
X-SELシリーズRS-232C接続ガイド
文書情報
著者 | 株式会社アイエイアイ |
会社 | 株式会社アイエイアイ |
文書タイプ | マニュアル |
言語 | Japanese |
フォーマット | |
サイズ | 3.27 MB |
概要
I.プロトコルとシーケンスの定義
本資料は、オムロン製シリアルコミュニケーションユニットとアイエイアイ(IAI)製コントローラ(X-SELシリーズ)間の【シリアル通信】を確立するための手順を説明しています。 핵심은 プロトコルマクロ機能を利用したデータ送受信です。プロトコルは、複数のシーケンスから構成され、各シーケンスは複数のステップ(メッセージ送受信処理など)で構成されます。 各ステップは最大15個設定可能で、PMCR命令によってシーケンスが実行されます。
1. プロトコルの定義
本セクションでは、汎用外部機器との通信処理手順をまとめた単位として「プロトコル」を定義しています。 プロトコルは複数のシーケンスから構成され、特定の外部機器とのデータ送受信手順を規定する重要な概念です。この定義は、オムロン製シリアルコミュニケーションユニットとアイエイアイ(IAI)製コントローラ間の通信を理解する上で基礎となります。 文書全体を通して、このプロトコルの正確な理解と実装が、システムの正常動作に不可欠であることが強調されています。 特に、プロトコルマクロ機能を用いた効率的なデータ送受信が、本資料の中心テーマとなっています。このプロトコルマクロは、シリアルコミュニケーションボードまたはユニットにプロトコルを記憶させ、CPUユニットでPMCR命令を実行することで、外部機器との送受信を可能とする機能です。 そのため、PMCR命令の理解も、プロトコルを正しく使用するために重要になります。
2. シーケンスとステップの構成
プロトコルを構成する要素として「シーケンス」と「ステップ」が定義されています。シーケンスは、ラダープログラム上のPMCR命令によって起動される独立した通信処理の単位です。 起動されたシーケンスは、内部のステップを順次実行していきます。 各ステップは、メッセージの送信処理、受信処理、送信&受信処理、受信バッファクリア、ステップ待機のいずれかを実行する単位で、1つのシーケンスには最大15個のステップを設定できます。 このシーケンスとステップの階層構造は、複雑な通信手順をモジュール化し、管理しやすくするための設計となっています。 ステップの最大数である15個という制限は、設計上の制約であり、より複雑な通信を行う場合は、複数のシーケンスを組み合わせる必要があることを示唆しています。 また、送信メッセージは、通信先の汎用外部機器へ送り出す通信フレーム(コマンド)として定義され、ステップにおける具体的なデータ転送内容を規定します。
3. プロトコルマクロの機能と重要性
本資料で重要な役割を果たす「プロトコルマクロ」は、汎用外部機器とのデータ送受信手順(プロトコル)をシリアルコミュニケーションボードまたはユニットに記憶させる機能です。 この機能によって、CPUユニットはPMCR命令を実行するだけで、複雑な通信手順を自動的に実行できます。 プロトコルマクロは、PLCプログラムを簡素化し、開発効率を向上させるだけでなく、通信処理の信頼性も高めます。 本資料では、このプロトコルマクロ機能を効果的に使用することで、オムロン製シリアルコミュニケーションユニットとアイエイアイ(IAI)製コントローラ間の通信を確立し、制御を実現することを目的としています。 プロトコルマクロの設定や使用方法については、後のセクションで詳しく解説されるものと推測されますが、このセクションではプロトコルマクロの概念と重要性が明確に示されています。
II.接続方法と確認
オムロンのシリアルコミュニケーションユニット(例: CJ1W-SCU42)とIAI X-SELコントローラを接続するには、適切なケーブルを使用します。接続後、ラダープログラムとプロトコルマクロデータ(ソフトウェア部品)を用いて通信接続を確認します。 CX-Programmerを使用してソフトウェア部品をPLCに転送し、実行することで通信の成否を確認します。通信ポート番号(例:COM24)の確認も重要です。
1. オムロンシリアルコミュニケーションユニットとIAI X SELコントローラの接続
