醜いアヒルの子定理に基づき、特徴量の抽出と識別器の選別を行い、システムの精度向上を目指します。

1. 高齢者の栄養管理の現状と課題 栄養偏りの問題と技術による支援

高齢者の健康維持において栄養管理は非常に重要です。特に、独居高齢者の場合、栄養士による専門的な管理を受けにくいことから、栄養バランスの偏りが問題となっています。高齢者は、感覚器官の鈍化や体力の低下により、健康状態の変化に気づきにくく、一度病状が悪化すると回復が困難になる場合もあります。そのため、高齢者の健康状態を維持、向上させるための栄養管理の支援は喫緊の課題となっています。

本研究では、この課題を解決するため、料理画像認識技術を用いた栄養管理支援システムの開発を目指します。システムは、撮影された料理画像を認識し、含まれる栄養成分を推定することで、栄養バランスの偏りを検知し、適切なアドバイスを提供することを目指します。高齢者が自ら栄養バランスを管理し、健康を維持できるよう支援することを目的としています。このシステムにより、独居高齢者の健康状態の維持、向上が期待できます。

2. 料理画像認識システム 機械学習アルゴリズムを用いた識別器の構築

本研究では、複数の機械学習アルゴリズムを組み合わせた料理識別器を構築します。No Free Lunch 定理から、全ての状況で最適なアルゴリズムは存在しないため、本研究では、様々な機械学習アルゴリズムを検証し、料理画像認識に最適なアルゴリズムを選択する必要があります。また、「醜いアヒルの子定理」に基づき、特徴量の抽出と識別器による特徴量の選別が識別器の精度に大きく影響することを考慮します。

システムは識別部と評価部の2部構成です。識別部では、各特徴量を複数の識別器で識別し、評価部では識別結果を評価することで、特徴量の分類に最も適した識別器を選別します。これにより、より精度の高い料理画像認識を実現します。本研究では、50種類の料理画像を対象に、60%の精度で料理の識別を行うことに成功しています。しかし、さらなる精度向上のため、より多くの種類の料理データを用いた学習や、より高度な特徴量抽出方法の検討が必要です。

文書参照

  • 平成 23 年国民生活基礎調査の概況