このセクションでは、オムロン株式会社製のシリアルコミュニケーションユニットと株式会社アイエイアイ製のX-SELシリーズコントローラ間の物理的な接続方法について説明しています。具体的なユニットモデルとしては、形CJ1W-SCU42が例として挙げられています。 接続には、適切なケーブルとパソコン接続用ケーブル、非常停止ボックス(形状は本文中に明記されていない)が必要であると示唆されています。ケーブル作成にあたっては、コネクタ形状と信号線(ピンアサイン)を事前に確認する必要性を強調しています。 接続に関する詳細は、5.2項(本文からは具体的な内容が読み取れない)を参照するよう指示されており、本セクションでは接続手順の大まかな概要と注意事項に留まっています。 また、X-SELシリーズコントローラを使用する際の注意点として、IAIプロトコルB(スレーブ)を使用する場合はティーチング用コネクタを使用し、汎用RS232Cポートは使用できないことが明記されています。さらに、工場出荷時の初期設定状態を前提とした説明であること、および初期化方法については7.初期化方法を参照するよう指示があります。
2. 通信接続確認方法 ラダープログラムとプロトコルマクロデータ
接続確認は、「ラダープログラム」と「プロトコルマクロデータ」(総称してソフトウェア部品)を用いて行うと記載されています。 ソフトウェア部品の詳細については、8.ソフトウェア部品を参照するよう指示されています。 パソコンのシリアルポートが複数存在する場合は、Windowsのデバイスマネージャで、オムロン機器が接続されたCOMポート番号(例:COM24)を確認する必要があります。 PLCとオンライン接続できない場合、ケーブルの接続状態や設定内容(3項と4項を参照)を確認し、必要に応じて再実行するよう指示されています。 CX-Programmerオペレーションマニュアル(SBCA-337)の「第6章 PLCとの接続」を参照することで、より詳細な接続方法やトラブルシューティングを行うことができるよう促しています。 また、CX-Programmerの環境設定によっては、本資料で説明されているダイアログが表示されない場合があること、その環境設定の詳細についてはSYSMAC CX-Programmerオペレーションマニュアルを参照するよう注意書きがあります。I/Oテーブルおよび高機能ユニット設定の転送は行わないよう警告されています。
3. 通信接続確認におけるソフトウェア部品の役割と注意点
通信接続の確認においては、ラダープログラムとプロトコルマクロデータ(ソフトウェア部品)が重要な役割を果たしています。 これらのソフトウェア部品は、シリアル通信が正しく行われているかを確認するために使用されます。 具体的には、ラダープログラムを実行し、トレースデータによって正しいデータが送受信されていることを確認する必要があると述べられています。この確認作業は、接続が正常に確立されていることを検証する上で必須のステップとなります。 また、ソフトウェア部品の実行は、シリアルコミュニケーションユニットが工場出荷時の初期設定状態であることを前提としているため、初期設定から変更された機器を使用する場合は、手順どおりに進められない可能性がある点に注意を促しています。 本資料で説明されているソフトウェア部品は、特定の試験構成、商品バージョン、商品ロットにおいて通信が可能であることを確認済みですが、電気的ノイズなどの外乱下や機器自体の性能ばらつきにおいて動作を保証するものではないと断られています。
III.ソフトウェア部品の詳細
通信確認には、バージョン読み出しコマンド(シーケンスNo.900, #0384)を含むソフトウェア部品を使用します。この部品はPMCR命令を使用して、プロトコルマクロで定義された送受信シーケンスを実行します。正常な通信では、相手機器(IAIコントローラ)から正常メッセージが受信されます。通信異常やPMCR命令異常、相手機器異常が発生した場合は、エラーコードが設定され、異常メッセージを受信します。これらのエラーコードは、シリアルコミュニケーションユニットの割付リレー(例:1518.15, 1519.00-03)で確認できます。 受信メッセージのフォーマット(正常メッセージ、異常メッセージ)とその判定方法が重要です。
1. ソフトウェア部品の概要と機能
このセクションは、オムロン製PLC(シリアルコミュニケーションユニット)とアイエイアイ(IAI)製X-SELシリーズコントローラ間の接続に必要なソフトウェア部品について説明しています。 このソフトウェア部品は、PLCのプロトコルマクロ機能を利用し、相手機器(IAIコントローラ)との通信を制御します。 特に、「バージョンの読み出し」を行う機能が記述されており、このコマンドを用いて正常/異常終了を判定する仕組みが解説されています。 正常終了は送受信シーケンスの正常終了を、異常終了はプロトコルマクロの送受信シーケンス異常終了または相手機器の異常(レスポンス受信データから判定)として定義されています。 ソフトウェア部品は、送受信シーケンスNo.によって識別される複数のシーケンスから構成され、PMCR命令によって特定のシーケンスが呼び出され実行されます。 このソフトウェア部品は、通信ポート(内部論理ポート)No.7を使用しており、他の通信とのポート競合に注意が必要であることが明記されています。他のポートを使用するか、A202.07フラグを確認するよう指示があります。
2. 異常判断処理とエラーコード
ソフトウェア部品は、異常判断処理としてPMCR命令異常、通信異常、相手機器異常の3つのカテゴリーに分類された異常を検出します。 PMCR命令異常は、シーケンスNo.の設定ミスやメモリのチャネル設定ミスなど、PMCR命令が実行不可能な状況を指し、シリアルコミュニケーションユニットの割付リレー「ポート動作状態のエラーコード(1519.00〜03)」で判定されます。 通信異常は、データ伝送時の文字化けや通信速度設定の不一致による伝送エラーなど、相手機器との通信中に発生する異常で、シリアルコミュニケーションユニットの割付リレー「伝送エラー発生状態の伝送エラーフラグ (1518.15)」で判定されます。 相手機器異常は、相手機器でのコマンド異常、パラメータ異常、データ異常、実行不可などの異常で、相手機器から返送されるレスポンスデータによって判定されます。 正常メッセージと異常メッセージのフォーマットの違いにより異常を判定する仕組みが用いられています。 これらの異常は、それぞれ対応するエラーコードによって識別され、8.8 エラーコード一覧で詳細が確認できます。
3. プロトコルマクロデータの構成と設定
本セクションでは、プロトコルマクロデータの構成要素であるシーケンス、ステップ、送受信メッセージ、受信マトリクスの説明と、それらの設定方法について詳細に解説しています。 プロトコルマクロデータは、これらの要素によって構成され、シーケンスNo.900(バージョンの読み出し)を例にステップの設定方法が説明されています。 ステップの設定項目には、「リトライ回数」、「送受信メッセージ(メッセージ名)」、「次処理」、「エラー処理」が含まれ、本ソフトウェア部品ではステップNo.00のみで構成されています。 受信メッセージ欄の<>は受信マトリクス名を表し、受信メッセージのフォーマットが複数存在する場合は、受信マトリクスを用いることでメッセージの種類を判別する仕組みが説明されています。 送信メッセージ(SD_Ver)と受信メッセージ(RV_Version, RV_ERROR)のフォーマット、チェックサム計算方法、ターミネータ(CR+LF)なども具体的に記述されています。受信完了監視時間(タイマTfr)の設定についても触れられています。
IV.プロトコルマクロデータの構成
プロトコルマクロデータは、シーケンス、ステップ、送受信メッセージ、受信マトリクスで構成されます。ステップの設定には、リトライ回数、送受信メッセージ、次処理、エラー処理が含まれます。送信メッセージ(例:SD_Ver)と受信メッセージ(例:RV_Version, RV_ERROR)のフォーマットが定義され、受信マトリクスを使ってメッセージの種類を判別します。 タイムアウト監視(例:1秒)も設定可能です。
1. プロトコルマクロデータの構成要素
このセクションでは、プロトコルマクロデータの構成要素として「シーケンス」「ステップ」「送受信メッセージ」「受信マトリクス」の4つが挙げられています。 これらの要素がどのように組み合わさり、プロトコルマクロデータ全体を構成するかが説明されています。 シーケンスは複数のステップから構成され、ステップはメッセージの送受信などの個々の処理単位です。 送受信メッセージは、PLCと外部機器間でやり取りされるデータのフォーマットを定義し、受信マトリクスは複数の受信メッセージフォーマットを区別するために使用されます。 これらの要素は、PMCR命令によって実行される一連の通信処理を詳細に定義するために不可欠です。 特に、受信マトリクスの存在は、正常なレスポンスと異常なレスポンスを区別する上で重要な役割を果たしていることが示唆されています。 この構成要素の理解は、プロトコルマクロの設定やトラブルシューティングを行う上で不可欠です。
2. ステップの設定とエラー処理
プロトコルマクロデータにおけるステップの設定項目として、「リトライ回数」「送受信メッセージ(メッセージ名)」「次処理」「エラー処理」が挙げられています。 各ステップにおいて、これらの項目を適切に設定することで、通信処理の信頼性と柔軟性を高めることができます。 リトライ回数は通信エラー発生時の再試行回数を設定し、送受信メッセージはステップで送受信するメッセージを指定します。 次処理はステップの実行が正常に終了した場合に実行される処理を、エラー処理は通信異常が発生した場合に実行される処理をそれぞれ指定します。 このエラー処理の定義は、通信エラー発生時の適切なリカバリや、エラー内容のログ出力など、システムの堅牢性を高めるために重要です。 シーケンスNo.900(バージョンの読み出し)を例に、ステップNo.00のみの構成の例が示されていますが、より複雑な通信処理を行う場合は、複数のステップを組み合わせる必要があるでしょう。
3. 送受信メッセージと受信マトリクスの役割
送受信メッセージは、PLCと外部機器間の通信で実際にやり取りされるデータのフォーマットを定義します。 本資料では、送信メッセージ(SD_Ver)と、正常メッセージ(RV_Version)、異常メッセージ(RV_ERROR)のフォーマットが具体的に例示されています。 これらのフォーマットは、コマンドコード、データ、チェックサム、デリミタなどの要素から構成され、その構成要素とデータ型が詳細に記述されています。 特に、チェックサム計算方法(タイプ=SUM(2Byte),初期値=0,変換=ASCII)が明記されており、データの完全性チェックを行う仕組みが示されています。 受信マトリクスは、複数の受信メッセージフォーマット(正常メッセージと異常メッセージなど)が存在する場合に、受信データのフォーマットを判別するために使用されます。 受信メッセージのフォーマットが1種類だけの場合は、受信マトリクスは不要です。 この受信マトリクスを用いることで、正常な通信と異常な通信を確実に区別し、適切な処理を行うことが可能となります。また、受信完了監視時間(タイマTfr)の設定も重要です。
V.エラー処理とエラーコード
エラー処理は、PMCR命令異常、通信異常(伝送エラーなど)、相手機器異常(コマンド異常、パラメータ異常など)の3つのカテゴリーに分類されます。 各エラーは、対応するエラーコード(例:#000F)によって特定され、シリアルコミュニケーションユニットの割付リレーまたは、H402チャネルで確認できます。エラーの詳細については、オムロンの関連マニュアルを参照ください。
1. エラーの種類と判定方法
このセクションでは、ソフトウェア部品におけるエラー処理について説明しています。 エラーは大きく分けて3種類に分類されており、それぞれ「PMCR命令異常」「通信異常」「相手機器異常」です。 PMCR命令異常は、PMCR命令の実行が不可能な状況(シーケンス番号の設定ミスやメモリのチャネル設定ミスなど)を指し、シリアルコミュニケーションユニットの割付リレー「ポート動作状態のエラーコード(1519.00~03)」によって検出されます。 通信異常は、データ伝送時の文字化けや通信速度設定の不一致など、通信路上の問題によって発生するエラーで、「伝送エラー発生状態の伝送エラーフラグ(1518.15)」によって判定されます。 相手機器異常は、相手機器側でのコマンド異常、パラメータ異常、データ異常、実行不可などの問題で、相手機器からのレスポンスデータのフォーマットの違いによって判定されます。正常時の受信メッセージと異常時の受信メッセージのフォーマットの違いが判定の根拠となります。 これらのエラー判定は、シリアルコミュニケーションユニットの特定のリレーの状態を確認することで行われます。
2. エラーコード一覧と参照情報
発生したエラーは、それぞれに対応するエラーコードによって識別されます。 エラーコードの種類としては、「プロトコルマクロエラーコード」と「相手機器異常コード」の2種類が存在します。 プロトコルマクロエラーコードは、シリアルコミュニケーションユニットのマクロ動作監視によって検出されるエラーで、PMCR命令異常と通信異常を含みます。 一方、相手機器異常コードは、シリアルコミュニケーションユニットからのコマンド送信時に、相手機器の通信監視によって検出されるエラーで、[H402]チャネル「出力_相手機器異常コード」に格納されます。 エラーコードの詳細や対処法については、「SYSMAC CS/CJシリーズ シリアルコミュニケーションボード/ユニット ユーザーズマニュアル」(SBCD-300)の「11-3 トラブルシューティング」を参照するよう指示されています。 具体的なエラーコードの例として、#000F(伝送エラー発生、通信異常)が挙げられており、伝送路等の異常による通信不能を示しています。エラーコードのフォーマットもビット単位で説明されています。
3. エラー処理における受信マトリクスの活用
ソフトウェア部品では、送信メッセージ(SD_Ver)に対して、正常メッセージと異常メッセージの2種類の異なる受信メッセージフォーマットが存在するため、受信マトリクスが使用されています。 受信マトリクスは、受信データのフォーマットを判別し、正常なレスポンスと異常なレスポンスを区別するために用いられます。 これにより、ソフトウェア部品は受信データに基づいて、適切なエラー処理を実行することができます。 例えば、通信異常が発生した場合、エラー処理の設定内容が実行され、システムはエラー状態に対処します。 受信マトリクスによるフォーマット判別は、信頼性の高いエラー処理を実現する上で重要な役割を果たしています。 受信メッセージのフォーマットが1種類しかない場合は、受信マトリクスは不要となります。 このエラー処理と受信マトリクスの連携によって、システム全体の安定性と信頼性が向上します。